コミュニケーション
2025.4.22
目次
この4月、社会人としての一歩を踏み出した新入社員の方々にとって、最初の1ヶ月は今後の職業生活を左右する非常に大切な時期です。規則正しい生活、正しい言葉遣い、身だしなみなど、学生から社会人への切り替えを行っていきますが、その中でも、特に重要なのが「人間関係の築き方」です。
学生時代とは異なり、社会に出ると、年齢や背景の異なる多様な人々と一緒に仕事をすることになります。しかも、自分で人間関係を選ぶことはできません。学生時代は相性の良い人、自分の好きな人を選んで接し、苦手な人とは距離を置くことができました。
しかし、社会人は人間関係を自分の意思で選べません。たとえ苦手な人、相性の悪い人であっても、それが上司や先輩、同僚、取引先など仕事をする上での登場人物であれば、うまいこと接し、協力しながら仕事を進めていくことが求められます。
だからこそ、できる限り早い段階で、どんな人とでもうまく付き合う力を身につけておくことが必要です。特に、新入社員にとっては、日常的に接する上司や先輩との関係をいち早く良好にしておくことが、社会人生活の好スタートをきるポイントになります。
まず新入社員の皆さんに意識していただきたいのは、素直さです。
例えば、仕事を指示されたときに、
「この仕事の目的は何ですか?」
「これをやって何になるんですか?」
「なぜこのやり方なんですか?」
と問い返すと、反抗している、噛み付いているような印象を与えてしまいます。
もちろん、背景や目的を把握した方が仕事の質は高まります。意図を明確にして指示を出す方が望ましいのは確かですが、だからといって、それがわからないとできません、やりませんという態度をとるくらいなら、まずは「わかりました、やってみます」と素直に引き受けて、いち早くやってみる方が好感が持てます。
その上で、不明点や疑問点があれば、「やってみましたが、ここがわからないので教えてください」と尋ねれば、主体性や積極性が高いという印象を与えることができるでしょう。一度自分でやろうとした上で、不明点をクリアして自力で成し遂げようという姿勢を示すことが効果的です。
加えて、リアクションも大切なポイントです。特に、現在の若い世代は「リアクションが薄い」と言われがちです。本人はそのつもりはなかったとしても、年長者にはそう映ることが多い傾向があります。したがって、自分よりも年上の上司や先輩に対しては、多少オーバーに感じるくらい、うなずきやあいづち、返事をするくらいでちょうど良いでしょう。
リアクションを返すことで、「この人はちゃんと理解してくれているな」と安心感を与えることができ、その後の関係を良好にすることができます。
上司や先輩との関係構築において重要なのは、なんといってもコミュニケーションです。報告・連絡・相談、いわゆる「ホウレンソウ」は、上下関係におけるコミュニケーションの基本中の基本です。
古典的な表現のため「いまの時代にまだホウレンソウ」だなんて、という印象を持たれる方もいるかもしれません。古臭いと感じる方は、「情報共有」と言い換えてみましょう。ずいぶん印象が変わるのではないでしょうか。
しかし、情報共有の本質は報告・連絡・相談です。事実情報、個人の意見や見解の確認と共有、不明点や疑問点の解消は、チームワークを進める上で欠かすことのできない重要な要素です。
報告・連絡・相談を徹底して行うことで、組織の縦と横の連携が強化され、チームとしての動きが格段に良くなります。
報告を徹底し、連絡や相談を加えることで、情報共有のできる優秀な人材という評価を得ることができます。
上司や先輩が忙しそうにしていて、話しかけにくいと感じる時もあるかもしれません。そこで報告しようか、後回しにしようかと悩むくらいであれば、直ちに報告してしまいましょう。
報告の形態は口頭に限る必要はありません。相手が不在、もしくは立て込んでいる時であれば、メモ書きをデスクに残す、メールやチャットで報告するなどの方法で報告することができます。
また、情報共有を円滑にするためには、報告のタイミングをあらかじめ上司や先輩と極めておくことも有効です。例えば、終業10分前に報告や相談の時間を設けるなどのルールを事前に決めておけば、報告のタイミングを探るために気を使う必要はなくなります。
上司や先輩との距離感は「近すぎず、遠すぎず」が理想です。必要以上に親しくなる必要はありませんが、距離を取りすぎるのもよくありません。適度な距離感を探っていきましょう。
たとえば、飲み会やランチの誘いを受けたとします。食事などの職場以外での接点は、インフォーマルコミュニケーションと言って、非公式な関係構築の機会となります。職場の中ではなかなか伺えない、お互いの人間性や価値観、周辺情報を知る絶好の機会となります。
職場以外にはいっさい接点を持ちたくないと、頑なに断っていると、当然ながら相手との距離は縮まりません。だからといって、無理をして毎回参加しなければならないわけでもなく、ましてや盛り上げたり、無理に話を合わせなければならないわけでもありません。
無理なく行ける時に参加する。ただそれだけでも、「この人は関係を築こうとする意思がある」と伝わります。うまく話せるか、立ち回れるか心配する必要はありません。とりあえず「行く」という選択を取るだけでも、関係構築への一歩につながります。
加えて、日頃のあいさつにプラス一言を添えるだけでも、関係を近づけることができます。単に「おはようございます」と言うだけではなく、「おはようございます。昨日の話、すごく参考になりました。またよろしくお願いいたします。」など、一言を添えるだけで、コミュニケーションが弾むようになるでしょう。
職場での人間関係を築いていく上では、注意しておきたいNG行動もあります。中でも避けたいのは「スマホをいじりながら人の話を聞く」ことです。日頃からスマホを触りながら何かをすることが癖になっていると、たとえ悪気がなくても、相手と話をしている最中にスマホをいじりだしてしまうかもしれません。
しかし、「ながら行為」は相手を軽んじているという印象を与えかねません。スマホをいじりながら話を聞くという行為は、相手の存在を軽視しているように映ります。上司や先輩が話しかけてきた時には、たとえ作業中であっても手を止め、しっかり顔を向けて対応するのが礼儀です。
また、相手から言われるまで何もしようとしない「受け身の姿勢」も、早いうちに変えておきたいところです。社会人には自立や主体性が求められます。わからないことがあれば、自分から尋ねる。やることが一通り終わったら、次の指示を仰ぎにいく。たとえ仕事に関する知識や情報が十分にない状態であったとしても、主体的に自ら行動を起こすことはできます。率先して行動できる人間であることを示していきましょう。
そして、最も大切なのは、誠実な行動を取ることです。失敗や不始末を隠蔽したり、誤魔化したりすれば、信用は大きく失墜し、回復するのも非常に困難になります。悪い報告ほど早く報告をし、対応の指示を仰ぎましょう。隠し事をせず、正直に報告することで、「この人には安心して仕事を任せられる」と評価され、大きな信頼を寄せてくれるようになるでしょう。
上司や先輩からの信頼をさらに高めるには、クイックレスポンスを心がけましょう。物事を後回しにせず、早く、そして速く対処しようとすることで、仕事への意欲や積極性を示すことができます。
例えば、電話がなったらすぐに取る。メールやチャットの返信をすぐに行う。仕事の着手や完了の報告をすみやかに行うことで、「仕事ができる人」「頼りになる人」という印象を与えることができます。
また、自分の意見をしっかりと持つことも大事です。上司や先輩に指示を仰ぐ時に「何をすればいいですか?」とすべてを委ねるような聞き方をするのではなく、状況を観察したり、仮説を立てたりして、「こうした方がいいと思いますが、いかがでしょうか?」というように自分なりの考えを述べましょう。当事者意識の高い成熟した人間だと評価され、一段上の信頼を得ることができます。
必ずしも難しいこと、高度なことをする必要はありません。誰かが困っていたら声をかける、共用スペースのちょっとした乱れを整えるなど、些細なことであっても、状況を観察して率先して動ける人は、高い評価を得ることができるでしょう。
新入社員としての最初の1ヶ月は、社会人としての基盤を築く貴重な時間です。何も考えず、ただ上司や先輩から言われたことをこなすだけで終わるか。自分なりに高い目標や基準を持って、何か1つでも多く学び取ろうとするか。仕事や対人関係に対する姿勢の違いが、5月以降の成果、成長、評価に大きな差を生み出します。
一度にすべてを意識し、実行することは難しいかもしれませんが、1日に1テーマを決めて意識的に行動することで確実な成長を積み重ねることができます。上司や先輩から高く評価され、信頼を得て、いち早く仕事を任せてもらえるよう、自分から行動をおこしていってください。
本日も最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
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