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株式会社スイカン 様

経営理念と連動した人事制度の再構築で評価の納得性と人材育成を実現

株式会社スイカンは、兵庫県西宮市に本社を置く、水に関する設備分野を専門とする企業です。1976年に設立され、給排水衛生設備に関するメンテナンスや改修工事を中心に事業を展開しています。また、東京にも拠点を持ち、従業員数は約50名です。地域社会に密着し、建物のインフラを支える企業として活動しています。

同社の主な事業は、ビルやマンション、公共施設などにおける貯水槽・排水管・ポンプ設備の点検・清掃・維持管理です。加えて、設備の劣化診断や改修工事にも対応しています。さらに、水漏れや排水詰まりといったトラブルに対しては24時間365日の対応体制を整えており、生活に欠かせない水環境の安定供給を支えています。公共事業として下水道や水景施設にも関わり、都市インフラの維持にも貢献しています。

同社の特徴は、「水の技術」を軸に、地中の下水管から建物内の給排水設備まで幅広い領域をカバーしている点です。設備の保守と更新を一体的に行うことで、信頼性の高いサービスを提供しています。これにより、日常生活に不可欠な水環境を支える専門企業としての役割を担い、確かな実績を築いています。

コンサルティング実施概要

人事制度の再構築として、評価の公平性・透明性の向上と、社員の成長を促進する仕組みづくりを中心に支援を行いました。同社の経営理念や求める人物像を起点に、それを各等級の期待役割へと落とし込み、「何ができれば昇格できるのか」を明確化する制度設計を実施しました。また、等級・役職・評価・報酬の関係性を整理し、社員にとって処遇決定の基準が分かりやすい体系へと再構築いたしました。

制度設計の中核として、等級制度およびキャリアコースの見直しを行い、従来の管理職中心のキャリアに加えて専門職コースを新設しました。これにより、必ずしも管理職に就かなくても能力に応じて昇級できる仕組みを整備しています。さらに、役職階層の整理や等級ごとの役割定義を通じて、組織内で求められる責任や期待水準を段階的に明確化しました。これらの施策により、個々のキャリアパスの多様化と組織運営の明確化を同時に実現しています。 

加えて、人事評価制度については、評価項目や基準の曖昧さを解消し、具体的かつ客観的に判断できる仕組みへと改定しました。評価項目ごとに明確な着眼点を設定し、職種横断で共通の評価軸を導入することで、公平性と納得性を高めています。また、自己評価・一次評価・二次評価のプロセスやフィードバック面談の仕組みを整備し、評価結果を人材育成に結びつける運用体制を構築しました。これにより、評価を単なる査定ではなく、社員の成長と組織力向上を促すマネジメント基盤として機能させることを目指しています。 

経営者インタビュー

一連のプロジェクトを振り返っての所感を、代表取締役社長の松本雅稔様に伺いました。

以前から社員より「もっとわかりやすい制度にしてほしい」「評価制度がブラックボックスではないか」という声が聞こえてきていました。我々としては、先代が作った制度を改善を重ねながら運用してきており、中小企業としてはそれなりの形になっていたと思っていました。

しかし、実際にはあいまいな表現や抽象的な記述が多く、評価者によって解釈に差が生じてしまう部分がありました。その結果、評価がどうしても中心化傾向(無難で平均的な点数に収まってしまう現象)が起こり、頑張っている社員を正当に評価できていなかったのです。

頑張っている人にとっては面白くない、そうでない人にとっては居心地のいい制度になってしまっている。そこを変えなければならないと感じたのがきっかけです。

一番は、貢献度をきちんと反映できる制度にすることです。頑張っている人に対して、しっかりと評価を上げてあげたい。それを合理的に、わかりやすく実現したいと考えていました。社員にとっても、「なぜこの評価になったのか」という理由がわかるよう、プロセスを透明化したかったです。

そしてもう一つ大きかったのは、評価のための評価ではなく、きちんと育成につなげていく制度にしたいということです。会社が社員に対して「あなたにこういうことを期待しています」と明確に伝えられる。それによって社員の成長を促していける。そういう制度を目指しました。

経営理念にも掲げていることですが、やはりこの地域に貢献できる社員であってほしいと思っています。我々は水道関係というインフラの中でも大切な仕事を担っています。技術力はもちろんのこと、お客様に喜ばれ、困っている人を助け、「ありがとう」と言っていただける。そんな仕事をしながら正当な報酬を得て、人間力を向上させていく。

結果として自分も幸せになるし、周りも幸せになる。給料も上がる、評価も上がる。やっていることに対してきちんと結果が返ってくる会社にしたいですし、そうした人間力の高い社員が育っていく組織にしていきたいと考えています。

一番は、上司と部下のコミュニケーションです。今まではそういった面談の機会が十分ではありませんでしたが、後ろ向きではなく前向きなコミュニケーションが増えることを最も期待していました。面談を通じて改善すべきところが明確になり、それを改善したら評価が上がって給料が増える。

「やるべきことをやったら、ちゃんと評価してもらえるんだ」と社員が実感し、会社がきちんと結果を見せてあげることで、さらに頑張ろうという好循環が生まれる。その起点としてのコミュニケーションを最も重視しました。

漠然と「制度を変えなければ」と考えていた中で、中央会(兵庫県中小企業団体中央会)からご紹介をいただいたのがきっかけでした。

最初にお付き合いをさせていただいて感じたのは、机上の理論だけではなく、皆さんそれぞれが実社会で泥水をすすった経験をお持ちだということです。机の上で偉そうにしているだけのコンサルタントではなく、しっかりと地に足をつけて、現場の人たちの気持ちもわかった上で制度を作っていける。そこが非常に大きな魅力でした。

もう一つ強く感じたのは、「言語化する力」です。こういう制度づくりでは、言いたいことやイメージはあるのにうまく言葉にできないということがたくさんあります。それを的確に言葉にしてくれる。言語化のプロだなと感じました。

特に印象に残っているのは、プロジェクト初期のやりとりです。「処遇」に関わる制度と、「昇格・昇進」に関わる部分をきちんと分けて設計する必要がありましたが、当社はそれまでその両方をごっちゃにして評価・運用していました。

その整理の過程で、先生方の意見と私の意見がぶつかる場面もありましたが、こちらの考えもしっかり受け止めていただき、結果的にうまく融合できたと感じています。一方的に押し付けるのではなく、当社の意見をきちんと取り入れてくれたことが非常にありがたかったです。

制度設計の内容面では、先生方にスピーディーに進めていただいたので、それほど苦労はありませんでした。ただ、気持ちの面では正直、複雑な思いがありました。先代が作ってきた制度を変えるということに対して、「変えていいのだろうか」という葛藤があったのです。大げさかもしれませんが、気持ちの切り替えというか、覚悟を決める部分が一番苦労したところかもしれません。

幹部・管理職を巻き込んで進めていただいた点です。シミュレーションやフィードバック面談のやり方など、現場の管理職が実際に参加して意見を言える場を設けていただいたことは非常に大きかったです。以前はそういった機会がなかったので、上層部だけで決めるのではなく、現場を早い段階から巻き込んだ進め方は今後の運用にも活きてくると感じています。

また、そもそも「評価とはどうやるものなのか」という基本的な考え方やルールを教えていただけたことも大きな収穫でした。今まで我々自身もそこをきちんと伝えられていなかったので、その概念が共有できただけでも非常に役立っています。

一番のポイントは、出世を求めない技術職の社員に向けた専門職コース、いわばマイスター制度のような仕組みを取り入れたことです。もともとこの制度を作りたいというところからプロジェクトが始まった経緯もあります。管理職にならなくても、技術を磨いていけばある程度の給料が得られるという道筋ができたことは、技術者を大切にする当社らしい制度になったと思います。

また、以前から取り組んでいたチャレンジ目標の考え方が消えかけていたのですが、今回の評価制度の中にうまく融合させることができました。当社の文化や流れをきちんと残しながら新しい制度に反映できた点は、自社らしさが出せたところだと感じています。

全体としては、ある程度想定していたという反応が多かった印象です。ただ、興味深かったのは、自分のキャリアをどうしていきたいかということに関心を持った社員が出てきたことです。この会社で長く働いていく中で、「自分はこうなりたい」「給料も上げていきたい」という意欲が見えるようになった。

こうした取り組みによって具体的な道筋が示されたことで、前向きな反応を示してくれる社員がいるというのは収穫だと感じています。自分たちがどのように評価されて、どう処遇されるのかということに関心が高まったこと自体が、大きな効果ではないでしょうか。

グイグイと型にはめ込んでくるようなやり方ではないので、安心して取り組んでいただけると思います。大切なのは、自分の会社の良さや、今までの流れ、歴史をきちんとお伝えすることです。それをしっかり制度に反映してもらえますので、きっと良い制度になっていくはずです。

ある程度信頼してお任せしながらも、言いたいことは遠慮なく言い合える関係で進められますので、構えずに取り組まれたらいいのではないかと思います。

人材不足が課題となる中で、今回の制度改定を社内だけでなく対外的にもアピールしていきたいと考えています。工業高校やものづくり大学校などで会社説明会を行う機会がありますが、そうした場で「この会社に入ったら3年後にはこうなっている、5年後にはこうなっている」ということを、以前よりも具体的に表現できるようになりました。人材募集の際の大きな売りの一つにしていきたいですね。

当社は「この地域で一番の福利厚生制度を目指す」と掲げていますが、それと今回の人事制度を掛け合わせて、社員を正当に評価し幸せにするという姿勢を全面的にアピールしていきたい。新しい人材を採用しながら、既存の社員にとっても満足度の高い会社にしていくことが目標です。

まだ制度が始まったばかりですので、まずはしっかりと運用していくことが第一です。その上で、次のステップとして考えているのは、具体的な教育プログラムの整備です。

もともとマイスター制度をきっかけに始まったプロジェクトでもありますので、たとえば新入社員が入ってきたら1年後にはこうなっている、3年後にはこうなっているという成長の道筋を明確にしたい。現場ではどうしても「背中を見て覚える」という昔ながらの職人的な育て方が残っていますので、そこをうまく具体化して、今回の制度と融合させていきたいと考えています。

成長したら給料が増える、という好循環をしっかりと回していきたいですね。

長いお付き合いをさせていただきたいと思っています。今回のプロジェクトは一区切りつきましたが、引き続きフォローしていただけることに感謝しています。今後も何か相談事がありましたらお声がけさせていただきたいですし、それがビジネスになるかどうかは別として、お互いに持ちつ持たれつの関係が作れたらありがたいです。

中央会関係などで困っている事業者さんがいたらご紹介もできると思いますし、そういった良い関係をこれからも続けていければと思っています。

お話しを伺った方

株式会社 スイカン 代表取締役 松本 雅稔 様

インタビュー概要

取材地:株式会社 スイカン 本社

取材日:2026年3月27日(金)

公開日:2026年3月31日(火)

会社概要

会社名株式会社 スイカン
本社所在地〒662-0934 兵庫県西宮市西宮浜3-14-3
代表者代表取締役 松本 雅稔
事業内容- 給排水衛生設備の点検清掃、維持管理
- 給排水衛生設備の劣化診断及び改修工事
- 給排水衛生設備の24時間トラブル対応
- 公共事業(公園池・流れ・噴水設備・プール・河川・下水道清掃等の維持管理)
公式サイトhttps://suikan.co.jp/
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