あなたの仕事は誰でもできる

時間管理の研修やセミナーを何度か行う中で、ひとつ気づいたことがあります。

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それは、

誰もが、自分の仕事は重要で緊急だと思いたがる

ということです。

すべての仕事が重要で緊急だという錯覚

効率よく成果をあげるためにも、仕事以外の時間を確保して豊かな生活を送るためにも、「限られた時間の中で、どの仕事により時間を割くのか」という優先順位づけが重要です。

 

優先順位づけを行う際には、「重要度」と「緊急度」の2つの軸を設け、それぞれを「高い」「低い」
に分け、

  1. 重要度:高/緊急度:高
  2. 重要度:高/緊急度:低
  3. 重要度:低/緊急度:高
  4. 重要度:低/緊急度:低

の4つの領域を設定する、時間管理マトリクスを用います。

(時間管理マトリクスの詳しい説明は過去記事をご覧ください)
http://growingtree.jp/archives/2267

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研修やセミナーでは、事前課題としてあらかじめ記録した一週間分の仕事を上記の4領域に分類していただくのですが、

実に多くの方々が、自分の仕事の大部分を

1.重要度:高/緊急度:高

に分類してしまいます。

 

時間管理のセオリーは、重要度の低い仕事にかける労力を最小限にとどめ、重要度の高い仕事により注力することです。

やっている仕事のほとんどが重要度が高く、しかも緊急であると認識している限り、効率化を進めることは困難だと言えます。

 

「重要度:高/緊急度:高」の仕事は、優先してすぐに取り組まなければならない仕事であるため、大部分がこの領域に分類されるということは、ほぼすべての仕事を優先的に取り組まなければならないことになるのです。

これでは、時間がいくらあっても足りません。

 

どんな業界・業種・職種の仕事であっても、重要度の高い仕事はそれほど多くないと私は思っています。

全体の80%は20%の要素から生み出されるというパレートの法則から考えれば、成果の80%は20%の仕事から生み出されます。

 

とりわけ、オフィスワーカーの仕事の大部分は、コミュニケーションと管理から構成されています。

これらはすべて、仕事を「運営する」ための業務であり、決して仕事の「本分」ではないのです。

 

すなわち、日頃自分がやっている仕事の中で、本当に重要度が高いのは20%程度に過ぎないと考えた方が良いでしょう。

 

何が重要なのかを見極めよう

時間の効率をあげようとするならば、まずは自分の仕事を重要度の高い仕事と、低い仕事に分類しなければなりません。

 

重要度の高い仕事とは、その職種の目的に直結する仕事です。

  • 営業職であれば、顧客との対話
  • 販売職であれば、店頭での接客
  • 企画職であれば、アイデアの創造と体系化
  • 事務職であれば、迅速で正確なオペレーション
  • 管理職であれば、部下に成果をあげさせること

これ以外の諸々の仕事は、決して重要度が高いわけではありません。緊急度が高いだけです。

 

会議やミーティング、報告書類、提出物など、時間が定められていると、それを優先して行わなければならないように思ってしまいますが、それは実際のところそれは仕事の本分ではないのです。

どれだけ会議の出席率が良くても、どれだけレポートや資料が優れていても、それによって最終的に求められている成果が上がるとは限りません。むしろ、何の関係もないと思った方が良いかもしれません。

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仕事の80%は仕事のための仕事です。最低限のことができていれば十分です。できる限り少ない労力で済ませることを考えましょう。

そして、残りの時間を「本業」に向けるのです。

 

本業に投入する時間が増えれば増えるほど、成果に結びつきやすくなります

仕事の時間をより多く本業に割くことができるようになれば、限られた時間内に成果を上げることは十分に可能なのです。

 

緊急度に振り回されず、仕事の重要度を、仕事の本分から見定めましょう。

自分の仕事に誇りを持ち、自信を持つことも大切ですが、だからといって自分の仕事の大部分が「重要で緊急」であるわけではありません。

もしそうだとしたら、今頃あなたは使い切れないほどの報酬を得ているはずです。

 

本当に重要な仕事は20%。そこに全力を注げば良い。そう考えれば、気持ちも楽になります。

常に「忙しい」といって仕事に振り回されるのではなく、20%の本業に集中するために、残りの仕事をできる限り最短で済ませるよう考える。

それが、人生をより豊かにするための一歩だと私は考えます。

あなたの仕事は誰でもできる

どれだけ難易度が高く、専門性が必要な仕事であったとしても、個人事業主や経営者でもない限り、その人でなければできない仕事などほとんどありません。

 

かく言う私自身も、自分がやっている仕事が高度で専門的で、自分でなければこの仕事はできないと思っていた時期があります。

そして、それが自分のちっぽけなプライドとなり、仕事に対して過剰な使命感と責任感を抱いていたように思います。

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もちろん、仕事に誇りや責任を持つことが悪いわけではありませんが、あまり強くなりすぎると近視眼的になり、仕事以外の物事が見えなくなってしまいます。

実際のところ、社員が一人いなくなったところで、会社が潰れることはありません。

 

病気やケガをして長期間仕事ができなくなったとしても、その仕事は他の誰かがやることになるだけです。

たとえ突然会社を辞めたとしても、その穴はいずれ必ず埋まります。何事もなかったかのように、普通に戻ります。

むしろ、そのために組織で仕事をしているとも言えます。

 

一方で、自分にしかできないことがあります。

  • 栄養のある食事をとり、身体を健康に保つ
  • 家族と一緒に楽しい時間を過ごす
  • 友人や後輩の話を親身になって聞く
  • 自分の能力を高めるために勉強や訓練を行う
  • 趣味やスポーツ、芸術などの余暇を楽しみ、人間としての幅を広げる

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これらのことは、代わりに誰かがやってくれることはありません。自分にしかできないのです。

他の人でもやれる会社の仕事に忙殺され、時間がなくなり、自分にしかできないことがおろそかになる。

これほど嘆かわしいことはありません。

 

自分の人生にとって本当に重要なのは何か

 

常にそれを問い続け、重要なことを優先させる。

そこに焦点が定まれば、時間の使い方はより好ましいものとなります。

人生は時間でできています。豊かな時間の使い方ができれば、豊かな人生を送ることができると、私は思います。

 

本日も最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

  

投稿者プロフィール

小松 茂樹
中小企業診断士・キャリアコンサルタント。株式会社ビジネスキャリア・コンサルティング代表取締役。人材派遣会社、健康食品会社を経て、経営コンサルタントに転身。営業力強化・業務改善・生産性向上・ビジネススキル向上など幅広い範囲で、業績向上や人材育成の支援を行っている。理論的な背景と情熱的な語り口を交えた講演スタイルに定評があり、セミナーや研修で高い支持を得ている。

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