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コミュニケーション

2025.7.28

ダメ上司のダメな会議が組織をダメにする

会議というのは、どんな会社でも避けて通れない重要な業務スタイルのひとつです。

しかし現実には、「うちの会議は素晴らしい」という声はほとんど聞こえてきません。私自身、さまざまな企業を回るなかで「会議が非効率で無意味だ」「やり方が悪い」といったネガティブな声ばかりを耳にしてきました。その背景には、会議の進め方を誰も教えてくれない、学ばないまま「見よう見まね」で続けてしまっているという現実があります。

しかも多くの職場で「見て覚える」対象の会議自体がすでにイケていない場合が多いのです。その結果、非効率な会議が引き継がれ、ダメなやり方のまま続いていくことに。気付かないうちに自分自身がダメ上司になってしまい、組織の空気まで悪くしてしまう…そんな事態も珍しくありません。

そこで今回は、「ダメ会議」が生まれる5つのポイントを取り上げます。自分が主催する会議や参加している会議がこれに当てはまっていないか、ぜひチェックしながら読み進めてください。

1. 会議当日に資料を配る

会議に入ったら大量の資料がドンと配られ、「はい、ここから持っていって」と司会者が配布を始める…。こうした光景は多くの企業で見かけます。会議が始まると、資料を解説しながら議事が進んでいきますが、参加者は皆、下を向いて必死に資料を読み込むばかり。説明を聞きながら内容を理解しようとしても情報量が多すぎて追いつけません。

その結果、「はい、質問がある方いますか?」と司会者が聞いても、会場はシーンと静まり返ってしまいます。頭の中は「まだ理解できてない」「何を聞いていいのかわからない」という状態なのです。司会者も「質問がなければ次に進みます」となり、議論は深まらないまま終了してしまいます。

この流れが繰り返されるため、「うちの若手は意見を言わない」などと嘆く声が出てくるわけですが、本当は意見を出す準備ができていないだけなのです。

このような事態を防ぐためには、必ず前日までに資料を配布し、会議前に目を通す時間を設けることが大切です。また「明日はこの内容について議論するから、必ず考えてきて」「全員に発表してもらうから意見をまとめてきて」など、参加者が心の準備や意見の整理をできるよう促すことも重要です。

2. 数値の報告だけで終わる会議

特に定例会議でよく見られるのが、報告だけで会議時間の大半が終わってしまうパターンです。

「では先月の実績を発表してください」「はい、ありがとうございます。次の方」―この流れで30分、40分があっという間に過ぎていきます。最後に「残り15分で議論や意思決定を…」となっても、まともな意見交換や結論は出せません。

そもそも報告事項は会議の本番ではなく、「議論や意思決定のための前提情報」に過ぎません。数値の報告に時間を使いすぎるのは、極めて非効率です。本来は報告や情報共有は事前に資料化し、チャットやメールで全員に配布すれば済みます。

参加者は会議前に内容を確認し、「どうやって問題解決すべきか」「どんな意思決定が必要か」に集中するべきなのです。

また、報告資料を作るのが手間であれば、最低限の数字や状況をテキストで共有しておくだけでも構いません。皆が目を通しておけば、「あ、この人は順調」「この人は課題がある」とすぐに分かります。会議本番はその上で「どう打開策を考えるか」「誰が何をいつまでにやるのか」といった本質的な議論に専念できるのです。

3. 発言するのは職位の高い人だけ

日本企業にありがちな会議の姿が「偉い人だけが発言し、若手や一般社員は黙っている」という構図です。部長や課長が進行を担い、意見交換もほぼそのレベルの人しか行いません。

一般社員は「意見がない」のではなく、「言いにくい」「どうせ否定される」「空気を読んだ方が無難」と感じてしまうのです。

最近では「心理的安全性」という言葉が広がっていますが、まさにこの「発言しやすい空気」をどう作るかが、会議の成功を大きく左右します。具体的には進行役はなるべくナンバー1ではなく、ナンバー2や3の立場の人が担当し、最も権限のある人は「意見が出揃うまでは黙っている」という姿勢が理想です。こうすることで、若手やキャリアの浅い人でも「自分の意見を言ってみよう」と思える雰囲気が生まれます。

また、「資料を事前に配り、各自で考えてきたことを一人ずつ発表する」ようにすることで、誰もが発言しやすくなります。全員が自分の意見を持ち寄ったうえで、最終的にリーダーがジャッジを下す―これが健全な会議の進行なのです。

4. 参加人数がやたら多い

続いて、ダメ会議の4つ目の特徴は「参加人数がやたら多い」という点です。

これは多くの日本企業でよく見られる光景で、10人、20人、時にはそれ以上の人数が一堂に会する会議が当たり前のように行われています。部会なら部の全員、全社会議なら全社員が集まる、といった形式です。

一見、全員で情報を共有し意思統一を図っているように思えますが、実際は発言するのは一部の役職者や幹部クラスばかりで、ほとんどの参加者は聞き手に回っています。20人もいれば、全員が平等に意見を言うのは物理的にも無理があり、実際に発言するのは限られた数人だけです。

しかも、多くの人が「自分が発言しても意味がない」「ここにいるだけでいい」と感じ、会議への当事者意識も低くなりがちです。

さらに問題なのは、「会議に参加しているだけで仕事をした気になる」空気が生まれてしまうことです。自分には関係ない議題にも付き合わされ、1時間、2時間と拘束されることで、他の仕事が進まず、組織全体の生産性も大きく下がってしまいます。

この問題を解決するには、「本当にその会議に参加する必要がある人だけを呼ぶ」「プロジェクト単位や議題ごとに少人数で集まる」「関係のない人は途中退席OKにする」など、会議の単位と設計を柔軟に見直すことが重要です。どうしても全体で集まる必要がある場合は、最初の5分〜10分程度だけ全体連絡をして、その後は関係する人だけが残って本題を話し合う、というような運用が現実的です。

ちなみに、全社員が集まるような「全体会議」は、むしろイベントやセレモニーに近い意味合いです。新年度や年末の方針発表、表彰式など、所属意識や一体感を高める目的ならば集まる価値がありますが、日常的な会議で大人数を動員するのは避けた方が良いでしょう。

大事なのは、全員が「当事者」として関われる場をつくること。参加者全員が意見を言いやすくするには、4~6人程度の小集団を作ることが重要です。

5. 目的・目標が曖昧

ダメ会議の5つ目の特徴は「目的・目標が曖昧」なことです。

これは実に多くの会議で当たり前のように起きています。「何月何日、○○会議室」とだけ記載された案内が流れ、集まってみると「さて、今日は何について話すんだっけ?」という空気が広がる―あなたもそんな経験があるかもしれません。

たとえば「先月の営業実績について」とだけ議題が示されている場合、そもそもなぜそれについて話し合うのか、どんな結論を出すことがゴールなのかが不明瞭です。話し合いの中で「うまくいってない人だけ集めて個人面談すればいいのでは?」「みんなで集まる必要があったのか?」と感じることも少なくありません。

目的やゴールが曖昧なまま会議が始まると、参加者も心の準備ができません。せっかく集まっても「何を決めたら終わりなのか」「自分は何を考えて発言すべきか」が分からないため、議論が迷走しやすくなります。結局、だらだらと時間だけが過ぎて「今日は結論が出なかったから、また次回に持ち越そう」という不毛なループに陥ってしまうのです。

こうした事態を防ぐためには、「会議の目的」と「終了の条件」を事前に明示しておくことが欠かせません。たとえば「今期の売上目標が未達なので、あと100万円分をどうやって達成するか、全員で3つの施策を出して決める」といった具合に、目的とゴールを具体的に伝えておきます。

そうすれば参加者も自分の意見を事前に用意でき、建設的な議論と迅速な意思決定が可能になります。

さらに、目的がしっかりしていれば、会議中に論点がずれてきたら「今回のゴールはこれなので、そこに集中しましょう」と軌道修正できる軸が生まれます。無駄話や脱線を防ぎ、本当に必要な議論に時間を割けるようになります。

まとめ――ダメな会議を今すぐ変える一歩を

今回は「ダメ上司のダメな会議が組織をダメにする」というテーマで、典型的なダメ会議の特徴と、改善のポイントを解説しました。

会議の進め方ひとつで、職場の雰囲気も成果も大きく変わり、組織のあり方を表すといっても過言ではありません。「うちの会議、もしかして…」と思ったら、明日からできることを1つだけでも実行してみてください。会議の「質」は、あなたの組織の未来を左右します。

本日も最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

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