N社様(設備建設業)
「人が育たない・辞める・伝わらない」を変えた組織改革
ー 企業概要
空調・給排水・電気設備などの設計・施工を手がける設備工事会社です。社員数は約30名で、現場技術者とバックオフィスが連携しながら、多くのプロジェクトを同時に進める企業です。
ー 抱えていた課題
・現場作業の忙しさから、社内のコミュニケーションが希薄になっていた
・管理職と若手社員の間で、指示・報告・相談の伝達にギャップが生じていた
・人事評価やキャリアパスが不透明で、モチベーションや定着率に課題があった
ー アプローチと実施ステップ
1.現場・事務方を含む全社員ヒアリングの実施
webアンケートでのエンゲージメント診断を行い、組織の状況を疑似定量的に分析しました。その上で、ベテラン・中堅・若手・事務職といった幅広い社員層に対して、業務上の悩みや職場への期待、将来的に目指したい姿などをヒアリングしました。その結果、職位ごとに異なる課題や意識の違いが明らかになりました。
2.課題構造の整理と「5つの重点施策」の立案
ヒアリング結果をもとに、以下の5つを重点テーマとして策定しました。
・指示・報告ルートの整理と現場対応フローの統一
・管理職向けのマネジメント研修と役割の明確化
・評価制度と職能ランクの導入による成長支援
・若手社員への定期面談とフォロー体制の構築
・安全衛生・福利厚生ルールの明文化と社内共有
3.部門別ミーティングと全社ワークショップの実施
施工管理部門・現場技術部門・事務管理部門に分かれて、それぞれの視点で改善案を検討するミーティングを行いました。その後、部門横断のワークショップを通じて共通認識を形成し、優先順位を整理しました。
4.制度と仕組みの段階的な運用開始
それまであいまいだった社員の等級制度を設計し、各等級に求める期待役割や、職種ごとの評価基準も設定しました。半年間のテスト導入を経て、正式に運用を開始しました。
あわせて、マネジメント層に対する1on1ミーティングの支援やフィードバック面談、評価者研修などを実施し、制度と実際の運用がきちんと連動するよう調整を行いました。
5.導入後の成果
・現場と本社の間での報告・連絡・相談が活性化し、意思疎通の速さや精度が向上
・管理職がリーダーシップを発揮しやすい環境が整い、業務改善の提案が約2倍に
・若手社員の離職が減少し、入社1〜3年目の定着率が21%改善
・期待役割と評価基準が明確になったことで、社員一人ひとりの納得感や主体性が向上
このように、目に見えにくい不満やすれ違いも、丁寧なヒアリングと制度設計によって、組織の前向きな力に変えることができます。職場の空気感や人間関係を「見える化」し、仕組みと対話で整えていくことで、持続的な組織活性化が可能です。
ー 関連サービス
働きがい・働きやすさに関する50の質問から、従業員のエンゲージメント(積極性や就労意欲)を測定する診断です。
自律型人材育成を促進する人事制度の改訂をご支援します。等級・評価・賃金・教育の観点から制度を設計いたします。