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状況適合型リーダーシップ

状況適合型リーダーシップ

状況適合型リーダーシップとは?メンバーに応じて変わる、最適なリーダーシップのあり方

職場で部下やメンバーにどのように接すればよいか悩んだことはありませんか?

一律のやり方が通用しない場面も多く、「この人には指示が必要だけど、あの人には任せたほうがうまくいく」と感じることもあるでしょう。

そんな時に役立つのが、「状況適合型リーダーシップ理論(Situational Leadership Theory)」です。

これは、メンバーの「成熟度(能力と意欲)」に応じて、リーダーの関わり方を柔軟に変えるべきだとする考え方です。

4つのリーダーシップスタイル

1. 指示型(S1):まずは明確な道筋を示す「教える」リーダーシップ

指示型は、主に仕事の経験が浅く、まだ自信やスキルが十分でないメンバーに対して有効なスタイルです。

この段階では、本人のモチベーションはある程度あるものの、「どう動けばよいのか」がわかっていないケースが多いため、リーダーが具体的かつ詳細に業務の進め方を教える必要があります。

たとえば、次のような関わり方が該当します:

  • 「この仕事はまずAをして、次にBを確認し、そのあとCのフォーマットに入力してください」
  • 「今日中にここまで終わらせるように。何かあれば逐一報告を」

これはいわば“教える”リーダーシップです。納期、品質、手順、使用ツールなどを明確に伝え、本人の迷いをなくすことが第一です。

重要なのは、細かくても「型」をしっかり渡すこと。最初の成功体験を積ませることで、自信や実力を育てていく土台ができます。

2. コーチ型(S2):納得感とやる気を引き出す「一緒に考える」リーダーシップ

コーチ型は、ある程度仕事に慣れてきたが、まだ不安定な段階にあるメンバーに対して効果的です。

この段階のメンバーは、自分でやれる気持ちはあるものの、判断に自信が持てなかったり、責任を負うことに戸惑いを感じていることがあります。

そのため、リーダーは単に「こうしなさい」と指示を出すだけでなく、なぜそうするのか、背景や目的を丁寧に説明しながら関わる必要があります。

また、メンバーの意見も積極的に聞き入れ、納得感を得ながら進めていくことが求められます。

具体的には:

  • 「この進め方にしたのは、納期とコストの兼ね合いを考えてのことなんだ。どう思う?」
  • 「目的は○○だから、そのためにはこの順序が理想的だと思ってる。あなたの考えも聞かせて」

このスタイルでは、指示と支援のバランスが鍵になります。

ただ命令するのではなく、相手を信頼し、意欲や理解を引き出しながらリーダーシップを発揮していく形です。

3. 支援型(S3):信頼関係と心理的安全性を重視する「寄り添う」リーダーシップ

支援型は、業務遂行の能力はあるが、自信やモチベーションが下がっているメンバーに適したスタイルです。

このようなメンバーは、スキル面では問題がなくても、職場の人間関係、業務負荷、評価への不安などから、精神的に不安定になっていることがあります。

この段階では、仕事の内容そのものよりも、気持ちのケア、信頼関係の構築、意見の尊重といった関わりが重視されます。

リーダーは以下のような行動を意識します:

  • 「最近、少し元気がなさそうだけど、大丈夫?何かあったらいつでも話してね」
  • 「この進め方でもいいけど、他に自分のやりたい方法があれば教えて」

このスタイルでは、一緒に考え、支える姿勢が大切です。

業務の管理よりも、相手の感情や人間性を大切にした関わりを通して、再びやる気や主体性を引き出していきます。

4. 委任型(S4):すべてを任せて背中を預ける「任せる」リーダーシップ

委任型は、能力も意欲も高く、自立して仕事ができるメンバーに対して最も効果的なスタイルです。

この段階にあるメンバーに対して、細かく指示をしたり、頻繁に声をかけたりすると、かえってモチベーションを下げてしまうことがあります。

そのため、リーダーの役割は「指示すること」ではなく、環境を整え、信頼して任せることに変わります。

実際の言動としては:

  • 「この案件はあなたに一任するね。何かあればいつでも相談して」
  • 「途中のやり方には口を出さないけど、成果報告だけ共有してくれればOK」

このスタイルの鍵は、口出しせずに見守る信頼です。

ただし「放置」ではなく、必要なときにはすぐに支援できる体制を整えておくことも重要です。

まさに「任せて、支える」高度なリーダーシップの形といえるでしょう。

診断結果の見方

リーダーシップスタイル診断に回答し、あなたはどのスタイルの得点が高いかを確認してみましょう。

指示型(S1)の得点が高い

  • あなたは明確な指示を出し、タスクの進行を管理することに強みを持っています。特に、経験の浅いメンバーや新しい業務に対しては、段取りやルールをしっかり提示することで、チームの混乱を防ぎ、効率的な進行を実現できるタイプです。
  • このスタイルは、低成熟度のメンバーに非常に有効で、迷いなく行動できる環境を提供します。
  • ただし、経験豊富なメンバーには窮屈さを感じさせることがあるため、状況に応じた柔軟さも意識するとさらに効果的です。

コーチ型(S2)の得点が高い

  • あなたは、指示だけでなく対話を通じてメンバーを導く、教育的かつ情熱的なリーダーです。メンバーの理解や納得を重視し、積極的に動機づけを行いながら、目標達成へと導く傾向があります。
  • このスタイルは、ある程度のスキルはあるが自信が不足しているメンバーに特に適しており、「教える」「納得させる」リーダーとしての役割を発揮できます。
  • 一方、熱心すぎると相手の自主性を損ねることもあるため、相手の成長に応じた手放しも意識してみてください。

支援型(S3)の得点が高い

  • あなたは、メンバーの感情や意見を尊重し、関係性を築くことに長けたリーダーです。相手の主体性を大切にしながら、心理的な支援を通じて力を引き出すスタイルです。
  • このスタイルは、スキルはあるが自信がなく、迷いやすいメンバーに適しており、信頼関係のもとで安心して挑戦できる環境を作れます。
  • ただし、課題の明確化や意思決定の曖昧さが出ることもあるため、時には方向性を示すリーダーシップも意識するとバランスが取れます。

委任型(S4)の得点が高い

  • あなたは、メンバーの能力や自律性を信頼し、仕事を任せることで成果を上げるタイプのリーダーです。必要以上に介入せず、チームの主体性を尊重する点で非常に成熟したリーダーシップを発揮しています。
  • このスタイルは、経験・意欲ともに高い成熟度のメンバーに最適で、自己裁量の大きい環境が力を引き出します。
  • ただし、すべてのメンバーが高い熟量だとは限らないため、必要に応じて介入する柔軟性も大切です。

「相手に合わせる」ことが鍵

この理論の肝は、メンバーの状況に合わせてリーダーがスタイルを変えるという点です。

一貫性よりも柔軟性が重要で、「誰にでも同じように接すること」が必ずしもフェアではありません。ある人には詳細な指示が必要でも、別の人には任せたほうが力を発揮できる。

その違いを見極めて、最適な関わり方を選ぶのが、状況適合型リーダーの役割です。

万能なスタイルは存在しない

リーダーシップに「正解」はありません。ただし、「相手の成長段階に応じて関わり方を変える」という視点は、どんなチームにも応用が利きます。

自分が今どのスタイルで接しているかを振り返りつつ、相手の状況に適したスタイルを意識してみる。それが、チーム全体の成果やメンバーの成長につながっていくはずです。

弊社にご関心をお持ちいただき、ありがとうございます。お気軽にお問い合わせください。

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