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時間管理

2026.3.21

【なぜ自分で決めたことができないのか】やるべきことを確実にやるためのたった1つの方法

なぜ自分で決めたことはできないのか

私たちは、上司からの指示や命令、お客様からの依頼、取引先との決め事などの「他者から求められたこと」はきちんと実行できます。

ところが、「自分で決めたこと」はなかなか実行に移せないのです。頭の中では「こうした方がよい」「これをやっていくべきだ」と分かっていても、どうしてもできない。

その根本的な理由は、「痛みがないから」です。上司からの指示や命令、お客様からの依頼をやらなければ、怒られたり、ご迷惑をおかけしたりという痛みが生じます。その痛みを避けるために、人から言われたことはきちんと実行できるわけです。

一方で、自分で決めたことは、やらなくても誰からも怒られませんし、誰にも迷惑をかけません。だからこそ、どうしても後回しになってしまうのです。

しかし、優れたリーダーやビジネスパーソンは、この「自分で決めたことをきちんとやり抜く」能力に長けています。やることを決め、決めたことをやる—これが、自ら考えて行動する自律型人材のセルフマネジメントです。

当社の研修が1日や半日の知識インプットで終わらない理由もここにあります。どれだけ知識や情報を得ても、それを職場で実践しなければ何の意味もありません。結果を生み出すのは行動ですから、導入研修の後に職場で実践する期間を設け、その結果をフォロー講座で発表していただくという設計にしています。

これはいわば、外圧を意図的に作り出す仕組みです。多くの研修会社や講師が「本日の学びを職場で実践してください」という言葉で研修を締めくくりますが、その言葉だけで実際に動ける人は全体の5%にも満たないでしょう。やってもやらなくても誰からも何も言われない状況では、ほとんどの人は動かないのです。

「時間がない」は本当の理由ではない

フォロー講座の成果報告会では、「申し訳ございません。計画が実行できませんでした」という発表が多くを占めます。その理由として挙がるのは、「通常業務が忙しかった」「不測の事態が発生した」「急ぎの案件が生じた」といったものです。表現はそれぞれ異なりますが、要するに「時間がなくてできませんでした」という話です。

気持ちは理解できます。私たちは日々忙しく、あれもしなければならない、これもしなければならないという状況に置かれています。しかし、できなかった理由を「時間がないから」と言っているから、いつまで経ってもできないのです。

時間が本当にないのであれば、他の仕事もできないはずです。時間は限られており、その中でどの仕事をするかを私たちは常に選択しています。業務の効率化、マニュアルの作成、業務の引き継ぎ、部下との1on1—こうした取り組みは急ぎではなく、やらなくても痛みが発生しないから後回しにしているだけです。

つまり、できなかった本当の理由は「時間がないから」ではなく、「優先順位が低いから」なのです。非常に厳しい指摘かもしれませんが、これが真実です。ここと向き合わないかぎり、やるべきことはいつまでもできません。現状のやり方をそのまま続けながら「生産性が低い」「効率が悪い」と言い続けることは、リーダーやマネージャーの仕事ではないのです。

解決策は「強制的に優先順位を上げる」こと

では、どうすればよいのか。結論から申し上げると、強制的に優先順位を上げるしかありません。緊急ではないけれども重要な、将来に投資する仕事を1日の最初に行う。これが最も効果的な方法です。

まずは1日15分から30分、長くても1時間程度で構いません。それを1日の中で最初に取り組む時間として確保するのです。

例えば、9時から17時までが所定労働時間であれば、9時から10時の1時間をこうした「急ぎではないが重要な仕事」に充てます。

そして、残りの10時から17時までの6時間(昼休憩を除く)で、もともとあった業務をすべてこなすようにするのです。そうすれば、この最初の1時間だけは確実に前進できますから、「まったくできませんでした」という事態にはなりません。

「でも、もともと7時間でやっていたことが6時間で終わるはずがない」と思われるかもしれません。しかし、これはちゃんと終わるようになっています。

ここで参考になるのが「パーキンソンの法則」です。これは「仕事の量は、その仕事をやるために与えられた時間を全て満たすまで膨張する」という法則です。平たく言えば、どれだけの時間をかけてやろうと思っているかによって、仕事のサイズは増えたり減ったりするということです。

時間がなければないなりにしか仕事は回せませんから、必要最低限のレベルでその仕事を済ませるようになります。そしてそれでも、実は問題はないのです。当社ではこれを「オーバースペック納品」と呼んでいます。別にそこまでしなくてもよいものを、時間があるからついつい過剰にやってしまう傾向があります。

例えば、報告書や提案書の作成、会議やミーティングへの参加といった場面がその典型です。時間があれば丁寧に文章を書きますが、時間がなければ箇条書きで簡潔に最低限のことだけ書く。

しかし、報告書の目的によっては、それで十分であることも多いものです。文芸作品を書くわけではありませんから、そこまで凝った表現は必要ありません。時間がなければ必要最低限に収めることが自然とできるようになるのです。

朝一番に取り組むべき理由 | 本当に優れたビジネスパーソンの条件

重要な仕事を1日の最初に行うことには、もう一つ理由があります。午前中の方がエネルギーレベルが高いからです。

業務の効率化、マニュアルの作成、業務の引き継ぎ、部下との1on1—こうした取り組みは、実際にやってみると非常に手間がかかります。

日常業務は慣れているためスムーズに進み、仕事をしている実感が得られます。しかし、こうした重要な取り組みはやり慣れていないため、1時間かけてもあまり進んでいる感じがしません。それゆえ「仕事をしていないような錯覚」に陥りがちです。しかし実際には、こちらの方がよほど重要な仕事なのです。

疲れが溜まってきた午後や夕方に「時間ができたらやろう」と思っていても、エネルギーレベルが下がっている状態では、なかなかできるものではありません。1日の中で最もやる気があり、頭が冴えている時間帯に取り組まなければならないほど、これらは難しい仕事です。だから、難しいからこそ先にやるという習慣付けが重要になってくるのです。

私自身も、研修教材の準備、実施した研修の報告書の作成、依頼された企画書の作成など、やるべきことは多くあります。しかしそれだけをやっていてはビジネスはそれ以上大きくなりません。

新しい顧客と知り合う機会を作り、新しい案件を生み出すための活動—YouTubeやXやブログを活用した情報発信、セミナーの企画・開催といったことは、頻繁にやり慣れた仕事ではないため、正直なところ気が重い面もあります。

しかしだからこそ、先にやるのです。そして残った時間の中で日常業務を済ませようとすると、「ここはそこまで手をかけなくてよい」という部分が、時間に余裕がある時よりも見えてきます。

それは決して手抜きではありません。お客様にとって重要なのは、期待している価値を受け取れるかどうかです。提供する商品やサービスが優れていれば、こちらがどれだけ時間をかけたかはお客様には関係のないことです。自分起点ではなく、相手が受け取る価値を起点に考えれば、時間をかけなくてもよい部分は自ずと見えてくるはずです。

目先の仕事をこなすことも大切ですが、それに加えて、自分で決めた「急ぎではないけれども重要なこと」を確実にやり遂げる。この両方を実行できる人こそが、本当に優れたビジネスリーダー、ビジネスパーソンであると言えます。

「時間がなくてできなかった」という言葉の裏にある真実—それは、自分で優先順位を下げているということです。この事実をまず受け止め、強制的に優先順位を上げる習慣を身につけていくことで、やることを決め、決めたことをやる「自律型人材」へと着実に成長していくことができます。

有言実行の人間は信頼されます。自分でやると決めたことを、決めた通りに実行できる人を目指していきましょう。

本日も最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

この記事を書いた人

小松 茂樹(こまつ しげき)

中小企業診断士・キャリアコンサルタント。株式会社ビジネスキャリア・コンサルティング代表取締役社長。「デキる人を増やして社会をもっと快適にする」を理念に、人事・組織コンサルタントや研修講師として活動。理論的な背景と情熱的な語り口を交えた講演スタイルに定評があり、セミナーや研修で高い支持を得ている。登壇実績 862件、1,015日間(のべ受講者数17,334名)*2025年12月末現在

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