Uncategorized
2026.1.7

目次
現在、企業の経営者や管理職を悩ませている問題の一つに、「必要最低限の仕事しかしようとしない人」の増加があります。この現象を表すキーワードとして「静かな退職(Quiet Quitting)」という言葉が注目されています。これは「実際に退職したわけではないものの、心が会社から離れてしまい、必要最低限の仕事しかしようとしない姿勢」のことを指します。
このような社員は、言われたことは最低限やるものの、それ以上の仕事を自発的に行おうとしません。その結果、マネージャーは具体的な指示を出し続けなければならず、負荷が非常に大きくなります。ある程度は自分で判断して進めてほしい、応用を利かせて自力で対応して欲しい、という期待が叶わないため、正直なところ「アテにならない」存在となります。当然ながら、組織としての生産性も大きく低下していきます。

最近では「残業キャンセル界隈」という新しいキーワードも登場しています。これは「意図的に残業をしないことを選ぶスタンス」を指します。もちろん、決められた時間の中で効率的に仕事をして、ワークライフバランスを保つこと自体はとても良いことです。自分の時間や家族・友人との時間を大事にすることは、人生の幸福を考える上で非常に重要です。
しかし、やるべきことをやらないまま「時間が来たので帰ります」という姿勢は問題です。本当に明日に回して問題ないのであれば良いのですが、今日やっておけば後々ラクになる、あるいはタイミング的に今やっておいた方が良いという仕事もあるものです。
やるべきことが残っている状態で「時間だから」と帰るのは、ただの職務放棄です。当然ながら、時間内にちゃんと終わらせるべきなのです。ここでは手段と目的が逆転してしまっています。労働時間は仕事で成果を出すための「手段」であるはずなのに、その手段が優先されて、「目的」を見失っている状態になっているのです。
また別の話題として、「5分前集合」「10分前出勤」をめぐる問題もあります。例えば、「9時から打合せが始まるので、8時55分には会場に来てください」と指示すると、「その5分は残業代がつくのですか」という反応が返ってくる。あるいは、「9時から始業なので10分前には出社して仕事の準備をしてください」と伝えると「その10分は残業代が出るのですか」という質問が出る。
確かに就業規則として考えれば、拘束している時間には賃金を払わなければならないのかもしれません。しかし、その準備の時間は「仕事をしている」と言えるのでしょうか。9時から実際に動き出せる状態となるよう、早めに到着してその準備を行うのは本当に「労働」時間なのでしょうか。
さらには、仕事をする上で資格を取らなければならない場合や、昇格のための試験勉強をする場合に、「勉強時間に残業代はつくのですか」という質問が出ることもあるそうです。
取得した資格は会社に帰属するものではなく本人のものです。自分が仕事のレベルを上げていく上で必要なスキルを身につけることに対して、資格の取得費用を補助するのは理解できますが、勉強している時間まで賃金の対象になるかというと、それは違うのではないでしょうか。
こうした思考になる理由を考えたとき、一つの仮説にたどり着きました。それは、これらの方々は「世の中の原理原則が分かっていないのではないか」ということです。その原理原則とは「原因と結果の法則」です。自己啓発書の原点とも呼ばれるジェームズ・アレンの著作のタイトルにもなっているこの法則は、極めてシンプルですが、まさに物事の原理原則そのものなのです。
簡単に言えば、「原因があるから結果がある」ということです。そして、重要なのは「原因が先で結果が後」だということです。
例えば、静かな退職をしている人たちは、「もっと給与が高く、責任のある仕事を任されるような会社に行きたい」と考えています。しかし、就職活動を水面下で進めながら最低限の仕事で今の会社をつないでいくという姿勢では、残念ながら次のチャンスはやってきません。なぜなら、「欲しい結果の前には原因を作らなければならない」からです。
その原因とは「まず自分が意欲的・積極的に責任のある仕事をしようとする姿勢になる」ことです。まだ自分がそうなっていないのに、そのチャンスが訪れるわけがありません。本当に自分のステージを上げたいと思っているのであれば、今の場所でバリバリ仕事をして圧倒的な成果を出すべきです。そうすることで、「今の会社にもっと重宝してもらう」か「今の会社がそういう処遇をしてくれないのであれば転職する」かという選択肢が出てくるのです。
別の角度から言えば、「目的」のために「手段」があるということも、物事の原理原則です。残業キャンセル界隈について考えてみても、「残業をする」というのは手段です。その手段に対する目的は何かといえば、当然ながら「仕事の成果を出すこと」です。
仕事の成果を考えたときに、それが必ずしも今でなくても良く、後回しにしても何の影響もないのであれば、残業しなくても構いませんし、上司も文句を言わないでしょう。しかし、上司が「そこは残業してでもやれ」と言うのであれば、タイミング的に今やらなければダメなのです。
顧客の熱量が冷めてしまう。あるいは、仕事がだいぶ乗ってきていて、このままいけば短時間で一気に仕上げられるのに、リセットして明日に回したらまたエンジンをかけ直して時間がかかる。そういう観点から、ここは残業しておけと考えるのです。残業キャンセル界隈の方は、仕事の成果を出すことではなく、「残業をしない」ことが目的になってしまっているため、手段と目的が入れ替わってしまっているのです。

こうした方々が、本質的に身につけなければならないのは、正しい「労働観」です。それは、「対価が得られるから働くのではなく、働くから対価が得られる」ということです。
この順序を逆にして考えてしまうと、間違いなく、仕事ができるようにならないでしょう。自分のステージが上がっていかないため、おそらく稼げるようにもなりません。原因が先、結果が後なのです。まず働く、そして働いた結果が処遇となって返ってくるのです。
自分ができることは、「期待以上の仕事をやり続ける」ことです。その結果として欲しいものがいろいろと得られるのです。
例として、昇進や昇格で考えてみましょう。「私は一般社員なのでほどほどの仕事しかしません。もし管理職に上げていただいたらもっと頑張ります」という人がいたとして、果たしてその人に管理職を任せるでしょうか。言うことを鵜呑みにして、昇進・昇格させたとしても、仮に期待を裏切るような仕事しかできなかったときに、現実的にはすぐに降格させるわけにもいきません。慎重にならざるを得ないのです。
実際にはどういう評価になるかというと、「一般社員なのにこんなに頑張っていて、仕事ができて、この人は一般社員じゃもったいない。早く管理職に昇格させてあげよう」という心理が働くのです。つまり、仕事をする方が先なのです。処遇は後からやってきます。
任せた仕事を最低限しかやらない。「こんなものしかできないのか」と思われている人に、もっと重要で責任があって、挑戦的な仕事を任せるでしょうか。任せられるわけがありません。「この人はこの程度の仕事しかできないから、ここまでしか任せられない」ということで、レベルの低い仕事を与えざるを得なくなります。
そうすると本人は本人で「ずっとこんな仕事をやっていても面白くない」と思い、モチベーションも下がっていき、転職したくなる。これは悪循環です。
社内だけでなく社外との関係性も同じです。例えば、営業担当者が顧客に対して必要最低限の対応しかしないとすると、お客様からすれば「この会社はこんなものか」と思ってしまいます。だとしたら、もっと大きな仕事をその会社に任せるでしょうか。当然、任せられません。別の取引先を探すことになります。必要最低限の仕事しかしなかった結果、大きい取引につながらないのです。
しかし、小さい仕事でもちゃんとやる、期待以上にやる。すると、「ここまでやってくれるのか。だったら、もっと大きい仕事も頼もうかな」と思ってもらえるのです。
期待以上の仕事をやり続けることによって、信用と信頼が積み上がっていくから、より大きいチャンスに恵まれ、大きい仕事がやってくる。これが原理原則なのです。
静かな退職にしても、残業キャンセル界隈にしても、何でもかんでも残業代を要求することにしても、手段と目的が逆になってしまっています。原因と結果が逆なのです。そういう思考回路の人には、何も頼めません。重要な仕事を任せられないのです。こういうスタンスを取るということが、自ら自分のキャリアを抑制しているということにつながります。本当にもったいないことです。
私は、自ら考えて行動する「自律型人材」を増やすことを、事業の主要テーマに掲げています。自分の意思で動ける人が増えていけばいくほど、パフォーマンスも上がっていきますし、問題解決能力が上がっていくからです。
そういう人が増えていけば、少子高齢化が進む現在の日本においても、今の人数でまだまだ生産性を上げることもできるし、収益を上げることもできます。それによって個人レベルでも、組織レベルでも、社会全体でも経済がもっと良くなっていくから、世の中が豊かで快適になっていくのです。
物価が高騰している。賃金が上がらない。失われた30年。色々なことが言われていますが、結局は元を辿っていくと、一人ひとりの仕事のパフォーマンスが高まれば、状況を打開する余地がまだまだあるのです。自律型人材として活躍する人が増えることで、この状況は改善することができます。
その点において、必要最低限の仕事しかしないという考え方は非常にまずいのです。社会への影響はもちろんながら、本人にとっても望ましくない状態です。現在のレベルで停滞し、生活が一向に良くなっていかないのです。
だからこそ、原因と結果の法則に基づく労働観をしっかりと身につける必要があります。対価が得られるから働くのではなく、働くから対価が得られる。より働けば、より大きな対価が得られる、という考え方をどんどん浸透させていきたいのです。
この考え方ができる方は確実に成長して、より大きな成果を出していきます。「お金のために働きます」「自分がいただいているものの範囲内で頑張ります」という方は次のチャンスをつかめないので、そこでステージが止まってしまいます。それが世の中の原理原則なのです。
日本で働くすべての方々がこの発想になっていったら、日本経済はどんどん復活できると私は心底思っています。人手が足りないと言われていても、それを乗り越えられるだけの工夫や知恵が色々生まれてくると思います。ぜひ「働くから対価が得られる」という考え方を一緒に広めていっていただけたらと思います。
本日も最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
次世代リーダーや自律型人材を育成する仕組みづくりや社員教育をお考えの経営者、管理職、人事担当者の方々。下記よりお気軽にお問い合わせください。(全国対応・オンライン対応も可能です)