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自律型人材

2024.9.17

自律型人材とスタンドプレイの違い

混沌とする時代に求められる自律型人材

現代のビジネス環境は、かつてないほどの変化の速さと不確実性に直面しています。環境変化のスピードは加速の一途を辿り、将来の見通しを立てることが困難になってきています。このような状況下では、従来の考え方や行動パターンだけでは、持続的な成果や成長は期待しづらいと言えるでしょう。

固定概念や業界の慣例、過去の成功法則に縛られることなく、ゼロベースで物事を考え、革新的なアプローチにチャレンジできる人材が必要とされています。そこで注目されているのが、指示待ちではなく自ら考えて行動する「自律型人材」です。

誤解されがちな「自律型人材」

自律型人材という言葉を聞くと、「現場が混乱するだけの綺麗事」と捉える方もいるかもしれません。従業員一人ひとりが自分の判断で行動をしてしまうと、組織の統制が取れなくなり、むしろ生産性の低下や損失を招くのではないかという懸念を抱かれることもあるでしょう。

しかし、これは自律型人材の本質を見誤った解釈と言えます。真の自律型人材とは、単に自分の考えで好き勝手に行動する人ではありません。自分の意思や価値観と、組織のミッションやビジョンを重ね合わせて、自分で考えて行動したことが自分のためにもなり、組織の貢献にもつながる。これができる人材こそが真の「自律型人材」です。

自律型人材の3要素

自律型人材として真に価値を生み出すためには、次の3要素の整合性を図ることが欠かせません。

  • WILL:やりたいこと(自分の意思)
  • CAN:できること(実行できる能力)
  • MUST:やるべきこと(組織からの要求や期待)

自分の「やりたいこと」が「できること」として実現可能であり、かつそれが組織が求めている「やるべきこと」と合致している。この3つが重なったときにこそ、自律的な行動が組織のビジネスに役立ちます。自ら考えて行動することが許される条件だと言えるでしょう。

例えば、意思と能力があっても組織の方針と相反すれば単なる「スタンドプレイ」に終わってしまいます。また、意思と組織の方針が合致していても能力が不足していれば、ただの「自意識過剰な行動」となってしまいます。さらに、能力があり組織の要請に応えられても、個人の意思が欠如していれば、言われたことだけをやる「指示待ち人間」になってしまうのです。

このいずれも、組織にとっても、個人にとっても大変残念な状態だと言えます。

組織に求められる育成支援の重要性

自律型人材の育成には、計画的な取り組みが必要です。日常業務を行うだけでは、WILL・CAN・MUSTの整合性を高めることは困難です。

WILL(意思)を高めるためには従業員が自身のキャリアを深く見つめ、仕事の目的や意義を見出すための機会が必要です。また、CAN(能力)を高めるためには、実践的なビジネススキルを体系的に学ぶトレーニングの機会が求められます。目の前の仕事をしているだけでは、必ずしもビジネススキルは磨かれません。

そして、MUST(要求・期待)を正しく把握するためには、組織の理念や戦略への理解を深める機会も必要です。経営トップからのメッセージ発信、理念を浸透させるためのマネジメント。これらを組織として意図的に創出し、提供していく必要があります。

自律型人材の育成は組織の未来への投資

短期的な収益向上だけを考えれば、目の前の業務に従業員を注力させることが効率的に映るかもしれません。しかし、激変する環境下で組織が持続的に成長していくためには、従業員一人ひとりが自律型人材として進化していくことが欠かせません。過去の経験は陳腐化し、これまでのやり方をただ続けているだけでは、行き詰まってしまいます。

従業員の育成に投資することは、すなわち組織の未来に投資することです。環境変化に柔軟に対応し、新たな価値を創造し続けられる組織づくりのために、私たちは自律型人材の育成により一層注力していく必要があると言えるでしょう。

これからの時代、単に目の前の仕事をうまくやれるようになるだけではなく、一人ひとりが主体的に考え、行動できる自律型人材の育成が求められます。これが、組織の競争力を左右する重要な要素となっていくことは間違いありません。

その実現のためには、組織としての明確な方針と、それを支える具体的な育成プログラムの構築が求められます。「自ら考えて行動しろ」と檄をとばすだけで、それができるようになるわけではありません。自律型人材が育つ環境を整え、自律型人材を育成しようとする意図を持って、職場づくりを勧めていく必要があるのです。

本日も最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

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