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マネジメント

2026.6.5

若手社員のやる気が上がらない5つの理由と、マネージャーがすべき行動マネジメント

やる気と成果は別物である | 「モチベーション」という幻想

やる気がなくても成果は出る

「やる気があるから成果が出る」

多くの方がこの図式を信じていることでしょう。しかしこれは、モチベーション幻想と呼ぶべき思い込みです。やる気と成果には、そもそも関係がないのです。

例えば、掃除が嫌いな人がいたとします。やりたくはないけれど、部屋が汚くなるから仕方なく、しぶしぶ掃除機をかける。では、その結果、部屋はどうなるでしょうか。答えは明白です。部屋は綺麗になります。

つまり、「部屋を綺麗にする」という成果を出すために「掃除をしたい!」というやる気は必要ありません。成果を生むのは行動であって、モチベーションではないのです。

スポーツ心理学が証明する「行動習慣」の優位性

これは感覚論ではなく、科学的に裏付けられた事実です。スポーツ心理学の分野では、「ゲームのパフォーマンスはモチベーションではなく行動習慣によって左右される」ということが示されています。

プロのスポーツ選手にも好不調の波はあります。料理人も、美容師も、誰でも気分が乗らない日はあります。しかしプロフェッショナルは、「今日は気分が乗らないから手を抜く」とはなりません。調子が良かろうが悪かろうが、淡々と結果を出す。これがプロの行動原則です。

モチベーションが高いに越したことはありません。しかし、モチベーションが低くても成果が出る状態を作ることこそ、マネジメントの本質的な目標なのです。

若手社員のやる気が上がらない根本原因

価値観の多様化という時代背景

近年。若手社員のやる気が上がらないと言われています。しかし、その理由を個人の怠慢に帰結させるのは、時代認識として不正確だと言えるでしょう。現代は価値観の多様化が進んだ時代であり、「仕事に情熱を燃やす」ことが唯一の正解ではなくなっています。

同じ職場に100人いれば、100通りの価値観があります。

  • 家族との時間を最優先にしたい人
  • 趣味や自分の時間を大切にしたい人
  • 社会貢献を仕事の意味として見出したい人
  • とにかく収入を最大化したい人

かつての「24時間戦えますか」という時代から、現在はワークライフバランスを重視する価値観が主流になりつつあります。失われた30年と言われる経済環境の中で、「頑張っても給料が上がるとは限らない」という現実が若い世代の仕事観に影響を与えているのは間違いないでしょう。仕事への情熱が低いこと自体に、良い悪いはありません。それは単なる価値観の違いなのです。

リーダーが陥りやすい「自分基準」の罠

リーダーやマネージャーになる方々の多くは、仕事に熱量を持ち、成果を出してきた方々です。だからこそ「なぜ自分の部下は同じように仕事に熱量を持ってくれないのか」と感じてしまいます。

この感覚は理解できます。しかしこれは、自分の価値観を部下に投影する「自分基準マネジメント」の罠です。価値観はなかなか変えられるものではなく、それを無理に変えようとすること自体が徒労に終わります。

「価値観が違う。ただ、それだけ。」この前提に立つことが、正しいマネジメントの出発点です。

マネージャーの本当の仕事は「やる気がなくても動く仕組みを作る」こと

仕組みのとは「ルール」と「ツール」の組み合わせ

マネージャーの仕事は、部下のやる気を上げることではありません

る気の有無にかかわらず、正しい行動をすることで成果を生み出す仕組みを作ることです。

仕組みとは、「ルール」と「ツール」の組み合わせで構成されます。

【ルール】何を・いつ・どれくらいやるかを決める

ルールとは、行動の内容・タイミング・頻度を明確に定めることです。曖昧な期待ではなく、具体的な行動基準として言語化します。

【ツール】行動の結果を記録・可視化する

ツールとは、ルールに基づいた行動を記録し、見える化するものです。チェックリスト、報告書、進捗管理表など、形式は問いません。記録を取ることで状況が可視化され、改善の効果も確認でき、継続していること自体を本人が自覚できます。これが行動習慣の形成につながります。

明日から使えるルール設計の具体例

実際に使えるルールとして、例えば次のようなものが挙げられます。

「毎朝9時の業務開始時に、その日取り組むタスクをマネージャーにチャットで報告する」

このルールが明確に定まっていれば、やる気があってもなくても「決まりだからやる」という状態が生まれます。やる気を管理するのではなく、行動を管理する。 これが仕組みマネジメントの本質です。

受け身な部下への正しい指示の出し方

「指示待ち」は逆手に取れる

「言われたことはやるが、言われたこと以上はやらない」いわゆる指示待ち人間に悩むマネージャーは多くいることでしょう。それを問題として捉え、主体的・意欲的に仕事をしてもらうようどうにか改善できないものかと考えるのが一般的です。

しかし、見方を変えれば、指示待ちで受け身であるということは、「指示を出せば動く」という特性でもあります。受け身で自発性が乏しい部下には、こちらから具体的な指示を出すことが最も有効なアプローチになるのです。

具体的な指示がもたらす成功体験の連鎖

曖昧な指示は解釈の幅を広げ、期待と異なる行動を招きます。一方、具体的で明確な指示は期待通りの行動を引き出します。

▼ 曖昧な指示(NG例)

「この資料、なるべく早めにまとめておいて」

▼ 具体的な指示(OK例)

「田中さん、今週金曜日の16時までに、この資料の初稿を私にメールで送ってください」

指示の要素は「行動内容・期限・相手・手段」の4点を明確にすることがポイントです。

「そこまで言わなければいけないのか」と感じる方もいるかもしれません。しかしマネジャーの仕事はチームの成果を最大化することです。具体的な指示によって成果が上がるなら、それを実践するのがプロのマネージャーなのです。

さらに、最初は細かく指示を出すことからスタートしても、次第に慣れが生まれ、正しい行動を続けることで結果が出てきます。結果が出れば仕事が面白くなり、面白くなれば自分で考えるようになります。 指示待ちからの卒業は、まず成功体験を積ませることから始まります。

マインドが整ってから成功するのではなく、成功してからマインドが整う。この順番が重要なのです。

正しい行動が成果を生み、成果がやる気を生む

「作業興奮」という心理学的根拠

ここで最も重要な原則を押さえておきます。

「やる気があるから行動する」のではなく、「行動するからやる気が出る」のです。

因果の矢印は逆です。正確に整理すると、次のような連鎖が起きます。

正しい行動 → 成果が出る → 嬉しくなる → 楽しくなる → やる気が上がる

これは心理学的にも裏付けられており、「作業興奮」という概念として知られています。最初はやりたくなくても、とりあえず始めると、だんだんエンジンがかかってくる。乗ってくると楽しくなってくる・誰でも経験のある感覚です。この原理を組織マネジメントに応用することが、行動マネジメントの核心です。

やる気マネジメントからの脱却

やる気は目に見えません。目に見えないものはコントロールできません。 目に見えるものは成果と行動だけです。そして、成果は結果であるため直接コントロールすることはできません。したがって、コントロールできるのは「行動」だけだといえます。

  • やる気に期待するのをやめる
  • 部下の行動にフォーカスを当てる
  • 行動の統制を取ることで、成果が生まれ、結果的にやる気が育つ

この視点の転換こそが、チームの成果を大きく変える第一歩です。

まとめ | 行動マネジメントの5ステップ

この記事の結論

今回お伝えしたことを整理しましょう。

  1. やる気と成果は別物——成果を生むのはモチベーションではなく行動
  2. 価値観の違いを前提に置く——仕事への情熱が低いことに良い悪いはない
  3. マネージャーの仕事は仕組みを作ること——ルールとツールで行動を管理する
  4. 受け身な部下には具体的な指示を出す——指示待ちの特性を逆手に取る
  5. 行動が成果を生み、成果がやる気を生む——作業興奮の原理を活用する

実践上の壁は「わかっているが、できない」問題

ここまで読んで「なるほど」と感じた方でも、実際の現場では壁に当たることでしょう。

  • どんなルールを設計すればよいか、具体的にわからない
  • 部下に指示を出しても反発される、または形骸化する
  • 仕組みを作ったが、継続させる方法がわからない

知識として理解することと、現場で実践することの間には大きなギャップがあります。このギャップを埋めるためには、自社・自チームの状況に合わせた実践的なトレーニングが必要です。

著書・研修サービスのご案内

こうした課題に対して、拙著『指示待ち人間からの卒業〜自ら考えて行動する自律型人材になる方法〜』では、行動マネジメントの具体的なフレームワークと実践ステップを詳しく解説しています。また、弊社のコンサルティング研修サービスでは、組織の状況に合わせた個別のマネジメント支援を提供しています。

ご興味のある方は、ぜひ下記よりご確認ください。

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本日も最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

この記事を書いた人

小松 茂樹(こまつ しげき)

中小企業診断士・キャリアコンサルタント。株式会社ビジネスキャリア・コンサルティング代表取締役社長。「デキる人を増やして社会をもっと快適にする」を理念に、人事・組織コンサルタントや研修講師として活動。理論的な背景と情熱的な語り口を交えた講演スタイルに定評があり、セミナーや研修で高い支持を得ている。

著作『指示待ち人間からの卒業〜自ら考えて行動する「自律型人材」になる方法〜』

登壇実績 862件、1,015日間(のべ受講者数17,334名)*2025年12月末現在

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