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コミュニケーション

2025.6.3

なぜ職場で「あいさつ」が必要なのかを説明します

職場で挨拶はなぜ必要なのか?その本質と意味を考える

先日、X(旧Twitter)を眺めていたとき、思わず目を疑うような投稿を見つけました。
それは「会社で若手社員の方から“挨拶って意味あるんですか?いちいち挨拶するのダルくないですか?”って言われて、皆さんどう思いますか?」という内容のポストでした。


これを見て、さすがに冗談じゃないのかと思ったのですが、もしも本気でそう考えている人がいるのだとしたら、私は驚きを隠せませんでした。

もし本当に職場で挨拶しないという人がいたら、どうでしょうか。黙って会社に入ってきて、何も言わずに仕事をして、誰にも何も告げずに静かに帰る。そんな人が実在するのか?もし本当にいるとしたら、正直「痛すぎる」とさえ思ってしまいます。

挨拶に意味はあるのか?それに対しては「あります、大いにあります!」と即答できます。それが分からないなら、もう一度幼稚園児からやり直したほうがいい、と言いたくなるほどです。

今回は「なぜ職場で挨拶が必要なのか」ということについて、改めて整理してみたいと思います。先ほどのXの投稿のように、挨拶不要論を持っている方にはもちろん、自分の部下や後輩の中に「挨拶をしない人がいる」「どうやって挨拶の重要性を伝えればいいか悩んでいる」という方にとっても、きっと参考になる内容です。ぜひ最後までご覧ください。

挨拶の本質とは何か

そもそも挨拶とは何なのか、という点から考えてみましょう。簡単にいえば、挨拶とは「存在の承認」と「敬意の表明」です。つまり、相手の存在を認め、その人を大切に扱う。その姿勢が挨拶という行為に表れるのです。

挨拶をするということは、そこに相手がいる、その人を認めている、という意思表示そのものです。逆に挨拶をしないというのは、相手の存在を「スルー」している、つまり「あなたなんて取るに足らない人ですよ」と無言で伝えているようなものです。これは想像以上に冷たい行為です。

実際、「無視」という行為は、人間にとって最も辛い仕打ちのひとつだと言われています。
存在を認めない、いないものとして扱う。これはある意味で「いじめ」にも等しいことです。

挨拶の有無は、相手の存在をどう扱うかの根本的な態度表明なのです。だからこそ「挨拶って意味あるの?」と問われれば、「あるに決まっている」とはっきり答えられるのです。また、挨拶は相手と良い関係を築くための最初の一歩でもあります。その重要性は、歴史や文化の中でも繰り返し語られてきました。

挨拶の起源と文化的意味

挨拶の歴史的な起源を辿ると、非常に興味深い背景が見えてきます。文明が生まれた地域、つまり人類の歴史の中で、挨拶はどのように生まれてきたのでしょうか。古代においては、人と人が出会ったとき、まず「手を挙げる」行為があったと言われています。

これが挨拶の起源の一つです。その意味は「私は武器を持っていません」「あなたに危害を加えるつもりはありません」という安全の証明でした。つまり、自分が相手に対して敵意を持たないことを、行動で示していたのです。

そこから時代が進み、中世になると、「兜を上げて挨拶をする」といった所作が挨拶になりました。顔を隠すことは「悪いことを企んでいる」と見なされるため、堂々と顔を見せることで「私は怪しい者ではありませんよ」と伝えていたのです。 現代でも、「人に会うときは帽子を取る」というマナーが残っているのは、この名残です。

一方、日本の挨拶の起源は禅宗の修行にあると言われています。「一挨一拶(いちあいいっさつ)」という言葉があり、これは師匠が弟子に問答を投げかけ、それに対して弟子が答えを返し、その理解度や悟りの深さを測るという修行でした。「挨」は「押す」、そして「拶」は「迫る」という意味です。「一挨一拶」が短縮されて「挨拶」になりました。

師匠も弟子も「押し迫る」ことで、心と心のぶつかり合い、つまり「本音でぶつかる」「心で向き合う」という行為が、挨拶の原型として受け継がれてきたのです。やがて時が流れ、江戸時代になると、挨拶は武士の礼儀作法として「お辞儀」の形に発展します。姿勢を正して、相手に頭を下げる。この美しい所作が、品格や知性、そして「誇り高き人間であること」を証明する手段となりました。


さらにそれが一般庶民にも広がり、家庭でも「おはようございます」と頭を下げる、「よろしくお願いします」と丁寧に挨拶する文化が根付いたのです。こうしてみると、挨拶とは「自分が安全であることを示す」「心を通わせる」「身を整える」「美しくあろうとする」そうした複数の意味が時代と共に重なり合い、現代まで受け継がれてきたことが分かります。

職場における挨拶の5つの意義

それでは、職場で挨拶をすることにはどんな意味や意義があるのでしょうか。
私は、大きく分けて5つのポイントがあると考えています。

1. 信頼関係の構築

まず第一に、挨拶は「信頼関係の構築」の礎です。相手の存在を認め、敬意を示し、大切に扱う。その積み重ねが「お互いに近づきたい」「良い関係を築きたい」というメッセージとなります。逆に挨拶をしないというのは「あなたはどうでもいい」「関心がない」という意思表示に等しいのです。

「おはようございます」「よろしくお願いします」「お疲れ様でした」「お先に失礼します」「ありがとうございました」


こうした日々の挨拶を積み重ねることが、人間関係の基礎となり、信頼を築いていくのです。

2. 円滑なコミュニケーションの導入

二つ目は「円滑なコミュニケーションの導入」です。いきなり本題に入るよりも、まずは挨拶を交わすことで自然に会話の流れが生まれます。たとえば、「おはようございます」と声をかけ合うだけでも、そこから「今日はどんなスケジュール?」「何か困っていることは?」といった会話にスムーズにつながっていきます。挨拶は、コミュニケーションの扉を開ける「魔法の言葉」なのです。

3. 職場の雰囲気作りにおける挨拶の力

三つ目のポイントは「職場の雰囲気作り」です。挨拶は、職場の空気感やエネルギーに直結します。たとえば、誰かが小さな声でぼそぼそと「おはようございます」と言えば、その場の空気もどこか沈みがちになります。 反対に、明るく元気な声で「おはようございます!」と挨拶する人がいれば、そのポジティブなエネルギーが周囲にも波及していくものです。

この「ムード作り」は、組織やチームの「ラポール(心理的なつながり)」にも関わる大切な要素です。特に新入社員や若手社員が明るく元気に挨拶をすれば、自然と中堅社員やマネージャーもそれに呼応して「おはよう!」と返しやすくなります。こうして感覚やテンションを揃えながら、みんなで職場の雰囲気を盛り上げていく。それが挨拶の持つ役割なのです。

例えば、朝の「おはようございます」の一言から始まり、何気ない立ち話や昼休みのちょっとした声かけまで、挨拶は職場に前向きなムードや安心感をもたらします。「今日も頑張ろう」「みんなで良い一日にしよう」という活力や、連帯感、モチベーションに自然とつながっていきます。

4. 第一印象アップのための挨拶

四つ目は「第一印象アップ」です。これは、毎日顔を合わせる同僚だけでなく、取引先や初対面の人に対しても非常に大切なポイントです。ビジネスの世界では、第一印象が後々まで影響を与えることが多いです。たとえば、姿勢が悪く、目線が合わず、ボサボサの髪で「よろしくお願いします」とつぶやくだけの人と、きびきびとした動作でしっかり目を見て「おはようございます」「よろしくお願いします」と明るく挨拶する人、どちらと仕事をしたいと思うでしょうか。

印象は、ほんの一瞬で決まってしまうものです。だからこそ、挨拶の仕方ひとつで「信頼できそう」「仕事ができそう」「誠実そう」といったイメージを持ってもらえることが多いのです。また、挨拶には「私はあなたとお近づきになりたい」「あなたを大切に思っています」というニュアンスも込められています。

これは社内外を問わず、ビジネスパーソンとして大切な資質です。どんなに優れたスキルがあっても、第一印象でマイナスイメージを与えてしまえば、その後のコミュニケーションや信頼関係構築にも大きな影響を及ぼします。


「明るく元気な挨拶」を意識することは、それ自体が大きな「武器」なのです。

5. 文化の共有と帰属意識の醸成

五つ目は「文化の共有と帰属意識」です。組織で仕事をしていく上で大切なのは、一体感や「自分はこの集団の一員なんだ」という帰属意識です。その醸成に、挨拶は非常に効果的に働きます。たとえば、会社ごとに「お疲れ様です」や「おはようございます」といった共通フレーズが自然に定着していることがあります。

こうした挨拶の仕方やタイミング、使う言葉が揃っていることで、「自分はここの一員だ」「みんなと同じ文化を共有している」という一体感が生まれます。また、会社特有の挨拶や専門用語、社内でしか通じない言い回しなどは、その会社の文化や価値観を象徴しています。

たとえば、廊下ですれ違ったときに「お疲れ様です」ではなくあえて「こんにちは」と声をかける。これも、組織の独自性や文化を体感できる瞬間です。

このような小さな積み重ねが、やがて「ここは自分の居場所だ」「自分はこの組織の一員だ」という帰属意識につながっていきます。だからこそ、挨拶は意味があるかないか、という議論を超えて、積極的にやっていくべきなのです。

まとめ―挨拶は「問答無用」で意味がある

今回あらためて、「なぜ職場で挨拶が必要なのか」というテーマについて考えてきました。


最初に紹介したSNSの投稿に戻りますが、もし「職場で挨拶って意味あるんですか?」と問われたら、迷わず「あるに決まっている」と答えてください。挨拶は、相手の存在を認め、大切にし、良い関係を築くための基盤です。コミュニケーションが取りやすくなり、信頼関係も育ち、やがて組織全体の雰囲気が良くなっていきます。

挨拶をおろそかにする人は、結局うまくコミュニケーションが取れません。チームプレーが前提の現代社会において、挨拶は最も大切な仕事の土台です。ぜひ日々の職場で、何気ない挨拶を大切にしてみてください。そして、どんな立場であっても、挨拶の力を信じて、より良い職場づくりに取り組んでいただきたいと思います。

 本日も最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

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