新人をいち早く成長させるためには

先日、人事職向けのセミナーを開催しました。テーマは「新人・若手のOJT」。

 

人材不足を課題としている組織はとても多いです。「優秀な人材をいかに確保して採用活動を行うか」というテーマと並んで、「採用した人をいかに短期間で戦力化するか」というのも、多くの企業・団体における重要なテーマの一つではないでしょうか。

セミナーにご参加いただいた方々から、実に多くの意見が寄せられ、私自身もいろいろな気づきや刺激を得ました。

そして、最終的に思ったのは、やはり「ビジョンの明確さ」が何よりも大切だということでした。

 

OJTの運用の仕組みも重要です。誰を指導担当にあてるかも重要です。人事部門と事業部門の連携を密にすることも重要です。

しかし最も重要なのは、「どういう人物像になりたいのか」というイメージを共有することに尽きるのではないかと思います。

イメージを共有しないかぎり、実現も共有できない

本人と指導担当はもちろん、所属する職場のすべての人、さらには経営層までも含めた組織全体が、

  • 私たちはどうあるべきか
  • 私たちはどうなりたいのか

というイメージを共有し、本人と周囲の双方がそこに向かっていくことこそが、人材育成の根幹であり、本質ではないかと考えます。

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それをどのように実現するかという手法の問題は、組織によって千差万別です。事情も、環境も、資源、文化もそれぞれ異なる様々な組織に、画一的に通用する万能薬のような方法は、残念ながらありません。

ただし、あらゆる組織に共通して言えるのは、

  • 望ましいと思う姿を
  • 誰が読んでも同じイメージが描けるように
  • 明確に定義すること

が、欠かせないということです。

 

OJTの具体的な方法論としては、育成の到達目標、期限、行動計画などをあらかじめ計画として描き、業務遂行と1対1の面談を組み合わせながら、描いた軌道に載せていくことがセオリーとして挙げられることが多いです。

とは言え、それは「あるべき人物像」への到達ルートを、基本的な問題解決の手法を用いて実践しようとする試みの、単なる言い換えに過ぎません。やっていること自体が、特別だというわけではないのです。

物事の本質はとてもシンプルです。最も大切であり、かつ容易ではないのが、この「あるべき人物像を描く」ということなのです。

明確であること自体が「力」になる

一見、簡単なことのように見えますが、自分たちの組織として望ましい人物像を、思考・人格・スキルの面から、誰が読んでもイメージを統一できるように明確にするのは、必ずしも容易なことではありません。

しかし、これができないことには、どれだけ制度や手法を凝らしたとしても、なかなか思うような育成が進まないのだと思います。

 

明確さは、それ自体が「力」です。

 

人材育成に限らずあらゆる物事において、それが実現できるかできないかは、実現後の姿をどれだけ精緻に、明確に思い描くことができるかどうかによって成否が決まります。

不明確なゴールに対し、あいまいな計画で取り組んだ物事は、実現可能性が低くなります。

明確なゴールに、具体的な計画で取り組んだ物事は、実現可能性が高くなるのです。

何事においても、ことの本質は変わりません。「明確に描く」ということ。そこに尽きるのだと思います。

 

本日も最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

  

投稿者プロフィール

小松 茂樹
中小企業診断士・キャリアコンサルタント。株式会社ビジネスキャリア・コンサルティング代表取締役。人材派遣会社、健康食品会社を経て、経営コンサルタントに転身。営業力強化・業務改善・生産性向上・ビジネススキル向上など幅広い範囲で、業績向上や人材育成の支援を行っている。理論的な背景と情熱的な語り口を交えた講演スタイルに定評があり、セミナーや研修で高い支持を得ている。

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