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コミュニケーション

2026.1.19

職場の最悪な人間関係を改善するコミュニケーションの取り方

職場で最も多い悩みは「人間関係とコミュニケーション」

今回のテーマは「職場の最悪な人間関係を改善するコミュニケーションの取り方」です。

私は研修講師として様々な企業を訪問し、管理職研修や中堅社員研修、若手社員研修といった形で多くの方々とお話をしています。そこで職場のリアルな問題について話し合っていただく演習を度々行うのですが、そこで上がってくる題材として圧倒的ナンバーワンは、何と言っても「人間関係とコミュニケーション」なのです。

具体的には、「情報共有ができない」「仕事が縦割りになっている」「みんな自分のことだけ考えて他の人と協力しようとしない」といった話がよく上がってきます。前提として、決して悪い人たちではないのです。悪意があってやっているのではなく、単純にお互いに興味がないだけなのです。まず自分がうまくいっていれば他の人はどうでもいい、あるいはそこまで余裕がないということでしょう。

やることが非常に多いですし、生産性、効率、タイムパフォーマンスを意識すると、他の人に構っていられません。そのため、自分のことに全力で全集中するわけですが、それが積もり積もって、横同士の連携がとても取れる状態ではなくなっている、こういう話が多いのではないかと思います。

しかも、これは今に始まったことではありません。もう何年も前からこういう話はずっと続いています。研修で同じ企業様に毎年伺っていても、上がってくる話題は大体これなのです。何も変わっていないのです。

そのため、この人間関係とコミュニケーションに関しては、何か有効な打ち手、分かりやすい解決方法のようなものが作れないかとずっと考えていました。そして、ようやく整理ができたのです。どういう構造で職場のコミュニケーションが成立していて、どこがうまくいっていないから問題が出てくるのか、自分なりに整理できました。

今回お話しするのは、有名な学者の理論ではなく、自分なりに勉強したり考えたりして整理したことを一つの体系として作ったもので、完全にオリジナルの話です。職場の人間関係やコミュニケーションに悩んでいらっしゃる方にとっては、状況を打開し改善する一助になるかもしれませんので、ぜひ最後までご覧ください。

職場コミュニケーションの5段階モデル

それでは本題に入ります。「職場コミュニケーションの5段階」という私が独自に作った理論をご紹介していきたいと思います。

まず前提として、職場の人間関係のあり方で最も望ましい姿は何かというと、「相互信頼と協働の世界」です。お互いに信頼し合って共に働き、協力して役割分担をして、相乗効果を生み出す。

1+1が3にも4にも5にも6にもなるチームワークができている状態です。この状態になっていると、お互いに建設的な対話ができ、言いづらいことも率直にフィードバックができる間柄になっていきます。この状態を目指していきたいわけです。

ただし、そこに辿り着くには、4つの段階を経ていく必要があります。ピラミッド構造で表現している通り、やはり土台がしっかりしていないと上部がぐらついてしまい、うまくいきません。まずは、下から着実に積み上げていくことが大事になってきます。

第1段階:形式的接触

一番の土台となるのは「形式的接触」、つまり挨拶と礼儀です。挨拶は非常に重要です。挨拶はコミュニケーションのまさに土台なのです。

挨拶は形式的に会話をするということではなく、そもそもの語源として「敵意がないことの表明」なのです。「私はあなたに危害を加える人間ではない」という安全の証明であり、そこに声を自らかけるということが「相手の存在を承認している」ということになります。

つまり、「私はあなたを大切な人間として扱います」という意味が込められたのが「おはようございます」「こんにちは」「よろしくお願いします」になってくるわけです。これすらできないのでは、当然その上の段階にはいけないのです。

挨拶、軽い相槌、当たり障りのないやり取り、まずこれが形式的接触です。接触頻度を上げていくことによって、より深いコミュニケーションができるようになります。挨拶すらしない相手とは、何の会話もできないのです。

特に初対面であったり、関係性がまだできていない方との間柄では、挨拶はとても重要です。相手と距離がある状態で緊張を和らげ、敵意がないことを示し、そこから話につなげていくための相手と接触するきっかけになります。様々な要素を含んでいるのがこの挨拶や礼儀の形式的接触の段階であり、まずこれがベースにあります。

第2段階:表面的交流

この挨拶をするようになって、第2段階である「表面的交流」の段階に入ります。これは雑談や軽い共感です。天気の話、趣味の話、週末の過ごし方など、こう言っては何ですが「どうでもいい会話」です。

ただ、この「どうでもいい会話」を通じて、相手と自分との外側の情報を共有することによって、話しやすい場を作っていくのです。相手に関する何かしらの知識や情報を得ていけばいくほど、相手に対する関心が上がっていきます。逆に相手のことを何も知らないという状態では、相手に関心を抱きようがないし、話しかけようもないわけです。

まずは当たり障りのない会話から、探り探り相手に関する情報を得ていき、相手との共通点を探そうとします。そうして話ができる状態を作っていくことによって、心理的安全性が生まれ始めます。特に仕事に絡まない、正直どうでもいい会話であればあるほど、「何かを言ってはいけない」と慎重になりませんし、相手の気分を害することも考えにくいでしょう。お互いに話ができる関係性がないことには心理的安全性が保たれていかないので、まずこの表面的な交流という段階を経ていきます。

第3段階:業務的協力

その次にやってくるのが、第3段階の「業務的協力」です。これは要するに「通常の仕事を回す」状態です。いわゆる報告・連絡・相談、仕事に関する必要最低限の情報共有をしていくことです。

仕事は人と人との共同作業や連携によってなされていきます。報告・連絡・相談をすることによって、相手にとって少しまずいことが起きたり、相手にとって不利になることが当然出てきます。少しずつ、この段階から利害の衝突というものが出てきます。それをしっかりと、相手の言い分を聞き、こちらの主張をするというのを積み重ねて釣り合わせていくことによって、相手との関係性がより強くなっていき、相互に信頼をしていくようになるわけです。

日常業務は基本的に、この業務的協力関係がしっかりと築けていれば滞りなく回るという状態になっていきます。表向きはこれでうまくいきます。ただし、この状態だと「仕事が縦割りになる」「我関せず」という状態から抜け出せないのです。

「私は私の仕事をしっかりやっています」「あなたはあなたの仕事をしっかりやっているのですね」ということを確認し合っているだけですので、そこから一歩踏み込んで、お互いが独立して仕事しているのではなく、連携して共同作業をしましょうという場合には、次の段階に向かっていく必要があるのです。

第4段階:内面的共有・相互信頼と協働

それが第4段階の「内面的共有」です。価値観や悩みを共有していくということです。仕事の意義、目的、価値観、あるいはキャリアに関する悩み、人間関係における悩み、少しうまくいっていないことなどを包み隠さず話して、お互いに相談に乗り合えるという状態です。

こういう会話が同僚や上司とできていると、心理的な安全性はとても高い状態だと言えますし、チームの結束や絆のようなものが感じられる状態になってきます。

表面的に仕事を回すだけであれば、こういう話までいく必要がないのです。自分の弱さを表に見せることにもなりますし、相手のデリケートな部分に触れるという話にもなりますから、この会話は慎重になります。自分が信頼を寄せていない相手とは、やはり悩みや価値観の共有はできませんし、本質的な議論に入っていこうとしません。

日常の表面的な報告・連絡・相談から一歩を超えて、深い悩みを共有できるレベルになれるかなれないかという差、ここが大きいです。表向き仕事が回っているけれどもチームとして強い信頼関係が作れていないという境界は、この第3段階と第4段階の間にあるのです。

この第4段階のレベルに到達し、そこからさらに一歩踏み込んで相手のためになりそうなことを伝える。あるいは組織のミッション・ビジョン・理念に合致するような最も望ましい意思決定をするために、何を諦めて何を優先すべきなのかといった会話をどんどんしていくようになると、最終的に建設的な対話や率直なフィードバックができる「相互信頼と協働の世界」に入ってきます。ここを目指していくということなのです。

この段階に来ると、相手の人格や能力を尊重し、お互いがどんな人であるかを内面レベルまで十分に理解できるようになります。「この人はこういう人だ」というお互いの人間としての理解をベースとして、より良いものを生み出すため、より良い仕事をするために、時には相手を戒めたり、偏った考え方を正してもらうという踏み込んだアプローチも取っていけます。それができる状態が「組織コミュニケーションの最高段階」なのです。

土台のぐらつきが上の段階に影響する

最初の話で触れた「仕事が縦割りになっています」「我関せずです」というのは、このモデルで言うと第3段階と第4段階の間で行き詰まっているという話になります。ですが、報告・連絡・相談をしっかりやっていればその延長線上でより深い中身まで入っていけるのかというと、なかなかそこに踏み出せなかったりします。

それはなぜかというと、形だけで第3段階をやってはいるのですが、その土台になっている雑談や挨拶がちゃんと機能していないからです。土台がないため、この業務的協力も表面的にやっているように見えても、実はしっかりと機能していないということになるのです。

実際に話を聞いてみると、最低限の報告・連絡・相談はやっているものの、同僚と雑談しているかというとほとんどしていないし、なんなら挨拶すらほとんどしていない。黙って会社に入ってきて、黙ってパソコンに向かい黙々と仕事して、必要最低限の会話を交わして帰る。

一応仕事を回しているといっても、これではコミュニケーションの段階は上がりません。土台がないからです。挨拶や雑談といった、仕事以前の人と人との自然なコミュニケーションができている状態の上に、報告・連絡・相談が乗ってくるからこそ、そこに心理的安全性と相互の信頼が培われていって、「これ、ちょっと行き詰まっているのだけれども、思い切って相談してみようかな」という殻を破っていけるようになるのです。

人間は自分に期待されたり、信頼されたり、心を許してもらっていると感じると、「その期待に何か応えてあげたい」という心理が無意識に働きます。しかし、打ち明けてもらわないことには、別に頼られていないし、ひょっとしたら信頼されていないのかもしれないと思い、その人のために何かをしてあげようという気持ちにならないでしょう。

最低限の情報共有だけしていて、そこから一歩踏み込めるかというと、それは難しいです。日頃から雑談などをしていて、相手の「人となり」が分かっている、この人に話して大丈夫だという安心感がないとそこに踏み出せません。そして、まずは最低限、顔を合わせたら挨拶をするという関係性ができていないことには、雑談にも踏み込めないのです。

挨拶から雑談へ、雑談から仕事の話へ

チームワークが機能しない、情報共有ができないといった時に、このモデルの中のどの段階で止まっているのかを考え、「なぜそこの段階で止まっているのか」を掘り下げて考えてみましょう。そして、そこ自体に問題があるのではなくて、その土台がぐらついているからだと気づけば、まずはしっかりと挨拶をする、職場の同僚と雑談をすることの重要性にたどり着くようになります。

いきなり雑談するのが不自然であれば、一緒にご飯を食べに行くとか、もし行けるなら飲みに行くといった形で、まずベースの関係を作っていくことが有効です。意図的にこの段階を一つひとつクリアしていこうとする、お互いがそういう認識を持ちながらコミュニケーションを取ろうとする、その積み重ねで、コミュニケーションレベルは成熟していきます。

職場の中で顔を見たら挨拶ぐらいはするけども、その人と雑談するかというと、なかなかその糸口がつかめないという場合もあるでしょう。であれば、その挨拶にプラス一言を加えてみましょう。「おはようございます。いやあ、だいぶ寒くなってきましたよね。実はうちの家族でちょっと風邪気味な子が出てきて、お宅はどうですか?」といった話をすると、自然に雑談に入れるでしょう。挨拶は雑談に移るための突破口なのです。

そして、雑談をしながら、少しずつ仕事の話に寄せていくのです。「今年はほら、インフルエンザが流行っているじゃないですか。うちの部署でも1人出たんですよ。その方はお子さんからもらってきたらしいんですけど、大体こういうのって一周するって言うじゃないですか。今その方が休んでいて、復帰された時にまた別の人がインフルエンザで抜けたりとかになっていくと、ただでさえウチもギリギリで回しているのに、完全に止まってしまうんですよね。その人がいないと。」といったところから、仕事の話になっていきます。

職場のコミュニケーションのベースは報告・連絡・相談です。雑談もしつつ、業務の情報共有も並行して行います。そうやって、公的なことも私的なことも話ができるという関係性になっているから、話しやすい、相談しやすい雰囲気ができて、そこから少しずつ内面的な共有ができるようになってくるのです。

フィードバックの前にまず「聞く」ことが重要

内面的共有の段階に移った際、最初に気をつけなければならないことがあります。それは、「まずは聞くに徹する」ということです。いきなりフィードバックや「ためになること」を言おうとすると、逆に相手が反発してしまいます。重要なのは、まず相手の話を聞くことなのです。

相手がどういうところに行き詰まっていて、どういう風に悩んでいるか。それを「はい」「そうなんですね」「そうでしたか」とうなづきながら、丁寧に耳を傾けます。「ちゃんと聞いてもらった」という相手の安心感がないと、真摯なフィードバックは肯定的に受け止めてもらえません。

自分の話をちゃんと聞いてくれていない、ちゃんと理解してくれていない相手に「私の考えでは、こうした方がいいと思う」と言われても、「まず私の話を聞いてください!」と反発を招くわけです。

まずは、相手の話を聞く。「この人はこういうことに悩んでいるのか。でも、それって思い込みや勘違いかもしれないな」と感じたとしても、否定せずに一通り話を聞く。その上で、「そういう風に感じているんですね。でも別の見方をすると、こういう考え方もありなんじゃないですか」と伝える。

そうすると、話し手は「私の考えを受け止めてくれている」「私のことを分かってくれている」と感じ、信頼関係が強くなる。その結果として、建設的な対話や率直なフィードバックができるようになっていきます。

ぜひあなたも、職場の人間関係やコミュニケーションがうまくいっていないと感じるなら、このモデルをもとに「今どの段階で行き詰まっているのか」「そこで行き詰まるということは、それより下の段階のどこに問題があるのか」を振り返ってみてください。

おわりに:「誰とやるか」の重要性

以上、今回は「職場の最悪な人間関係を改善するコミュニケーションの取り方」についてお話をいたしました。仕事は「何をやるか」も大事ですが、「誰とやるか」も重要な要素です。

とはいえ、仕事をする相手を必ずしも自由に選べるわけではありません。たとえ、独立しているフリーランスであったとしても、実際に仕事をしていくとなると、いろいろな人と関係を作っていく必要があります。自分と波長が合う人、合わない人がいますし、時には「この人とは一緒にやりたくないな」という相手ともうまくやっていかなければなりません。

ましてや、会社にお勤めになっていて、自分の上司や同僚を選べる状況になかったりすると、現にいま一緒にいる人たちと「うまくやっていく」ことが求められるのです。

しかし、いきなり強い信頼関係で結ばれた状態になれるわけではありません。まずはしっかりと挨拶をする。相手に対して丁寧に接する。品格を持って接する。仕事に直接つながらないような軽い話題から話ができる状態になっていき、そこから仕事の話をして、悩みを打ち明けてといった形で、一つひとつ段階をクリアしていくものです。

ぜひあなたも、職場の同僚や取引先と、より高次の段階のコミュニケーションが取れるよう、このモデルをうまく使ってみてください。

本日も最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

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