新卒採用、企業は学生のここを見ている

昨日はある企業様で、新規学卒採用の選考会をお手伝いしてきました。

司会進行をしながら学生さんの評価をするのはなかなかハードでしたが、貴重な体験をさせていただきました。
前職でも新卒採用を担当していましたが、他の企業様の採用に携わるのはこれがはじめて。

とはいえ、学生さんの選考基準は基本的には業界・職種問わず、ほぼ変わらないと改めて感じました。

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備忘録として、選考の観点を以下に残しておきます。

就職活動中の学生さんがこのページをご覧になるようであれば、参考にしていただければ幸いです。
そして、かくいう私自身、「自分でちゃんとできているかな?」と自省する良い機会となりました。

各社で新人研修も担当させていただいていますが、毎度「人の振り見て我が振り直せ」です。自分ができていないことには、指導するわけにもいきません。

すでにお勤めの方も、チェックリストだと思ってご覧いただければ幸いです。学生や新人を見ていると、「本来どうあるべきなのか?」につくづく気づかされます。

ビジネスマナー

身だしなみ、挨拶、言葉づかいなどです。

「これが選考基準?」と思われるかもしれませんが、正直なところ、これこそが選考基準だとも言えます。

マナー、印象、誠実さ、清潔感は仕事をする大前提です。どれだけ能力の高さを垣間見れたとしても、ここがおろそかになっている方は著しく評価が低くなります。

「お客様や取引先に何か失礼なことをしないだろうか」と不安に思えてしまうようでは、安心して仕事を任せることもできないですし、そもそも一緒に仕事をしたいという気になれません。

具体例

昨日の参加者の中に、知識や経験が豊富で話も上手であり、おそらく能力は高いのだろうなと思える女性の方がいました。

しかし、残念なことに髪がボサボサ。傷んでいるのか、膨らんで広がってしまっており、しかも結んでいない。振り乱しているような印象。

それに加えて、筆記試験中ずっと猫背で、机に覆いかぶさるように回答している。生活のすべてがだらしないのではないかと思えてしまいました。

能力が高そうなだけに、残念としか言いようがありません。

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男性でも一人、マナーで気になる方がいました。髪型がカジュアルすぎる(崩した感じ)。常に姿勢が悪い。ズボンのポケットからタグが見えている。極め付けには、グループ討議中の一人称が「オレ」。正直、救いようがありませんでした。

この他に気になったのは、

  • 筆記試験中の足癖
    気が緩んだのか、女性の方でパンプスから足を浮かせて、素足が見えている人がいました。就職活動続きで足が疲れているのかもしれませんが、企業側は文字通り「足元を見て」います。
    常に見られている意識を持って、会場のビルを出るまでは気を抜かないようにしましょう。
  • 待機中のスマホ
    開始時刻よりもだいぶ早めに来た方が、時間を持て余したのか、スマホを操作していました。
    メールやスケジュールを確認していたのかもしれませんが、これも印象がよくないです。やらないに越したことはありません。

コミュニケーション

ある調査によると、新入社員に求める能力として「コミュニケーション能力」が9年連続の一位になっているそうです。

コミュニケーションとは、思考・感情・意志を相互に伝達交流させる行為です。そこには、

  • 自分の言いたいことを明確にする
  • 自分の言いたいことを、正確に伝える
  • 相手の話を丁寧に聴く
  • 相手の話を正しく理解する

といったことが求められます。

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グループディスカッションや質疑応答は、これらの能力をまんべんなく見ています。どれもレベルが高いに越したことはありませんが、個々の能力の高さに加えて「バランス」も見ています。

「伝える力」と「聴く力」どちらも必要です。どちらが突出して優れていたとしても、もう片方が見劣りすると、評価は低くなります。

具体例

グループディスカッションで、とても強いリーダーシップを発揮している女性がいました。

完全に場を取り仕切って、ぐいぐいと話を進めていきます。頼もしい限りです。

しかし、他のメンバーがおとなしかったこともあって、ずっと彼女の独壇場になってしまいました。他の人の声がほとんど聞こえてきません。

「何かあったら、みなさんも言ってくださいね」と投げかけてはいるのですが、あまりにもパワーが強すぎるのか、他のメンバーはみな萎縮してしまっていました。口を挟む余地がありません。

たとえリーダーシップが強くても、伝える能力が高くても、これではコミュニケーション(相互理解)ができていると言えません。

他の人が何も言わないからといって、自分のペースで進めてしまうようでは、周囲から孤立してしまいます。これは仕事をする上では非常に危険な状況になります。

彼女の場合は、おとなしい人からでも発言を引き出せる「雰囲気づくり」や「質問力」を磨くことが望まれます。

コミュニケーションの取り方は相手によって多様に変化します。「伝える力」と「聴く力」、それぞれを場面や相手に合わせて調整していく能力が求められます。

 

また、話を「聴く」というのは、ただ聞けば良いというものではありません。

「聴く」という字は「耳」+「目」+「心」で構成されています。

五感を使って相手の話を聴くとともに、アイコンタクトやうなづきを交えて「ちゃんと聴いていますよ」という意思を相手に伝え返す必要があります。

これがしっかりとできている人は、採用してからも上司・先輩とうまくやってくれるだろうという安心感を与えてくれます。

その他

もちろん、マナーやコミュニケーションだけではなく、他にも様々な要素を見ています。

  • 意欲・態度
    積極的、主体的に課題に取り組んでいるかどうか。
  • 独自性
    自分の思いや経験を、自分の言葉で話せているか。就職本やセミナーなどから仕入れてきた借り物の言葉はすぐにわかります。
  • 論理性
    話の筋道が立っているか。相手に伝わるように話を組み立てられているか。

こういった面も、その人の印象を大きく左右します。また他にも、適性検査などのペーパーテストで、考え方や理解度も測ります。

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しかし、マナーやコミュニケーションは複数ある評価項目の中でも、特に評価に影響を与える重要なポイントです。

  • きちんとした身だしなみ・姿勢・言葉づかい
  • 自分の考えを正しく伝える力
  • 相手の話をしっかりと聴く力

 

これらはすべて、どんな業界のどんな職種に就職したとしても、入社してすぐに問われる必須項目です。だからこそ、これらができているかどうかが、評価を大きく左右するのです。

 

本日も最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

  

投稿者プロフィール

小松 茂樹
中小企業診断士・キャリアコンサルタント。株式会社ビジネスキャリア・コンサルティング代表取締役。人材派遣会社、健康食品会社を経て、経営コンサルタントに転身。営業力強化・業務改善・生産性向上・ビジネススキル向上など幅広い範囲で、業績向上や人材育成の支援を行っている。理論的な背景と情熱的な語り口を交えた講演スタイルに定評があり、セミナーや研修で高い支持を得ている。

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