個人と組織の関係からマネジメントを考える

ブログをご覧の皆様、こんばんは。小松茂樹です。

前回、「マネジメントとは何か」を考えるにあたり、ドラッガーの考え方をご紹介しました。

とはいえ、まだまだ難しくてマネジメントとは何なのかよくわかりません。なので今回は、組織と個人の関係からマネジメントについて考察し、それをセルフマネジメントに落とし込んでみたいと思います。

組織と個人の関係からマネジメントを考える

ドラッガーは組織を「機能」と呼んでいます。というのも、よくよく考えてみれば、そもそも「組織」というものにハッキリとした姿はありません。組織は「個人の集合体」だからです。組織というのは数名の個人が集まって形成された集団です。つまり、「組織」という存在そのものには「実体がない」のだと言えます。概念的な存在であると言うことができます。

では、組織とはどういう存在なのでしょう?

ドラッガーの考えでは組織は「社会、コミュニティ、個人のニーズを満たす」ものであるとしています。つまり、組織が果たす役割は「社会、コミュニティー、個人」といった相手に対して「ニーズを満たす」ということであると言えます。その組織を企業とした場合、相手は「顧客」であり、自治体とした場合は「住民」と言い換えることができるでしょう。ここでは、企業を例にして考えてみることにします。

私の言葉でまとめるならば、「組織とは「顧客へのニーズを満たすことを通じて、社会の問題を解決することを目的とした個人の集合体」であるということになります。

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その上で、組織にある「機能」とは一体何なのかということになるのですが、それを読み解くためには「顧客へのニーズを満たす」という部分を、もう少し具体的にする必要があります。つまり、「誰に、何をもって、どのように、どの程度の顧客のニーズを満たす」のかというこということです。

それらは一般的に、

  • ミッション(経営理念)
  • ビジョン
  • 戦略
  • 目標
  • 計画

といった言葉で語られます。企業においては、こうしたものが一連のシステムとして組織化され、日々の営業活動として働いているのです。したがって、これらが組織の「機能」ということになります。

※商品やサービスはニーズを満たすための「手段」であり、組織という機能から生産される成果物であるというスタンスを取ります。

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こうした抽象的な概念である組織という「機能」を、「どのように個人という実体を持った存在の、現実の活動に落としこむのか」という面で作用するものが「マネジメント」です。

ドラッガーの言葉を再び引用するならば、マネジメントの役割とは

  1.  成果を上げること
  2.  人を活かすこと
  3.  社会の問題を解決し、社会に貢献すること

の3つであり、これらを組織の「機能」と併せて考えるならば、

「顧客へのニーズを満たす」という組織の目的を果たすために、ミッション・ビジョン・戦略・目標・計画に従って、一人ひとりの個人を方向付け、資源として活かし、その行動や成果が適切になるように導くことが、「マネジメント」だということになるのです。

 

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マネジメントというと、「管理」や「統制」と言った言葉に言い換えてしまいがちですが、私の考えでは「委任」や「依頼」といった相手の主体性に委ねる行為も「マネジメント」です。アプローチが性善説か性悪説かという違いはありますが、どちらも個人を方向付け、導くことに違いはありません。

したがって、マネジメントは「組織の持つ機能を、個人の活動へとつなげる行動」であり、組織と個人の関係は

組織(概念)→マネジメント→個人(実体)

として表現することができます。つまり、

マネジメントとは「概念(組織の機能)を実体(個人の活動)に変換する行動」であると言うことができるのです。

マネジメントの考えを個人に適用する

上記を踏まえて、改めてセルフマネジメントについて考えてみます。

マネジメントは「概念(組織の機能)を実体(個人の活動)に変換する行動」ですから、個人にマネジメントを適用した場合に、

  • 組織の機能
  • 個人の活動

に相当するものがそれぞれ何なのかを定義する必要があります。

「組織の機能」は、

  • ミッション(経営理念)
  • ビジョン
  • 戦略
  • 目標
  • 計画

でした。これをそのまま個人に適用すると、

  • 自分個人のミッション
  • 自分個人のビジョン
  • 自分個人の戦略
  • 自分個人の目標
  • 自分個人の計画

ということができます。

とは言え、個人においてミッションやビジョン、戦略などを明確に定義している方が、いったいどれだけいらっしゃることでしょうか。かく言う私自身、成功や自己実現の学びを重ねるここ数年までは、こんなことを考えたことすらありませんでした。つまり、セルフマネジメントを行うにあたっては、その前提として、こうした将来像や方向性、すなわち「自分のあるべき姿」を描くことが不可欠になってくるのです。

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次に、「個人の活動」に相当するものは何でしょうか。

組織と個人との関係においては、組織の機能という「概念的な存在」を、「実体を伴った存在」として映し出すものでした。つまり、組織という概念の「鏡」の役割を果たすもの、それが個人の活動でした。個人においては、この概念的な存在に相当するのが「自分のあるべき姿」ですから、それを映し出す実体を伴った存在に相当するのは「現実の自分の姿」ということができます。

上述の組織と個人の関係になぞらえて言うならば、セルフマネジメントは「自分のあるべき姿」を「現実の自分の姿」へとつなげることであり、そのために自分自身を方向付け、自分自身を資源として活かし、自分の行動や成果が適切になるように導くことだということになります。すなわち、セルフマネジメントとは、概念(自分のあるべき姿)を実体(現実の自分の姿)に変換する行動を表すのです。

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その具体的なプロセスが、前回ご紹介した

  1. 自らのあるべき姿を方向づけ、
  2. そこに至るまでの計画を描き、
  3. その計画を実行するために時間と行動を適切に管理する取り組み

だということになります。

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次回、この話を踏まえて、セルフマネジメントの具体的な行動プロセスについて書いていきます。

本日も最後まで読んでいただき、ありがとうございました

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投稿者プロフィール

小松 茂樹
中小企業診断士・キャリアコンサルタント。株式会社ビジネスキャリア・コンサルティング代表取締役。人材派遣会社、健康食品会社を経て、経営コンサルタントに転身。営業力強化・業務改善・生産性向上・ビジネススキル向上など幅広い範囲で、業績向上や人材育成の支援を行っている。理論的な背景と情熱的な語り口を交えた講演スタイルに定評があり、セミナーや研修で高い支持を得ている。

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