本物であるかどうかが問われる一年になる

新年あけましておめでとうございます。本年もどうぞよろしくお願いいたします。

年末年始はいかがお過ごしでしたでしょうか。コロナの感染拡大が続いていたこともあり、外出を控えざるを得ない状況にあったかと思います。

小松家も今年は遠出をせず、ほとんど自宅の近所で過ごしました。元旦に親族で集まった際も、食事は一切せず、マスクを着用しながら話を交わしたり、遊んだりするにとどめました。盛り上がりには欠けてしまう面は否めないものの、その分、大掃除で家の中がキレイになったり、子どもたちとの関わる時間が増えたりとプラスに感じることもありました。

私たちの行動様式を一変させてしまったコロナショックですが、今年もまだまだ臨戦態勢が続くことになりそうです。昨日には1都3県への緊急事態宣言が再発令され、私も再び首都圏から出るわけにはいかなくなってしまいました。社会・経済へのダメージはかなり深刻になりつつあります。

この状況を耐え、生き延びようとする中で、ビジネスのあり方、人々の働き方、そもそもの生活、そしてその根底となる人々の価値観はこれからさらに大きく変わっていくことになるでしょう。「ニューノーマル」への変遷は、今年からが本番になると考えても良いかもしれません。

主体性と当事者意識のある人が生き残る

リーダーの役割は変化に対応することです。今この時ほど、個々の職場、所属団体において個々のリーダーシップの発揮が求められる状況はないと言えるかもしれません。

昨年の一年間で、

  • 自分にできることを自ら考え、指示・命令がなくても自発的に動いていける人
  • 組織からの指示・命令がない限り、何もしない/できない人
  • 組織からの指示・命令があっても、それに抵抗し、従おうとしない人

が明確に露呈されました。

まさに「2:6:2の法則」のごとく、自ら考えて行動できる自律人材は、実際にはあまりにも少ないです。なんとも悲しいことです。現実にはそうはならないとわかりつつも、この世のすべての人が上位2割の思考・行動パターンを備えていれば、社会はここまでダメージを受けないのにと切に思います。

厳しい環境にさらされている飲食業や小売業、観光産業においても、この状況下で生き延びることができている企業と、倒産・廃業に追い込まれる企業の明暗が分かれています。それどころか、業績を伸ばしている企業すらあります。そして、業績を維持・向上できている企業はほぼ例外なく「従来とは異なることをやっている」と言えます。

飲食業においては、出前館やウーバーイーツなどのデリバリー対応、スマホによる予約・注文受付対応、テイクアウト対応などが好例です。例えば、私も年末にピザを購入することがありましたが、近所のドミノピザでは配達してもらわずに店舗に取りに行くとピザが半額になるサービスをしています。家賃や人件費などの固定費を考えると、テイクアウトや宅配で収益を黒字化するのはそう簡単にはいかないとは思いますが、少なくとも売上が立って入れさえすれば改善の余地はありえます。

高級レストランもテイクアウトを手がけています。さすがに買ったことはないですが、3万円のお弁当があるそうです。しかも売れているというから驚きです。「高級レストランが弁当なんて」とはじめから拒否反応を示していたら、このチャンスは決してものにできません。固定概念にとらわれず、自社の付加価値の作り方を追求したからこその結果だと言えるでしょう。

また、小売業においては伊勢丹のバーチャルマーケットなどの挑戦が目新しいですし、観光産業においては、星野佳路さん(星野リゾート)が「マイクロツーリズム」という近距離旅行の概念を提唱されました。まさに、ビジネスの教科書のような出来事が、いま現実に次々と起こり続けています。

第3波の感染拡大、いまこのタイミングでの緊急事態宣言の影響は、昨年の春のとき以上に厳しいものになりそうです。「ここまで持ち堪えてきたけれど、もうこれ以上は無理」という企業も少なからずあるでしょうから、厳しい選択を迫られることになると思います。

それでも、主体性と当事者意識を備えて戦う人々は何かしらの活路を切り開いていくのだと私は思います。すべては姿勢・心構えなのです。

いま、自分に何ができるかを考える

これは企業単位に限った話ではなく、個人においてもまったく同じことが言えます。

「コロナだから○○(従来のやり方)ができない」というのは、他責・他人事の思考回路です。こういう方々は、物事のすべての原因が、政府や自治体、会社の経営陣や上司など、社会を構成するすべての他人にあると考えており、自分の責任だとは1ミリも思っていません。人生の主導権を外部が握っているので、自分自身で人生を切り開くことができません。常に他人(外部環境)に振り回される生き方をしていくことになります。

自責・当事者意識の思考回路の人は、「コロナ環境の中で、自分にできることは何か」を考えることができます。たとえ、自分でできることの影響は小さく、些細なことであったとしても、「自分にできることを考え、それを実際にやる」ということが大切です。こうした人だけが、「自分の人生」を生きることができます。

私も昨年春、緊急事態宣言の前後で、その時の仕事の9割以上が吹き飛んでしまいましたが、その状況でできることを考え、暗中模索の中でやったこともないオンラインセミナーや動画制作に挑み続けてきました。決して短期的に数値的な結果には結びつきませんでしたが、一年を通じて見れば、年初(コロナ以前)に設定した目標を全項目クリアできました。内容はどうであれ、自分なりに考えて、実際にやるということが重要なのです。

なぜ、上位2割の人が少ないのか、他責・他人事の人が多いのかというと、その姿勢・心構えを保ち続けるためには、常に自己訓練が必要だからです。人間は誰しもが本能的に現状維持バイアスを持っています。新しいことや未知のものを、無意識のうちに遠ざけようとするようにできています。変化に抵抗するのが「普通」なのです。

現状維持バイアスを破るためには、日常的にコンフォートゾーン(心理的安心領域)の外に出るように、自分自身を躾けていかなければなりません。そして、長期にわたってこれを意思の力で続けることは決して容易ではありません。「変化することが普通」に感じるようになるまで、つまり無意識レベルでこれができるようになるまで、矯正を続けていく必要があるのです。私も道半ばです。

緊急事態になったから、コロナの影響が甚大だから、急に何か新しいことをやろうとしても難しいです。常日頃からコンフォートゾーンの外に出る、つまり新しいこと・未知のもの・困難なことに挑む習慣が身に付いていないと、いざという時に主体性を発揮るすことはできません。いざという時に新しいことをやる方が、日常よりもよっぽど大変だからです。

今年一年は、昨年以上に自分自身が「本物であるかどうか」が試される年になります。常に自分自身を振り返り、課題を発見し、高い目標を設定し、それに挑み続けることが、「本物であり続ける」ための近道になります。

  • やることを決める
  • 決めたことをやる

毎月、毎週、毎日、これを愚直に続けていくことです。そして、これをやり続けられる人だけが、自責・当事者意識の「自律型人材」として、この困難な状況を打開し、活路を切り開いていけるはずだと私は信じています。自分たちが本物であり続けるために、今年もともに頑張っていきましょう。

 

本日も最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

  

投稿者プロフィール

小松 茂樹
中小企業診断士・キャリアコンサルタント。株式会社ビジネスキャリア・コンサルティング代表取締役。人材派遣会社、健康食品会社を経て、経営コンサルタントに転身。営業力強化・業務改善・生産性向上・ビジネススキル向上など幅広い範囲で、業績向上や人材育成の支援を行っている。理論的な背景と情熱的な語り口を交えた講演スタイルに定評があり、セミナーや研修で高い支持を得ている。

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