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リーダーシップ

2026.6.28

リーダーの影響力を高める3つの方法|「ウチ(内側)の広さ」が成果を決める

はじめに

「自分には権限がないから動けない」「これは自分の仕事ではない」こうした言葉が頭をよぎったことはありませんか。あるいは、部下や後輩からその言葉を聞いて、リーダーとして悩んだ経験をお持ちの方もいらっしゃるかもしれません。

実はこの感覚こそが、リーダーとしての影響力を自ら小さくしている最大の原因です。この記事では、経営・マネジメント研修の現場で活用されている「影響の輪」の考え方をもとに、リーダーの影響力を広げるための具体的な方法を解説します。

リーダーシップの本質は「影響力」にある

リーダーシップとは何か

経営学の世界的権威であるバーナード・バスのリーダーシップの定義によれば、「リーダーとは変化を与える人、すなわち他者に対して影響を与える人である」とされています。難解な表現に見えますが、要点はシンプルです。リーダーシップとは影響力である、ということです。

役職の高さでも、年齢でも、カリスマ性でもありません。自分がどれだけ他者に対して良い影響を与えられるか。これがリーダーシップの本質です。

リーダーに求められる3つの役割

リーダーには、大きく分けて3つの役割があります。

① 高い理想・目標を掲げる

周囲が「無理だ」「できっこない」と感じるような高い目標を掲げ、現状に満足せず、常に上を目指す方向性を示すことです。現状維持に甘んじることなく、目指すべき場所を明確に示すことがリーダーの第一の役割です。

② 問題を認識する

高い理想・目標と現状との間には、必ずギャップが生じます。資金が足りない、人材が足りない、顧客が足りない。目標が高ければ高いほど、解決すべき問題は大きくなります。その問題を正確に認識し、課題として言語化することが第二の役割です。

③ 課題解決を前進させる

そして最も難しいのが、この第三の役割です。「現状を変えなければならない」と口にすることは誰にでもできます。しかし、具体的な課題解決を実際に前進させるには、強いリーダーシップが必要です。

課題解決に影響力が不可欠な理由

どれほど優秀なリーダーであっても、一人で全ての課題を解決することはできません。自部門のメンバーのモチベーションを高めるだけでなく、他部署、取引先、顧客にも協力を求める場面が必ず出てきます。高い目標を掲げれば掲げるほど、より広い範囲への影響力が求められるのです。

影響力の大きさは「ウチ(内側)の広さ」で決まる

「影響の輪」と「関心の輪」とは

コヴィー博士の著書『7つの習慣』に、「影響の輪」と「関心の輪」という概念が登場します。

関心の輪とは、自分が気にかけていること全般を指します。業績、人間関係、会社の方針、景気の動向など、関心を向けている領域は広大です。しかし、そのすべてに自分が影響を及ぼせるわけではありません。

影響の輪とは、その関心の輪の中で、自分が実際に働きかけることができる範囲です。自分の行動・発言・判断・働きかけによって変化を起こせる領域がこれにあたります。

コヴィー博士は、影響の輪の外にある関心の輪についてあれこれ言っても、自分に影響力がない以上は何も変えられないと指摘しています。そして、だからこそ自分が影響を与えられる範囲に集中することで、成果を生み出すことができると説いています。

「ウチ(内側)」と「ソト(外側)」の感覚

この概念を別の言葉で表現するなら、関心の輪は「他人事(ソト:自分の外側)」、影響の輪は「自分事(ウチ:自分の内側)」と言い換えることができます。

影響の輪が小さい人は、自分自身や自部署のことしか「ウチ」と捉えていません。隣の部署で困っている人がいても「自分の仕事ではない」と感じ、会社全体の問題も「自分には関係ない」と切り離してしまいます。

一方、影響の輪が大きい人は、「これは会社全体にとってどうか」「業界や市場にどんな影響があるか」「世の中にどんな意味やインパクトをもたらせるか」と考えます。自分が動くことでどこまでの範囲の人にどのような影響を与えられるかを、常に意識しているのです。これがまさに、自分自身の「影響力」に関わってきます。

「ウチの境界線」は自分が引いている

境界線は自分の意思で決まる

ウチの範囲は、誰かに決めてもらうものではありません。自分自身が決めているのです。

「権限がないから動けない」という発想は、組織上の権限と影響力を混同しています。自分に直接の権限がなかったとしても、権限を持つ人に働きかけることはできます。自分が問題を直接解決できなくても、その問題を解決できる人と問題を引き合わせることはできます。

権限があるかどうかと、働きかけられるかどうかは、まったく別の話です。

当事者意識を持つことの力

組織上で定められた自分の担当範囲を超えて、より広い範囲を「自分の問題」として捉えることができると、その問題に対して当事者意識が生まれます。当事者意識が生まれた瞬間から、「自分から何かをしてみよう」というエネルギーが湧いてくるのです。これが、リーダーとして影響力を発揮するための原動力になります。

影響力マップで自分の範囲を可視化する

当社のリーダー・管理職向けプログラムでは、「影響力マップ」という演習を行います。

まず、中心に自分を置き、現在影響を与えている範囲(具体的な人物・チーム・組織)を書き出します。次に、その外側に「働きかければ影響を与えられそうな範囲」を書き出します。直接指示や意思決定はできないけれど、提案・アドバイス・紹介などを通じて働きかけることができる範囲です。そして、さらにその外側に「現時点では難しいと感じる範囲」を置きます。

一度書き上げた後、最も外側に置いた「難しいと感じる範囲」の中から、「働きかければ影響を与えられそうな範囲」に呼び込める人や機会がないかを問い直します。

この演習を行うと、「自分には手が届かない外の問題だと思っていたが、この人に声をかければ繋がれるかもしれない」という気づきが生まれます。影響の輪の外だと思っていたことが、自分の影響の輪の内側に入ってくるのです。

変えるのが難しいことと、本当に変えられないことは、まったく異なります。 境界線は自分が引いています。だからこそ、自分の意志でその境界線を広げることができるのです。

ウチを広げる3つのアプローチ

アプローチ① 視点を変える

何か問題が起きたとき、「これは誰の責任なのか」と考えると、どうしても責任の所在を探したくなります。「これは自分の責任ではない」「自分の問題ではない」と判断した瞬間、思考は停止してしまいます。

そこで、問いを変えてみましょう。

「誰の責任か」→「誰が動けば解決するか」

この視点の転換だけで、問題の見え方が大きく変わります。「自分が動けば何か変わるかもしれない」という感覚が生まれ、当事者として問題に向き合うことができるようになります。問題を抱えている人に何かサポートができないか、誰かを紹介できないかという発想も生まれてきます。視点を変えることで、影響力を発揮する入口を自分で開くことができるのです。

アプローチ② 一歩を踏み出す

「完璧な準備が整ってから動こう」と考えていると、いつまでも動けません。準備が整うのを待てば待つほど時間が経ちます。最初から大きく動こうとすればするほどリスクが大きく感じられ、結果として動けなくなってしまいます。

大切なのは、小さく動き始めることです。小さな働きかけから始めることで、リスクを抑えながら情報を集めることができます。動いてみることで次の一手が見えてきます。動きながら準備を整えていく。この姿勢が、徐々に影響力を広げていくことに繋がります。

アプローチ③ 仲間を増やす

影響力とは、自分が直接何かをすることだけではありません。変える力を持っている人を動かすことも、立派な影響力の発揮です。

自分一人では解決できない問題でも、解決できる人に橋渡しをすることはできます。自分が問題を直接解決するのではなく、問題が解決できる状況を作るという感覚です。

さらに、同じ問題意識を持つ仲間が増えてくると、一人では通らなかった話も、みんなで声を上げることで実現できる可能性が高まります。その仲間を束ねていくこと自体もまた、大きな影響力です。

まとめ|境界線を広げることが、リーダーとしての成長につながる

今回の内容を整理しましょう。

  • リーダーシップとは影響力である:役職でも年齢でもなく、他者を動かす力がリーダーシップの本質です。
  • 影響力の大きさは「ウチ(内側)の広さ」で決まる: どこまでを自分事として捉えているか、その範囲が影響の輪の大きさに直結します。
  • ウチ(内側)の境界線は自分で引いている:自分の意志でその境界線を広げることができます。

「これは自分の仕事ではない」「自分には権限がない」という言葉が頭に浮かんだとき、ぜひ自分自身に問いかけてみてください。

「自分が動けば、何かが変わるだろうか?」

この問いかけを習慣にすることで、影響力は確実に広がっていきます。そしてその積み重ねが、周囲から頼られるリーダーへと成長する道筋をつくるのです。

実践の壁をどう乗り越えるか

とはいえ、「頭ではわかっているが、実際にどう動けばよいのかわからない」という場面は必ず訪れます。影響力を広げようとする意志はあっても、組織の慣習や人間関係の壁にぶつかることもあるでしょう。

そのような実践の壁に対応するためには、考え方のフレームを学ぶだけでなく、実際の場面で使えるスキルとして身につけることが重要です。当事者意識の醸成、影響力マップの活用、仲間の巻き込み方。これらは、研修の場で繰り返し実践することで初めて自分のものになります。

管理職・リーダー向けの研修プログラムや経営コンサルティングについてご関心のある方は、お気軽にお問い合わせください。組織の課題に合わせたカスタマイズ研修も承っております。

本日も最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

この記事を書いた人

小松 茂樹(こまつ しげき)

中小企業診断士・キャリアコンサルタント。株式会社ビジネスキャリア・コンサルティング代表取締役社長。「デキる人を増やして社会をもっと快適にする」を理念に、人事・組織コンサルタントや研修講師として活動。理論的な背景と情熱的な語り口を交えた講演スタイルに定評があり、セミナーや研修で高い支持を得ている。

著作『指示待ち人間からの卒業〜自ら考えて行動する「自律型人材」になる方法〜』

登壇実績 862件、1,015日間(のべ受講者数17,334名)*2025年12月末現在

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