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2020.11.16
久々の投稿です。ここ2ヶ月ほど、資格試験の勉強や、緊急事態宣言の前後に実施予定だった延期案件が集中していたこともあり、配信を控えていました。少し先の見通しが立って落ち着いてきたので、またこれからぼちぼち配信していこうと思います。
さて、ここ一週間ほどの間に、新型コロナの感染者数がまた急増しはじめてきました。11月に入り一段と冷え込んできましたし、政府の施策の影響もあるので、冬場からまた増えるだろうと見込んではおりましたが、やはりその通りになってきたなという印象です。
出典:Googleニュース
感染対策として外出自粛が求められるようになったのが今年の3月。それから8ヶ月、経済へのダメージは深刻なものとなりました。通販、物流、情報通信網・機器、webコンテンツやアプリケーション、食品スーパー、家具・雑貨販売など、伸びを見せている業種もありますが、国内でも世界でも全体としては大幅な景気低迷を見せています。
「GDP実質27.8%減、4~6月年率 戦後最大の下げ」(日本経済新聞)
その影響を受けて、早期退職奨励や他社への出向など、雇用調整をめぐるニュースも飛び交うようになってきました。経営視点では、各社とも生き残りをかけた決死の戦いを強いられていると言えます。そして、従業員側もまた、自らの生き残りをかけた局面を迎えていると言えるでしょう。
「洋服の青山 400人の希望退職募集へ 在宅でスーツ需要落ち込み」(NHK)
「三菱製鋼、希望退職100人募集 コロナ禍で業績悪化」(日本経済新聞)
「松山三越の希望退職者募集に200名が応募、全従業員の8割」(不景気.com)
「【独自】ANA、トヨタに社員出向受け入れ要請へ…3500人削減」(読売新聞)
こうしたニュースを見て思うのは、この希望退職者たちはその後どこに向かうのだろうかということです。
個社の経営悪化を理由とした早期退職希望であれば、同業他社への転身も可能で、それまでに培ってきた技能や経験を活かして引き続き仕事ができるかもしれません。しかし、アパレルにしろ、重工業にしろ、百貨店にしろ、業界全体が低迷しています。
中には、この状況下にあっても、新しいアプローチで市場を広げている会社もあるかもしれませんが、そうした会社がさほど多いとも思えず、あったとしても中途入社を数多く受け入れる余力があるとは思えません。ただでさえ、新市場・新商品戦略にはお金がかかるからです。
そう考えると、異業種への転身を果たすということになります。しかし、早期退職の対象としている対象のほとんどは、40−50代の方々です。今後の成長ポテンシャルを期待して20−30代を採用するのならまだしも、40−50代を受け入れるとなれば、企業側も即戦力としての活躍を期待するのが当然となります。
もちろん、異業種の人を採用することにより、固定概念を打破したプランを作成したり、組織風土に新風を招き入れるという期待もできます。しかし、それでも一定の「実務」ができ、組織のライン上に配置できることが前提になります。中途採用者を事業開発や経営企画に次々と配置するようでは、既存の社員たちの反発を招くのは必至です。
それまで店舗で接客販売をしていた方々が、果たして情報通信機器の法人営業やコンサルティング営業ができるのだろうか。重機の製造をやっていた方々が、デジタル商材の開発・設計ができるのだろうか。異業種の「現場」で、ベテラン枠としていきなり活躍できるほど、どの仕事も甘いものではないかと思います。
マネジメント職として採用されることもあり得るでしょうが、多くの会社で中間管理職層は「余っている」状況だとも言えます。歴史ある会社であればあるほど、中間職の「置きどころ」に頭を抱えています。ただでさえ、組織構造をスリムにしたい状況の中で、わざわざマネジメント職として中途社員を積極的に採用しようと考える企業は数少ないのではないでしょうか(よほど優秀な人であれば、喉から手が出るほど欲しいでしょうが)。これだけ景況感が厳しい状況になれば、欲しいのは「現場の人」なのです。
個人としてのキャリア戦略を考える時、これからの時代は「一芸に秀でる」ことは、他の領域でつぶしがきかなくなるリスクを抱えることにもつながります。新型コロナの直撃を受けているのは、現在では製造業、流通業、観光・外食業などが主だったところですが、これから先にコロナ以外の影響でも著しい環境変化が起きないとも限りません。どの業種、職種に従事しているとしても、何かあった時に「つぶしがきく」ような人でいることが、生きる力になると言えます。
私自身を振り返ってみると、人材派遣業界、卸売・小売業界、経営コンサルティング業界の3業種を経験してきたことになります。当時の想いは別として、異動が多かったことで結果的には、いろいろな職務を経験させていただきました。私がこれまで従事してきた仕事をリストアップすると、次のようになります。
特に、コンサルタントに転身する前は、会社の事情によって配属先がコロコロ変わり、自分のキャリアが安定しないことを不安に思っていました。「自分は何のプロフェッショナルにもなれていない」と思い悩んでいた時期もありました。
しかし、今の状況を迎えてみると、この職歴は「いろいろなことができる」と肯定的に捉えることができます。仮に、今後デジタル化の影響でコンサルティングや研修業務の需要が低迷していったとしても、別の分野で「何かしらできるころはあるだろう」と考えられます(もちろん、この道で生き残るために最大限の努力を果たすことが優先ですが)。今から振り返れば、様々な業務を経験させていただいた前職には本当に感謝です。
いろいろな業務を経験していることは、自分の「資産」です。きっかけはどのようなものであったにせよ、新しいことに挑戦する機会を肯定的に受け入れ、幅広い経験を積んでいくことが「生きる力」につながります。
幸い、現在は転職までしなくても、副業や兼業、社内起業などがしやすくなり、以前よりも経験を広げる多くのチャンスに恵まれています。どんな状況になったとしても、「つぶしのきく人」でいられるよう積極的に自分の幅を広げていくことが、これからのキャリア形成に求められる姿勢ではないかと私は考えます。
本日も最後まで読んでいただき、ありがとうございました。