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スキル・心構え

2026.7.24

顧客対応における礼儀とは?信頼を失う担当者に共通する3つの特徴

はじめに

取引先や顧客への対応において、契約時とその後で態度が大きく変わってしまう担当者に困った経験はありませんか。顧客対応における礼儀の有無は、実は企業の信頼を大きく左右する重要な要素です。

この記事では、実際にあるサービスを解約した際に体験した出来事をもとに、顧客対応と礼儀の関係、そして信頼される人間関係を築く担当者に共通する考え方を解説いたします。

顧客対応における礼儀とは何か

契約時と解約時で豹変した対応

先日、会社で契約していたインターネット系のサブスクリプション型サービスを解約いたしました。固定費の見直しを進める中で、思うような成果が得られていなかったサービスの解約を決めたのです。

導入時には担当の方とzoomでの打ち合わせを行いました。別件も含めて二回お会いしたことがあり、それぞれ一時間程度、契約内容の読み合わせなども丁寧に進めていただきました。決して面識のない相手ではなく、むしろ信頼関係が築けていると感じていた相手です。

ところが、解約を申し出た途端、対応は一変しました。メールで解約の意向を伝えると「担当者に取り次ぎます」という返信のあと、本人からは音沙汰なし。その後、まったく面識のない別の担当者から「解約はこちらのフォームからご入力ください」という事務的な案内が届き、それきりとなってしまいました。

礼儀の欠如がもたらす虚しさ

この一連のやり取りには、契約解除を止めようとする働きかけも、説得もありませんでした。しつこく引き止められるよりは、あっさりしている方が助かるという側面もあるかもしれません。しかし、実際に感じたのは安堵ではなく、虚しさでした。

このサービスも決して安価なものではなく、月額数万円という費用を、契約上定められた最低利用期間である半年以上にわたり支払い続けた上での解約です。にもかかわらず、「これまでご利用いただき、ありがとうございました」という一言もありませんでした。

成果が思うように出なかったことについては、こちら側の活用方法に原因があった可能性も十分にあります。したがって、成果の有無そのものを問題視しているわけではありません。それでも、せめて感謝や労いの言葉があってしかるべきだと感じたのです。今の時代であれば、AIによるチャットボットであっても、継続利用を引き止める言葉や感謝の言葉を返してくれるはずです。それ以下の対応であったことに、ただただ残念に思いました。

顧客対応が冷たくなる原因

顧客を「お金」としてしか見ていない構造

なぜこのような対応になってしまうのか。その根本には、顧客を売上、つまりお金の対象としてしか見ていない組織文化があると考えます。自社の商品やサービスに誇りを持っている企業であれば、顧客が実際に成果を得られているか、価値を感じ取れているかに強い関心を持つはずです。

そうした関心が欠如していると、「売れればそれでよい」という姿勢に陥り、契約が終わった時点でその顧客への関心そのものが失われてしまいます。今回のケースはまさにその典型例だったといえるでしょう。

機能的価値と情緒的価値の混同

顧客対応を単なる業務プロセスとして捉えてしまうと、この問題は繰り返されます。会社対会社の取引であっても、実際にやり取りをしているのは人間同士です。人間にはみな自尊心があり、自分を大切に扱ってくれる相手には自然と好感を抱くものです。

労働やサービスを提供するという機能的な価値の交換だけでは、良好な間関係は築けません。そこに感謝や敬意といった情緒的な価値が伴って初めて、「この人とまた仕事をしたい」という気持ちが生まれるのです。

信頼される顧客対応を実践するための考え方

B2Bビジネスの目的は「顧客を勝たせる」こと

筆者自身、経営コンサルティングや企業研修を提供する立場として、B2Bビジネスの目的とは顧客を勝たせることだと考えています。当社と取引をしていただいたことで、お客様に何らかの形で良くなっていただかなければ、提供している価値に意味がありません。

仮に「研修の効果がなかった」というお声をいただいたとすれば、私であれば、たとえ無償であっても改めてやらせていただきたいと申し出ます。それが仕事に対する誇りであり、顧客に対する責任のあり方だと考えています。この姿勢がまったく感じられない対応に接すると、その企業がどのような価値観で事業を営んでいるのかが透けて見えてしまいます。

立ち去り際にこそ人間性が表れる

取引や関係の始まりは、誰にとっても気持ちが高ぶるものです。契約を結ぶ瞬間や、一緒に仕事を始める瞬間は、双方にとって前向きな空気に包まれています。しかし、関係が終わる場面にこそ、その人や組織の本質的な人間性が表れます。

今回のように、解約という「終わりの局面」で対応が急に事務的になるということは、普段の丁寧さが本物ではなかった可能性を示唆しています。礼儀とは、都合の良い場面だけで発揮されるものではなく、関係が終わるときにこそ真価が問われるものなのです。

礼儀を欠いた顧客対応のNGパターン

AI以下の対応になっていないか

先述の通り、AIチャットボットであっても、解約の意向を伝えれば「ご期待に添えず申し訳ございません」「今後何かございましたらぜひまたご利用ください」といった言葉を返してくれます。人間が対応しているにもかかわらず、AI以下の反応しか返ってこないという状況は、組織として重大な問題を抱えている可能性があります。

顧客対応の質は、担当者個人の資質だけの問題ではありません。もし個人的にそうした特性が乏しかったとしても、企業として「顧客に対して礼儀と感謝の心を持つ」という価値観を掲げ、それを教育の中で徹底している組織であれば、対応は自然と変わっていくはずです。一つの対応がそのまま、その企業全体の姿勢を映し出すのです。

退職代行に頼らざるを得ない組織風土

この問題は、社外との取引だけでなく、社内の人間関係にも同様に当てはまります。例えば、近年広がりを見せている「退職代行サービス」はまさにその一例です。そのサービス自体を否定するつもりはありません。心身に危険が及ぶような状況であれば、自分の身を守るために利用することは十分に理にかなっています。

しかし、そこまで追い込まれた状況でなくても、お金を払って気軽に代行を頼めてしまうことに問題があるのです。本来であれば「今までお世話になりました」の一言を直接伝えられるはずの関係性であるのに、コミュニケーションそのものを完全に遮断し、代行を通じてしか意思疎通しないという姿勢を示す。言わば、人間関係の放棄です。

ところが、人のご縁は巡るものであり、かつての部下が取引先になったり、かつての同僚が別の立場で上司や関係者になったりすることも、決して珍しくありません。いつ、またどこかでお目にかかるかわからないものです。だからこそ、去り際の礼儀を軽んじるべきではないのです。

まとめ|礼儀ある顧客対応が信頼をつくる

成果が出た/出なかった、あるいは相性が良い/悪いにかかわらず、目の前にいる相手に対して礼儀を尽くすことは、あらゆる顧客対応、そして人間関係の基本です。特に関係が終わる場面でこそ、感謝の言葉を伝えることが、その後の信頼や評判を大きく左右します。

このような礼儀や感謝の姿勢は、個人の心掛けだけに依存していては、組織全体に浸透しません。担当者が変わっても一定の品質を保つためには、企業として「顧客に礼儀と感謝をもって接する」という価値観を明文化し、評価制度や研修体系の中に組み込んでいくことが必要になります。

とはいえ、こうした価値観を組織全体に根づかせ、社員一人ひとりの行動として定着させることは、決して簡単なことではありません。人事制度の設計や、研修体系の整備、日々のマネジメント体制の構築など、実務レベルでの仕組みづくりが不可欠です。

株式会社ビジネスキャリア・コンサルティングでは、こうした課題に対して、人事制度の再設計、社員教育体系の整備、マネジメント体制の構築など、実務に即した支援を行っております。「顧客に選ばれ続ける組織」を目指す企業経営者・人事ご担当者の皆様は、ぜひ一度サービス詳細をご覧ください。

本日も最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

この記事を書いた人

小松 茂樹(こまつ しげき)

中小企業診断士・キャリアコンサルタント。株式会社ビジネスキャリア・コンサルティング代表取締役社長。「デキる人を増やして社会をもっと快適にする」を理念に、人事・組織コンサルタントや研修講師として活動。理論的な背景と情熱的な語り口を交えた講演スタイルに定評があり、セミナーや研修で高い支持を得ている。

著作『指示待ち人間からの卒業〜自ら考えて行動する「自律型人材」になる方法〜
著作『指示待ち人間からの解放〜自ら考えて行動する社員を増やす4つの柱と7つのステップ〜

登壇実績 862件、1,015日間(のべ受講者数17,334名)*2025年12月末現在

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