営業交渉でお客様の心を掴む「座り方」の重要性

「正面」は対立構図になりやすい

営業交渉の現場において、お客様と正面から向き合う座り方は避けた方が賢明です。これは人間の無意識下にある心理的メカニズムによるものです。空間心理と呼ばれるもので、真正面から相手を見ると脳内で対立意識が増幅されてしまうのです。

正面から相手を見ている間は、言語、数学、論理など分析的な思考が優位に働きがちになります。交渉という場面でも、契約内容の条件面や数値の推移などに意識が向きがちで、お客様との人間関係の構築が後手に回ってしまう懸念があります。対人関係よりも事務的な側面が強調されがちなため、溝を感じさせてしまい、敵対的な雰囲気が醸成されがちです。

そうしてお客様との対立構図が際立つと、お互いに防衛的になり、円滑なコミュニケーションが阻害されてしまいます。言いたいことも言えず、率直な本音の行き違いが生じがちです。そうなれば遅々として議論が平行線をたどり、望ましい提携関係の構築は難しくなります。正面から向き合う座り方は、営業交渉の足を重くする一因となり兼ねません。

「横に少しずれる」が上手な距離感

一方で、お客様の横側の位置に座れば、うまく「情の空間」に入り込むことができるでしょう。この空間では、言語や論理ではなく、感情、直観、フィーリングなどの感覚的な思考が優位に働きます。言語化されない部分をも汲み取れるよう、センサーが研ぎ澄まされた状態になれるのです。

そうすればお客様の気持ちに寄り添った対話が可能になります。単に契約条件を言い渡すのではなく、話を絶妙に読み取りながら、お客様のニーズや本音に共感し、具体的で的確な提案へと結びつけられるはずです。

こうした配慮があれば、バチバチの敵対関係に陥ることなく、「お互いにwin-winの関係を築きたい」と相手に前向きな姿勢を引き出せます。自然と建設的で具体的な議論へと話が展開し、スムーズな交渉運びが期待できます。

「隣に座る」で最高の関係性

さらに一歩進めて、お客様の真横の隣に座れば、最良の信頼関係の構築が可能になります。この位置関係だと、お客様と営業担当者の両者が同じ方向を向いた状態、まるで共に舳先を向けた船乗りのような関係性が生まれます。

すると自然と「お互いに一緒になって、共通の課題に取り組み、解決しよう」といった空気感が醸成されやすくなります。利害が完全に一致しているわけではありませんが、最終的には同じゴールを目指していると意識が共有でき、お客様との協調路線が歩みやすくなります。

対立ではなく協調の関係性があれば、遠慮なく本音を言い合え、建設的な議論を重ねていけます。信頼関係の下で冷静に主張が協議でき、クリエイティブな解決策も生み出しやすいでしょう。要するに、お客様との最良の信頼関係が築きやすくなり、高い契約率や満足度の実現が期待できるのです。

上手な「座り方」で成果は変わる

このように、どのように座るかによって、お客様との関係性が大きく異なってくるのです。上述の通り、正面から向き合う座り方は避けた方が賢明で、少しでもお客様の横に寄せたり、隣に座ることが有効です。

ほんの僅かな距離の違いが、交渉成否を分ける重大な意味を持つ場合すらあります。対立構図に陥れば議論は行き詰まりがちですが、反対に良好な関係性を構築できた場合には、集中力を切らすことなく冷静に臨め、好転の結果を導き出せるからです。

上手な座り方を工夫することで、お客様との心理的距離を縮め、より親密で建設的な関係を構築できます。言わば、お客様の心の扉を開く鍵となり、相手の本音に喩えた提案が可能になります。これが高い契約率や満足度を実現する鍵なのです。

単なる座る位置ですら、このように意味があるのです。ささいな距離の違いによって、雲泥の差の成果が生まれる可能性があります。些細な「座り方」への意識と工夫が、その後の結果を左右することがあります。お客様との望ましい関係性を築くため、ぜひ日頃の「座る位置」を見直してみてください。

本日も最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

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投稿者プロフィール

小松 茂樹
中小企業診断士・キャリアコンサルタント。株式会社ビジネスキャリア・コンサルティング代表取締役。人材派遣会社、健康食品会社を経て、経営コンサルタントに転身。営業力強化・業務改善・生産性向上・ビジネススキル向上など幅広い範囲で、業績向上や人材育成の支援を行っている。理論的な背景と情熱的な語り口を交えた講演スタイルに定評があり、セミナーや研修で高い支持を得ている。

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