自分の行動パターンに介入する

印象的な出来事との向き合い方については、8/26の投稿で一度述べさせてもらいました。

前回は、

「今の自分だったらどういう感情になるか」
「今の自分だったらどういう行動をとるか」

という「過去⇔現在の対比」という見地から、自分の行動パターンを分析しました。今回は少し視点を変えて、感情と行動の因果・相関関係を考えてみます。

役割を書き出し、それを分類するという行程を行ったのは、時系列ではなく性質で自分の特徴を整理するためです。9/3の投稿で作成した、役割の分布図を見てみましょう。

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1つ1つの役割について回想するのは大変なので、「労働」「愛」「学習」「余暇」の4つの役割について考えてみましょう。役割の分布図と年表を見比べて、出来事や行動とその時の感情を思い返してみましょう。

例えば私の場合、「学習」について考えるならば、

・幼い頃、絵やピアノ、習字、そろばんなどいろいろな習い事を親にさせてもらっていたが、いま振り返るとどれも本気で打ち込めてなかったように思う。多少の役には立っているだろうが、いま特技や能力として活かせているものは少ない。それはきっと、夢中になって取り組めてなかったから。「おもしろい」と感じて取り組めなかったからか。あるいは「やらされてる」という感覚で取り組んでいただろうか。

・一方で、働きはじめたからの学習は、どれも寝食を忘れ夢中になって取り組んだ記憶がある。それが特技や能力としていまも活かせている。

・両者の違いはなんだろうか?

・働き始めてからの学習は、仕事や他人との関わり・所属コミュニティの活動に直結するものが多く、学んだものを現実に活用するイメージが描けていたのかもしれない。PCのスキルは仕事の生産性をあげる上で欠かせなかったし、自分の興味にも合っていた。ギターや歌を習ったのも、自作の曲を友人の結婚式で演奏して歌うという明確な目標があったから、意欲的になれた。

・つまり、私にとって学習意欲に火がつくかどうかは「学んだものを活かすイメージが描けるかどうか」にかかっていて、そのイメージに近づいていく感覚を「おもしろい」と感じるのかもしれない。また、他人から指示・監督・干渉されると「やらされている」という感覚が芽生えてしまう性格なため、自分が主体的に選んで学んでいるものを「おもしろい」と感じるのかもしれない。

・ということは、幼い頃の学習においても、短期・長期の目標を、実際にイメージできる現実的なゴールとしてうまく設定できていれば、もっと意欲的に取り組んだかもしれない。また、他人(この場合、親)から干渉されることを「関心を寄せられている」のだと肯定的に解釈できるようであったなら、「期待に応えよう」と主体的な行動に転換できたかもしれない。

・整理すると、おそらく私にとって「学習」領域における主な要因は「目的意識」と「主体性」となる。今後の学習においては、意図的にこの2つをうまく働かせるようなシナリオを組み立てることによって、意欲的に取り組むように自分に仕向けさせることができるかもしれない。そうなれば、より効果的に学び、その成果を自分の特技・能力として活かしていくことができるだろう。

といった具合になります。

また、「労働」に関しては、

・郵便配達のバイトは単独行動なので、経路やタイムスケジュールを自分で設定することができて楽しかった。居酒屋のバイトも、ドリンカー、厨房など一人で簡潔するポジションが好きだった。レジやホールが嫌いや苦手というわけではなかったが、どちらかと言えば作業が好きだったかも。会社勤めになってからは、パソコンに自分のキャリアの活路を見出し、それを自発的に磨いていった。結果的に統計や分析が主業務となり、仮設を立て、検証するといった地道だが専門性を問われる仕事をするようになった。

・そう考えると、私は一人で黙々とする業務の方が好きな傾向がある。自分のペースを乱されるのを嫌がる傾向もありそう。団体行動も苦手かも。組織の中でも、大所帯のチームにいることにはストレスを感じる。小さなチームで専門性を発揮している方に喜びを感じる。職人肌かも。

・とは言え、これからはますますチームワークの時代になる。価値観の多様化によって、リーダーシップは他の人を牽引するのではなく、他の人を巻き込んでいくスタイルに変化しつつある。キャリアも重ねてきており、一人だけで行う仕事など、もはや考えられる状況にない。周囲の方と連絡を密に取り、足並みを揃える必要がある。コミュニケーションを取りやすい人という印象も抱いてもらわねばならない。

・ならば、他の人に先駆けて自分から発信したり働きかけたりすることで、スケジューリングを主導したり、情報共有のルールを自分の好ましい方向に導いてみてはどうか。「自分からする」という主体的な行動であるため、他の人によってペースを乱されると感じることもなくなる。他の人を積極的に巻き込んでいく行為につながるので、リーダーシップの発揮と呼べるかもしれない。コミュニケーション強化にもつながるので、結果的にはチームのためにもなる。

といった具合になります。

手順をまとめると、

1.役割ごとに、自分がやってきたことを振り返る。
2.感情や心境を振り返る(「好きだった」「嫌いだった」など)。
3.なんでそう思ったのか?を自問し、感情や考え方のパターンと自分の行動の因果関係を考えてみる。
4.自分の思考・行動のパターンを、より望ましいものにしていくには、どういう意識づけをおこなうのが良いかを考える。

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このように、自分の行動パターンと起因する感情・心情などを把握しておくと、自分の行動を好ましい方向にコントロールするための手引書ができあがります。これは、長期目標に向かって自分の日々の行動をコントロールして沿わせていく上で、きっと重要な指針となると私は考えています。

「自分のことは、意外と自分ではわからない」と言われます。だからこそ、自分の特徴を理解しているということは、夢や目標、自分の望む姿に向かう上で、大変な強みとなるでしょう。

願望実現は自己分析から。

誰よりも自分を理解することが、なりたい自分になる近道だと、私は思います。

  

投稿者プロフィール

小松 茂樹
中小企業診断士・キャリアコンサルタント。株式会社ビジネスキャリア・コンサルティング代表取締役。人材派遣会社、健康食品会社を経て、経営コンサルタントに転身。営業力強化・業務改善・生産性向上・ビジネススキル向上など幅広い範囲で、業績向上や人材育成の支援を行っている。理論的な背景と情熱的な語り口を交えた講演スタイルに定評があり、セミナーや研修で高い支持を得ている。

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