人間力を構成する9つの要素6 夢(その2)

ブログをご覧の皆様、こんばんは。小松茂樹です。

前回、人間力を構成する9つの要素の最後のひとつ「夢」について書きました。今日は、その「夢」についてもう少し掘り下げて書いてみようと思います。

 

「夢」を形作っているもの

今回のセルフマネジメントのシリーズで人間力の構成要素を考えるにあたり、各項目に広い意味を与えて、数をできる限り少なくしようと試み、半ば無理矢理9つに収めました。

他にも人間力をかたち作るものはいろいろと思い浮かびましたが、それらをこの「夢」という一言に集約させています。この「夢」という言葉には、いろいろなニュアンスが込められてるということです。

このシリーズでいう「夢」というものには、次のようなものが含まれているとお考えください。

・想像力と創造力
・欲求と情熱
・信念と自信

これらは、この「夢」という言葉の意味を特徴づけるものであり、「夢」を形作っているものと言えます。今日はこれらについて考えをまとめてみます。

 

想像力と創造力

想像力は「未知のものを思い描く力」です。

 

自分の記憶にないこと、まだ見ぬ世界、まだ見ぬ未来を、頭の中で思い描くことのできる力、それが想像力です。

私たちは先人の想像力のお陰で、いまの豊かな生活を送っています。

よく例として挙げられるもので言うと、エジソンの電球、ライト兄弟の飛行機、アポロの月面着陸などがありますが、それ以外にも数えきれないほどの先人たちの想像力の力によって、人間はこれまで魔法のようなことを次々に現実のものとしてきました。現代の文明は想像力によってできていると言えます。

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その想像力で思い描いた頭の中のイメージを、現実世界に具現化させる能力が「創造力」です。

今はまだ現実にカタチになっていないアイデアやイメージを、現実のものにする力であり、「道なきところに道を創る力」と言えるでしょう。

iPhoneというアイデア自体はスティーブ・ジョブスの「想像力」が発揮されたものです。しかし、そのアイデアを現実のものとするためには、そしてジョブスの「ボタンは1個にしろ」という指示を現実のものとするためにAppleのエンジニアたちが「創造力」を発揮する必要がありました。

彼らはアイデアを現実にするためのプロセスを設計し、プランを作り、試行錯誤を重ねた結果として、世界が熱狂する「作品」をつくり出すことができたのです。

夢は想像力と創造力が掛け合わさることによって実現されます。どちらが欠けてもできません。どちらも必要なものです。
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欲求と情熱

どんなに壮大で崇高な夢であったとしても、その発端はほぼ間違いないといって良いほど個人的な「欲求」から出ています。

自分の日々の生活、経験、感情…その中から芽生えた欲求を、叶えようとする過程において、その欲求が他の人に触れ、影響を受けたり、変化・進化していく中で次第に「夢」に変わっていきます。

夢の実現には協力者の存在が欠かせません。どんな夢であっても、たった一人で実現できることはありません。必ず、他の人の力を借りなければならない場面が出てきます。大きな夢になればなるほど、なおさらです。

 

「夢」というのは「欲求」がより強い状態にクラス・チェンジしたものだというのが私の考えです。逆に言えば、「夢」を持つためには、まず自分の欲求に素直にならなければならないということです。

欲を持つことが浅ましいともされるような時代になってしまいましたが、そもそも欲がなければ夢を持つことはできません。夢を持つことができなければ、成長も成功も手にすることができません。つまりそれは、愛と豊かさを手にすることができないということです。

よく耳にする「やりたいことが見つからない」というのは、自分の欲求を抑え続けていく中で「欲求の感度が下がった」というだけの話ではないかと、私は思います。「やりたいこと」を見つけるのはカンタンです。自分の欲に素直になればいいのです。

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そして、「私は○○が欲しいのだな」「私は○○をやりたいのだな」ということを、自分自身で認めることです。こうして「欲の感度」を上げていけば、やがて「夢」に辿りつきます。私なんて今や欲だらけです。やりたいことが山積みすぎて、どう絞っていこうかというのが課題になっているくらいです。

しかし、欲求に敏感になると次の問題が生まれてきます。それは「やりたいことをやろうとすると、決まって障害が現れる」ということです。

欲求が生まれたのはいいが、実現するまでに予想以上に時間がかかったり、実現の過程で障害が現れると、次第に欲は収束していってしまいます。結果が出ないので、やる気がなくなってしまうのです。

それを乗り越えるため必要になってくるのが「情熱」です。

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情熱は「熱い感情」と書きます。燃えるような熱い想いのことです。欲求が生まれたら、それを叶えるために「何が何でもやる」という熱い想いを持って取り組む。それにより、必要十分なだけの行動量が確保でき、障害を乗り越えて、実現をたぐり寄せるのです。

欲求は情熱と掛け合わさることで「夢」に変化します。欲求がなければ情熱は沸いてきませんし、情熱が沸いてこなければ欲求は「夢」と呼べるだけのレベルに達しなくなってしまうのです。

 

信念と自信

信念という言葉を調べてみると「ある個人がある命題ないしは前提が真であると信じること」とあります。夢の実現に関しては、「それは必ず実現する」ということを、心から信じることと言えるでしょう。

未知への不安や恐怖、障害や困難を乗り越えて夢を現実にするためには「最終的には必ず、自分が信じた通りの結果になる」と信じることが求められます。

たとえ今は「不可能だ」「極めて困難だ」と思えることであっても、強い信念を貫き、「自分がやっていることは正しい」と心の底から信じること。これにより、欲求と情熱が下支えされて、想像力と創造力が発揮されるようになり、「夢」は次第に現実にその姿を現してくるのです。

自分自身ですら実現できるかどうかわからないという状態では、人の縁もチャンスも引き寄せることはできません。せめて自分だけでも、「今やっていることは必ず最後には結果に結びつく」と信じることによって、行動が伴い、それが周囲の力を少しずつ集めて現実化のエネルギーを引き寄せることになるのです。

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また、実現するという事象を信じることと同等、もしくはそれ以上に大切なものがあります。それが「自信」です。

自信は「自分を信じる」と書きます。文字通り、その夢を実現する自分自身に対しての信頼です。欲求が生まれ、情熱が沸き上がり、それは必ず実現するという強い信念があったとしても、そのための行動を重ねて結果を出そうとする自分自身を信じることができなければ、最後までやり遂げることができません。

自分に対して全面的に信頼を寄せる。それは、背伸びをしたり、自分の良い面だけに目を向けたり、虚像の自分を作ることではありません。ダメなところ、弱いところも含めて、自分の存在を「受け入れる」ことです。自分の存在を受け入れることによって、自分の全部を認めてあげることができます。

自分自身で、自分のことを認める。それが自分を信じる第一歩です。等身大の自分を見て、それと向き合い、受け入れることによって、良い面も悪い面も含めて、自分という存在を肯定することができます。それが、自分を信じるということにつながり、「自信」へと変わっていくのです。

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まとめ

以上、私の考える「人間力」について全6回に渡ってお話してきました。

7/15の投稿からここまでの話をまとめると、

1. 幸せは「愛」と「豊かさ」によって感じる

2.「愛」と「豊かさ」の度合いは、自分の「人間力」によって決まる

3.「愛」と「豊かさ」のレベルを向上させるためには、感謝・誠実・謙虚・知性・気品・自立・健康・個性・夢からなる「人間力」を高めることで、「成長」と「成功」を手にしていくことが必要

という3点が、このプロローグ部分のポイントです。

 

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セルフマネジメントと時間管理は、上記3の「人間力を高める取り組み」を実際に進めていくための手法ということになります。

「人間力」を高めることによって「成長」と「成功」を遂げ、それにより「愛」と「豊かさ」の水準を上げていくことによって、今よりもさらに幸せになることを目指すこと。

それがセルフマネジメントと時間管理の一つの目的となります。

 

愛と豊かさを手にする、成長と成功のプロセスについてのお話は以上となりますが、本編に入る前に、前段としてもう一つだけ触れておきたいことがあります。それは「時代の変化への適応」についてです。

現代は、歴史上かつて類を見ないほどにセルフマネジメントの能力が問われていると、私は考えます。それは、時代の変化のスピードが急激であることと、ITの急速な発展により、人間のキャリアのあり方が問われているからです。

次回、こうした不透明な時代において、いかにして自分のキャリアを自分の意思でつくっていくか、ということについて考察を述べたいと思います。その後、いよいよセルフマネジメントの本編に入っていきます。

 

本日も最後までお読みいただき、ありがとうございました。

  

投稿者プロフィール

小松 茂樹
中小企業診断士・キャリアコンサルタント。株式会社ビジネスキャリア・コンサルティング代表取締役。人材派遣会社、健康食品会社を経て、経営コンサルタントに転身。営業力強化・業務改善・生産性向上・ビジネススキル向上など幅広い範囲で、業績向上や人材育成の支援を行っている。理論的な背景と情熱的な語り口を交えた講演スタイルに定評があり、セミナーや研修で高い支持を得ている。

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