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2016.6.10
今日はキャリアデザインの話です。
ある自治体様から、今夏と来春にそれぞれ約200名の方へ、キャリアデザインの研修を行うお話をいただいています。キャリアカウンセラーの資格を取る際に、試験勉強として様々なキャリア理論や手法を学んでおりましたが、教える側に回るからにはもっと理解を深めなければならないと思い、いま仕事の合間に本を読んだりDVDを見たりしています。
数ある代表的なキャリアデザインの理論の中で、私が最近お気に入りなのが、ジョン・D・クルンボルツ博士の「計画的偶発性(プランド・ハプンスタンス)」という考え方です。
資格取得のために勉強していた当時には、この理論があまりよく理解できなかったのですが、今ではクルンボルツ博士が言わんとしていることが少しわかるような気がしてきました。そして、理解が深まるにつれ、「これはきっと多くの方々にとって役立つ視点になる」と考えるようになったので、今回はこの「計画された偶然」について書いてみたいと思います。
「計画された偶然」とはなんとも変な言葉です。「計画」とは意図や意思をもって物事の道筋を描くことであり、「偶然」とは予期しない出来事が起こることを指しています。つまり、相反する意味の言葉を組み合わせたフレーズであり、矛盾を抱えたものだと言えます。だからこそ、なんとも不思議な、違和感のある響きとなり、印象に残ります。
キャリアカウンセリングの養成講座では、この「計画された偶然」をクルンボルツ博士が提唱したものとして教わりましたが、著書を読む限り、ネーミングをしたのは共著者であるレヴィンのようです。レヴィンは奥様との会話からヒントを受け、意図的に、この矛盾した言葉同士の結合を生み出したそうです。
この言葉の意味するところは、「予期せぬ出来事をキャリアの機会として捉えることができた時、その出来事は『計画された偶然(プランド・ハプンスタンス)』としてキャリア形成に大きな影響をもたらす」ということです。つまり、「考えもしていなかった偶然の出来事によって、キャリア形成は大きく影響される」ことを意味していると言えます。
一見すると、
といった、これまでこのブログで私が書いてきたことと矛盾するようにも見えます。しかし、これらは相反するものではありません。
両者は両立できるものであり、このどちらの視点も必要であると言えます。
私は、今でこそ経営コンサルタントとして、人材育成や業務改善のお手伝いをさせていただいておりますが、昔からこうなることを考え、望んでいたというわけではありません。むしろ「結果的にこうなった」と言った方が正確だとも言えます。
この道を志したのは、私のミッションとして掲げている「人と組織の成長と成功を支援する」を本業にしたいと思ったからですが、そこに至るまでには
など、きっかけとなる出来事がありました。こうした体験がなければ、きっとこの道を目指すこともなかったと思います。
そして、こうした出来事が起きたのにも、またきっかけがあります。
こうした仕事の場面における出来事は、もちろん直接的な転機となっていますが、
といったように、仕事以外の時間での出会いや出来事も、自分の将来を考える上で大きな影響をもたらしました。これらはいずれも、私が今のキャリアに行き着いたきっかけと呼べることですが、「たら」「れば」で書いていることが示している通り、すべて偶然の産物です。
これ以外にも、
などの影響を多分に受けて、現在の状況にたどり着いたわけですが、どれもこれもすべて偶然がもたらしたものです。
こうした偶然の出来事に対して、
の積み重ねが、私の仕事や生活はもちろん、人格までをも形成していると言えます。すなわち、「どういう人になるか」「どういう生き方をするか」は偶然によって作られる要素が数多くあるのです。
次回に続きます。
本日も最後まで読んでいただき、ありがとうございました。