感情を受け入れ、行動を制す

前回、自分が担ってきた役割をリストアップし、分類いたしました。これをもとに、役割の種別ごとに出来事を改めて振り返り、自分の歴史を紡いでいきます。

5.役割ごとに、主な出来事とその時の気持ち・変化を時系列でまとめる

の行程です。

作業に移る前に、改めてこの行程の目的を申し上げます。それは、

「あの時、こういうことがあって、こういう気持ちになったから、私はいまこうなっているのか!」

ということに気づく(または再認識する)ことです。

繰り返し申し上げてきた通り、人生は選択の積み重ねで出来ています。「どういう場面に対峙して、どういう選択をとった結果が現在につながっているのか」をはっきりと自覚していることは、ブレない自分を作る上でとても重要な意味を果たします。

そして、その選択においてはその時の心情・気持ちが主要な判断材料となっていることがあります。人は理性的に考察し、理性的に判断しているように見えても、その実、最終的には感情が決め手となって決断をすることがあります。自分にとって大きな影響を与える出来事であればあるほど、感情が判断材料になっていると、私は考えます。

なぜならば、人を突き動かす「衝動」は理性ではなく感情が呼び起こすものだからです。

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自己分析を重ねていくと、

「あの時、なぜ自分はああいう行動に出たのか?」

と疑問に思うことも出てきます。

しかし、それは理屈ではなく、感情に突き動かされたと考える方が自然です。それゆえ、「自分がどういう感情・気持ちをその時に持っていたのか」を振り返り、把握しておくことは、これから長期的に大きな目標に挑む上においては、セルフ・コントロールの観点からも避けて通ることはできないでしょう。

私は、人は感情を自らの意思でコントロールすることはできないと考えています。なぜならば、感情は「生む」ものではなく、「生まれる」ものだからです。自らの意思で作り出したものでないものを、自らの意思でコントロールすることは非常に難しいでしょう。

しかし、感情はコントロールできなくても、感情によって起こる「行動」をコントロールすることはできるはず。

意識が変われば、行動が変わる
行動が変われば、習慣が変わる
習慣が変われば、人格が変わる
人格が変われば、人生が変わる

ウィリアム・ジェイムズの言葉とされるこのフレーズは、私がこれからやりたいと思うことを非常にシンプルに表現しています。不変の真理と言ってもいいかもしれません。

自分の人生において物質的・精神的に成功を収めるためには、優れた人格を持ち、成功者にたる人間になる必要があります。人格は日々の行動の積み重ねによって変わっていきます。

意識的に特定の行動をとり続けるためには、その行動を「習慣化」することが求められます。そして、特定の行動を習慣として身に付けるためには、意識的にその行動を継続し続けることが求められます。

行動は自分の理性的な判断によっても、衝動的な感情によっても起こります。そして理性的な判断と衝動的な感情が衝突する時、人間は感情に従った行動をとりがちになるものです。

そうした場合に、理性は感情そのものを抑えようとして、そして失敗します。前述の通り、感情は自然に沸き上がってくる、「生まれる」ものなので、感情自体をコントロールすることは、意識の能力の範疇を超えているからです。

このことは、スタンフォード大学のマクゴニガル教授が非常にうまく説明してくれています。自分の中から生まれる感情を抑えるのではなく、逆に受け入れることによって、その後、行動に移るまでのプロセスに理性を介入させるという心理学見地の面白いアプローチです。

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『スタンフォードの自分を変える教室』
ケリー・マクゴニガル(著), 神崎 朗子(翻訳) 出版社: 大和書房

感情そのものではなく、感情によって起こる「行動」をコントロールすることによって、絶えず軌道修正を図りながら自らの行動を長期的な目標に沿わせていくのです。

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この行動のコントロールと習慣づけについては、自己管理のフェーズで改めて書きます。ここでは「自己分析」という見地から、過去の印象的な出来事を題材に、自分の感情と行動の関係を考えていきます。

次回に続きます。

  

投稿者プロフィール

小松 茂樹
中小企業診断士・キャリアコンサルタント。株式会社ビジネスキャリア・コンサルティング代表取締役。人材派遣会社、健康食品会社を経て、経営コンサルタントに転身。営業力強化・業務改善・生産性向上・ビジネススキル向上など幅広い範囲で、業績向上や人材育成の支援を行っている。理論的な背景と情熱的な語り口を交えた講演スタイルに定評があり、セミナーや研修で高い支持を得ている。

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