株式会社東京個別指導学院 様
マネジャーとしての役割認識を深め、事業計画書を通じて目標達成を確実にする組織づくりへ
株式会社東京個別指導学院 様は、1985年に設立された個別指導塾のパイオニアです。同社は「東京個別指導学院」および「関西個別指導学院」のブランド名で、首都圏(東京、神奈川、埼玉、千葉)、東海(愛知)、関西(大阪、京都、兵庫)、九州(福岡)に直営教室を展開しています。
同社は「やればできるという自信」「チャレンジする喜び」「夢を持つ事の大切さ」という3つの教育理念を基軸として、オーダーメイドの個別指導を提供し、生徒一人ひとりの学習ニーズに対応しています。
2024年11月1日、オリコン顧客満足度®調査において、大学受験・高校受験・中学受験の各部門で計3部門の第1位を獲得し、高い評価を受けています。
ー 研修実施概要
同社の教室長を束ねるエリアマネジャー・ブロックマネジャー39名に対し、マネジメント強化研修を実施いたしました。2日間の導入研修では、マネジャーとしての役割認識、クリティカルシンキングと問題解決、計画に基づくマネジメントを集合形式で学習。
その後、事後課題として下半期に向けたエリアやブロックの事業計画書を作成し、計画書のレビューを行うフォロー研修を実施。4名ずつの班に分かれて、事業計画の発表と相互のフィードバックをオンラインミーティングにて行いました。
ー インタビュー
一連の研修を振り返っての所感を、執行役員 兼 教育事業本部長の堤 様、教育事業副本部長の神原 様に伺いました。
今回、マネジメント研修を実施しようとお考えになった経緯をお聞かせください。
堤 様)当社はこれまで、マネジメント層に対して体系的にマネジメントを教える機会がありませんでした。一人ひとりが自分の考えと経験から独自のマネジメントスタイルを培ってきたと言えます。
「これが正解だ」と押し付けるわけではないですが、研修を通じて基本的な考え方を提示することで、自分のマネジメントを見つめ直すきっかけにして欲しいと考えました。
自分の仕事の進め方を振り返る機会として活用して欲しかったということですね。
堤 様)はい。少し失礼かもしれませんが、小松先生がおっしゃることが必ずしもすべてではなくて、世の中の一般的な「マネジメント」の知識を提供して土台とすることで、自分のやり方を振り返り、磨いていって欲しいという考えです。
あと、これは副次的な目的ですが、業績が好調だったのでマネジャーたちに何か還元したいという想いもありました。こうした学びの機会を提供することで、「業績が良いとこういうお金の使い方もできる」ということを示したかったです。
研修はご褒美であると?
堤 様)そうですね。学びの機会を提供するのも、頑張ってくれた彼らへの還元です。アンケートでも好意的な声が多かったです。
研修の様子をご覧になり、どのような印象を持たれましたか?
堤 様)マネジャー同士の関係性が良いですね。同じ事業をやっていますから、それぞれの気持ちや悩みが共感し合える。同じインプットを受けて、話し合える機会があったのはとても良かったと思います。
教えていただいた知識があって、それをどのように活用しようかを考える際、必ずしも頭の中で整理できているわけではなくても、他者と話し合うことで整理ができます。設定されたテーマについて考える場面でも、他者の意見やフィードバックから刺激を得ていた様子でした。
相互に刺激をし合える場になっていたのですね。
堤 様)そうですね。自分の中で咀嚼してアウトプットして、それをお互いに聞き合う中で、意見や考え方の違いに触れることができた。普段の仕事とは異なるテーマだったので、必ずしも同じような意見にならず、それぞれの違いが際立っていた。とても価値のある機会だったと思います。
研修を実施した後、受講者の方々にはどのような変化がありましたか?
堤 様)今回の研修で事業計画を作成しましたが、これまでは目標設定という枠にとどまっていたのに対して、事業全体を俯瞰して客観的な視点をもつことができたと思います。
例えば、3C分析(注:顧客・競合・自社の観点から事業戦略を考えるフレームワーク)などの考え方は、事業を考える上で貴重なヒントになったのではないかと思います。KPI(注:Key performance indicator 重要業績評価指標)を用いて定量的に振り返りができる計画を立てるのもとても大事ですね。
計画の質が上がったのですね。
堤 様)いま、ちょうど最終のアウトプットを提出してもらっているところですが、とても頑張っているなという感じがします。活動を振り返れるように数字を意識して計画を立てている印象を受けますね。
いままでは「なんとなく」でやってきたものを、目に見える形にしようとする努力が窺えます。最初の2日間に加えて、実践期間とフォロー研修を通じて、事業計画作成を一連の流れでできたのは良かったですね。
当社(ビジネスキャリア・コンサルティング)にご用命いただいた理由は?
堤 様)弊社社員からの紹介でご縁をいただきましたが、推薦を受けたこともあって、他社と見比べるということはありませんでした。むしろ、私がこれまでに知り合った人や、当社の事業をある程度知っている人は避ける意向でした。
今回の研修では、一般的なことを伝えてもらいたかったので、下手に当社のことを知っている方に「君たちのことはよくわかっているよ」と寄り添うようなアプローチはしてもらいたくなかったのです。
ご期待には添えられましたでしょうか?
堤 様)よくやっていただきました。ありがとうございました。
研修を終えて、現在はどのような課題認識をお持ちでしょうか?
堤 様)やはり、一歩引いた視点で自分の仕事を見られるようになって欲しいですね。目の前のことにだけ集中するのではなく、起きている事象を俯瞰して、何をすべきなのかを考えることも大切だと思います。
経営トップから全体に向けた指示も大切ですが、私たちの事業は9都府県に展開していますので、地域特性や顧客特性はそれぞれ異なります。個別には「効果的な一手」はそれぞれ違うはずなのです。そこを自分で編み出すためには、目先のことに反応せず、俯瞰して冷静に考えることも必要です。本質的に物事を考える癖をつけて欲しいですね。
今後、受講者の方々にはどのように成長していただきたいですか?
堤 様)明確な目標を持ち、現象を構造的に考えることで、本質的な打ち手を講じられるような人になって欲しいです。
明確な目標を持たないと、現状とのギャップが見えてこないですよね。毎日、目の前のことに集中しすぎて、事案に追われているような面もあるので、根本的な問題解決が進められていないという印象を受けます。
その瞬間、瞬間だけに気が取られると、戦略的に物事を進めることができません。長い目で見た上で「いま何をしておくべきなのか」を考えて、手を打っておくことが重要です。
トラブルはなぜ起きるのか。それを未然に防止するには何が必要なのか。目の前のことに対処しつつも、本質的なことを進めていくためにはどういうマネジメントが必要なのかを考え、それを実行に移せるようになって欲しいです。
今後、どのようにして研修効果の定着を図っていきますか?
堤 様)一人ひとりの案をしっかり受け止めたうえで、「なぜそのように考えたか」「他にアイデアはなかったか」といった問いを投げかける必要があるだろうと考えています。
私のアイデアも含めて、「他に何か考えられることはないか」を問い、一呼吸おいてじっくり考えてもらうことが大事。あえてそうすることで、固定観念を打破していけると思います。
今後の社員教育の展開、方向性をお聞かせいただけませんか?
堤 様)今回の受講者の被マネジメント層となるのは教室長となりますが、エリアマネジャーやブロックマネジャーが彼らに対して、今回の学びをしっかりを伝えていって欲しいと考えています。
今回のように実務研修と一線を画す視座の高い研修については、会社から提供されたものを受け身で受講するのではなく、自分たちで危機感や問題意識を持って研修を希望するような声が欲しいですね。
神原 様)ただ、論理的思考や問題解決をトレーニングする機会は、社員に広く提供しても良いかもしれません。新入社員研修などでやってはいますが、それきりなので現場で仕事をしているうちに忘れてしまう。定期的に実施することも考えていきたいです。
今後、弊社(ビジネスキャリア・コンサルティング)に期待されることはどのようなことでしょうか?
堤 様)あえて、さらにご注文を申し上げると、他社事例などを通じて視座を高め、視野を広げて、広い世の中について伝えていただけるといいですね。
当社はずっと学習塾でやってきていますから、それ以外の業界や世の中の動向には疎い者もいます。世の中にはこういう問題があって、各社がこういうことをやっているというような話から刺激を受けることもあると思います。
たとえば、気候変動という問題があります。何が問題なのか。解決に向けて、どのような会社が、どのような動機で動いているのか。どんなサービスが流行っているのか。そうしたことを知ることで、自分たちの事業の見え方も変わってきます。近年ではAI(人工知能)をめぐる課題についても同様ですね。視野を広げてくれます。
他業種の実例などから学ぶということですね。
堤 様)私自身は、教科書的なビジネス理論というよりも、『ビジョナリーカンパニー』のような具体的なものを好みます。他社事例を通じて基準を高くして考え、「それを自分たちに置き換えると、どのようなことを考えるべきか」という問いを立てるのです。
世の中にはこういうことを考えている人がいるのか。自分たちがさらに成長していくためには、どのようなことを考えると良いのか。トップ層も含めて、そうした話を提示して、考えるきっかけをいただけるとありがたいですね。
ー お話を伺った方
株式会社東京個別指導学院 執行役員 兼 教育事業本部長 堤 威晴 様
株式会社東京個別指導学院 教育事業副本部長 神原 真也 様
株式会社東京個別指導学院 人財部長 貝森 貴裕 様(同席者)
ー インタビュー概要
取材地:株式会社東京個別指導学院 本社
取材日:2024年11月6日(水)
公開日:2025年1月1日(水)
ー 会社概要
会社名 | 株式会社東京個別指導学院 |
本社所在地 | 〒163-0525 東京都新宿区西新宿一丁目26番2号 新宿野村ビル25階 |
代表者 | 代表取締役社長 松尾 茂樹 |
事業内容 | 個別指導教育を中心とした教育事業 |
公式サイト | https://www.tkg-jp.com/ |