緊急事態宣言下のゴールデンウィークをどう過ごすか

緊急事態宣言が発令されて一週間が経過しました。

私の近隣でも、大型の商業施設は軒並み休館になっています。ちょっとした文房具や雑貨すら買うことができず、ますます通販の利用が増えそうです。ドライバーの方々、本当にお疲れさまです。いつもありがとうございます。

飲食店は業態によって対応が分かれていますね。夕方以降のみ開店する居酒屋は、宣言解除まで完全に休業。昼間から空けている店は酒類の販売を停止した上で、20時閉店。昨年5月の緊急事態宣言に比べると、街を行き交う人の数は多いですが、店舗の様子は昨年を彷彿とさせるものがあります。

正直なところ、要請に従わずに営業する店舗も多いだろうと思っていましたが、思っていた以上に従順に対応されている印象です。とはいえ、必ずしも素直に要請に従っているというだけではなく、自粛警察たちから開店をSNSでバッシングされるリスクを恐れての、消極的な閉店もあるのではないかと思います。

いずれにせよ、稼ぎ時のゴールデンウィークで商機を逃してしまったことで、経営はますます苦しくなると思います。確かに医療逼迫は避けなければならないとはいえ、飲食、観光、小売、イベントなどの事業を経営している方々の悲痛を思うと、気の毒で仕方がありません。

種まきは前もって、継続的に

私自身について言えば、コンサルティングや研修の案件は2週間以上お休みです。緊急事態宣言の影響というわけではなく、もともとゴールデンウィークは現場仕事が入らないので、連休明け以降に備えて粛々と資料作成などの準備をしています。

とはいえ、やはり感染拡大の影響も受けており、5月も予定していた案件が2件流れてしまいました。仕方のないこととは言え、経営計画が乱れるのは痛手です。失った分を即座に取り返せるような事業ではないため、将来的にこの分を「取り返せた」と思えるように、また新たな機会を創っていくのみです。

機会の創造は「投資活動*」です。種をまいてから、実を収穫できるまでには時間がかかります。数ヶ月後、数年後に収穫できるようにするためには、いま種をまいておく必要があります。加えて、常に収穫できるようにしておくためには、継続的に種まきをしておくことが欠かせません。種をまいたり、まかなかったりという状況が続けば、収穫もできたり、できなかったりと不安定になるのです。

*「投資活動」については、前回の配信をご覧ください。

まいた種が育つには、地ならしとタイミングも必要

とはいえ、適当な場所に、適当に種をまいても作物は育ちません。育つためには栽培に適した土壌が必要です。そして、土壌づくりには時間がかかります。土を耕し、肥料をまく。場ができあがってから、ようやく種がまける状況になります。

また、コンスタントに収穫できるようにするためには、種をまくタイミングも大切です。一度に大量に種まきをしてしまうと、実ができるのも同時期になってしまい、収穫がしきれなくなってしまいます。

一定のペースで種をまき、一定のペースで刈り取る。これが理想です。そのためには、少なすぎず、多すぎない量の種を、定期的に、そして継続的にまき続ける必要があります。つまり、習慣とすることが有効だと言えるでしょう。

継続的に自己投資ができる環境を作る

何かしらの勉強、趣味や習い事、運動などをはじめるにあたって、つい億劫になってしまうのが「はじめるための環境」を整えることです。

例えば、資格取得を目指した場合、教材を比較検討して選択し、学習のスケジュールを立てる必要があります。趣味や習い事をはじめるにしても、何をするのか、どの教室に通うのかを選択して、どれくらいのペースで続けるのかを計画することが求められます。運動をするにしても、ウェアや道具などを買い揃える必要があるでしょう。

つまり、何かを始めるためにはまず、実施するための環境を整える必要があります。そして、これにはまとまった時間が必要です。ひとたび環境が整えば、そこから短時間でコツコツと継続していくことができます。しかし、最初の立ち上げ、つまり「地ならし」にはまとまった時間が必要です。

地ならしをコツコツと続けるのは難しいです。まだ「はじまってもいない」ので、この状態が長く続くと次第に面倒になってきて、結局スタートが先送りになってしまいます。最初の一歩を踏み出すためには勢いも必要であり、短期決戦で結論を出し、すみやかに環境を整える必要があります。

その点では、この緊急事態宣言下でのゴールデンウィークは「まとまった時間」を創り出すため絶好の機会だと言えます。連休明けから何かしらの自己投資をはじめていく上で、環境整備と準備にいまの時間を使ってみてはいかがでしょうか。

思えば私も、昨年の春から夏にかけてコロナ感染拡大で仕事の大部分が吹き飛んだため、空いた時間を使って中小企業診断士試験に挑戦することを決めました。そして、ゴールデンウィークに動画教材を申し込み、イントロダクションの視聴、教材の全体像やシステム構成の確認、試験日までの学習スケジュールを立てて、連休明けから本格的に勉強を開始しました。ひとたび環境を整えて、計画を立てれば、後は決めた通りのことをコツコツと実践していくだけです。

いまの時間の使い方が、10年後の人生を作る

「いま食べているものが10年後の体を作る」という言葉があります。同じように「いまの時間の使い方が、10年後の人生を作る」のです。

将来は不透明で予測不可能です。いまできることは、いまの行動、時間の使い方を選択することだけです。しかし、人生は選択と行動の積み重ねによってできています。

いま考えられる「より良い」選択と行動をとっていけば、少なくともそうしなかった場合よりは、将来はより望ましいものになるのではないかと思います。

本日も最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

  

投稿者プロフィール

小松 茂樹
中小企業診断士・キャリアコンサルタント。株式会社ビジネスキャリア・コンサルティング代表取締役。人材派遣会社、健康食品会社を経て、経営コンサルタントに転身。営業力強化・業務改善・生産性向上・ビジネススキル向上など幅広い範囲で、業績向上や人材育成の支援を行っている。理論的な背景と情熱的な語り口を交えた講演スタイルに定評があり、セミナーや研修で高い支持を得ている。

関連記事

  1. 目標達成のポイント3:測定できるものは改善できる

  2. 手で触れて、手で考える 〜ビジュアルシンキングのすすめ〜

  3. 自分の興味は何だろうか 2

  4. 今どきの新入社員は宇宙人なのか?

  5. 最低限のことを全力で

  6. 【ビジネス問題解決の原則】問題は手に負えるサイズ感になるまで細分化せよ…