セルフマネジメント
2024.12.18
目次
日本社会はいま、大きな変革を迫られていると言えるでしょう。「失われた30年」と呼ばれる長期的な経済停滞、少子高齢化に伴う人口減少など、これまでのやり方では通用しない大きな課題が立ち塞がっています。
未来を担う子どもたちの出生数は減少の一途をたどり、2024年には遂に70万人にまで落ち込みました。賃金は伸び悩み、一方で税金や社会保障費が増え続け、可処分所得は減っていく一方。明るい話題に乏しい現在の状況に、多くの人が将来に対する不安や絶望感を抱いていることでしょう。
このような状況が続く中では、社会全体に閉塞感が漂い、「日本はもうオワコンだ」といった声を聞くことも珍しくなくなってきました。しかし、日本は本当にもうオワコンなのでしょうか。希望を見出せず、絶望の中で生き続けるしかないのでしょうか。
人々が日本をオワコン視する原因の1つには、マスコミの影響も挙げられます。新聞やテレビといったマスコミが、危機感を煽るような報道を毎日続けることによって、私たちは日本社会を絶望視するようになっていたという側面も否めません。
しかし、これは仕方のない面もあります。マスコミも商業です。発行部数や視聴率を得られなければ事業を継続することができません。そして、人々はポジティブな情報よりもネガティブな情報に反応するため、世の中を悪く描き続けるのです。
例えば、ニュース番組で「世の中は、今日も平和で安全で、平穏無事でした。将来も明るいでしょう。」という発言をされたらどうなるでしょう。おそらく、人々はもうテレビを見なくなってしまいます。何も問題ないのであれば、見る必要もないからです。
しかし、「世の中は危険で、物騒で、悪い人間がいっぱいいる。将来は暗くて大変だ。」と言えば、自分の身を守ろうとする意識が働き、人々は報道を見るようになるのです。
そして、そうした報道が繰り返されてきた結果、多くの人々が「将来はお先真っ暗」と思い込むようになりました。「世の中はお先真っ暗だ」と思っている人が増え、その人々が社会を作り出しているので、世の中は本当に「お先真っ暗」に向かっていっているのです。
これが、世の中に閉塞感や絶望が広がっている原因の一つだと言えます。将来を明るく、希望のあるものにするためには、この流れを止めなければなりません。
ここで重要なのは、こうした絶望感は必然的なものではなく、私たち自身の視点や選択によって、変えることができるということです。希望は、状況に左右される感情ではありません。自分の意思で持つものなのです。
事実として、経済が低迷し、社会課題が山積みであるという現実は変わりません。しかし、その現実をどう解釈するか、そしてその解釈に基づいてどのように行動するかは、私たちの意思に委ねられています。
「日本はもうオワコンだ」と考える人にとっては、すべての状況が「日本がオワコンである理由」として映ることでしょう。しかし、「まだ希望はある」と考える人にとっては、そこに改善の余地や、取り組むべき課題を見出します。
事実は変えられませんが、解釈は変えられます。そして、私たちは事実で世の中を見ているのではなく、解釈で世の中を見ているのです。希望を持つ意思は、個人の視点を大きく変えます。たとえ同じ状況であっても、「まだチャンスがある」と考える人と、「もう終わりだ」と諦める人では、取るべき行動も結果も異なります。
希望を持つという意思を持つことは、私たちに生きるエネルギーを与えてくれます。悲観的な将来のために、人は頑張ることはできません。明るい将来を思い描くことで、前へ進むことができるのです。そして、それは状況への対応ではなく、自分の意思によって選ぶことができるのです。
希望を持つためには、自分自身の力を信じること、すなわち自己効力感を高めることも欠かせません。自己効力感とは「自分にはできる」という感覚であり、自分の能力に対する信頼を表す概念です。
自己効力感を高めるためには、下記の4つの方法が有効です。
どんなに小さなことでも良いので、日々の生活や仕事の中で、目標を立てて達成するという体験を積み重ねることで、「自分ならできる」という自信が少しずつ培われていきます。
成功者のストーリーを聞いたり、彼らの経験からヒントを得ることで、「自分にもできるかもしれない」という可能性を感じられるようになります。
他者の経験を自分の記憶に取り入れることを「代理学習」と呼びます。世の中のすべてを自分で経験することは困難です。一度でも「聞いたことがある」という状態にすることで、未知への挑戦の心理的なハードルを下げてくれます。
他者からの説得も自己効力感を高める効果があります。「君ならできる」という言葉を言われ続けると、たとえ最初は自信がなかったとしても、だんだん自分でもその気になってきます。これが自信や勇気につながるのです。
健全な精神は健全な肉体に宿ります。また、健全な肉体は、健全な精神によって作られます。生活習慣を整え、自分のコンディションを良い状態に保つことは、物事に対する前向きさ、積極性、意欲を固めてくれます。
逆に、体調が悪くなったり、気分が落ち込むと、意欲や自信を失っていきます。心身の健康管理は、文字通りセルフマネジメントなのです。
将来に希望を持つためには、長期的に物事を考えることも必要です。短期的な視点に囚われると、絶望感に押しつぶされることがあります。
例えば、近年よく用いられる「ガチャ」という言葉は、短期的な視点からくる無力感の象徴だと言えるでしょう。「親ガチャ」「配属ガチャ」「上司ガチャ」という言葉は、外部環境がその人の結果を決定づけるという考えの表れです。
確かに、短期的な成果だけを考えれば、ガチャの当たり外れが与える影響は大きいでしょう。親の地位や経済的な優位性に恵まれた人が「ガチャに当たった」と称されることがありますが、これはあくまでスタート地点での有利さを示しているに過ぎません。その後の成功は、本人の努力や行動次第で大きく変わります。
新入社員が、初年度に配属ガチャに当たったとしても、数年のうちに人事異動があり、自分の意に反する状況に身を置かねばならなくなることも、決して珍しくありません。
一方で、スタート時点では恵まれなかったとしても、最終的には「ガチャに当たった」と言われる人々を凌駕する成果を手にすることもあります。
たとえば、スポーツ界で活躍する選手やビジネスで成功する人々の多くは、長い努力の積み重ねによってその地位を手に入れています。短期的な失敗にとらわれず、長期的な目標に向かって歩み続けることで、努力が運を超えていくのです。
つまり、短期的に見れば運の影響は大きくても、長期的に見れば運の要素は限定的になるということです。長期的な視点に立てば、運よりも自身の努力の方が、成果に大きく影響を与えることになります。
希望は個人の人生だけでなく、社会全体にも影響を与えます。一人ひとりが希望を持ち、行動を起こすことで、小さな変化が連鎖し、やがて大きな社会的変革を生み出します。
例えば、2024年は東京都知事選挙、兵庫県知事選挙、衆議院選挙など、選挙の結果が話題になることがたびたびありました。その結果が良かったのかどうかは、現時点では何とも判断がつきません。それは後世が評価することです。
しかし、一人ひとりの意識と行動が変わることが、既定路線の結果を変えることになったという点では、印象的な出来事が続いた年だったと言えます。
希望を持つことは、単に楽観的になるという意味ではありません。それは、現実を受け入れた上で、自分自身が「変化を生み出す主体となる」という意思を持つことです。希望を持ち、自分の力を信じることで、社会全体の閉塞感を打ち破ることができるのです。
絶望に満ちた時代だからこそ、一人ひとりの「希望を持つ力」が必要とされています。希望は「ある」「ない」ではなく、自分の意思で「持つ」ものです。
自分自身の未来、そして社会の未来を変える第一歩として、「自分の意思で希望を持つ」ことを選んでみてください。その選択が、あなた自身の人生を、そして私たちの社会をより良いものにしていく鍵となる。私はそう信じています。
本日も最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
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