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リーダーシップ

2025.10.27

【今日からできる】凡人がカリスマリーダーになる方法

リーダーシップは「役割」ではなく「能力」です

これから数回にわたって、リーダーシップについての話をしていきます。まず最初に触れておきたいのは、「リーダー」と「リーダーシップ」は別物だということです。

「リーダー」は任命された役割であり、最終責任を負い、意思決定を担う特定の立場を指します。チームの全員が「自分がリーダーです」と名乗ってしまっては統制が取れません。役割としてのリーダーには人数の制約があるのは当然です。リーダーは「選ばれた人」が担う役割です。

一方で、「リーダーシップ」は立場に依存しない「能力」です。役職がなくても、職位が低くても、誰もが発揮することができます。つまり、「リーダー」の役に就いていない人でもリーダーシップは発揮できるのです。逆に、役職者でもリーダーシップが乏しければ人は動きません。人を動かすのはリーダーシップという「能力」の問題だからです。

複数の人間の協働によって成り立つ「組織」で仕事をする上では、リーダーの役割を担う者であろうと、そうでなかろうと、能力としての「リーダーシップ」を身につけ、他者に対する影響力を高めることが有効です。

この「役割」と「能力」の違いを理解することで、今日からの行動が変わります。役割の任命を待つのではなく、今の持ち場で人を動かす振る舞いを積み重ねる。これが凡人が成功する最短ルートであり、後述する三つの影響力を強くしていく王道でもあります。

役職ゼロでも発揮できるリーダーシップ

リーダーシップが役職ではなく能力だということを示す、私の体験談をご紹介します。

私は独立前、コンサルティング会社に所属しており、全国を飛び回って研修やセミナーを担当していました。ところが2020年、コロナ禍で2月頃から集合研修が一斉にキャンセルとなり、4〜5月は緊急事態宣言で自宅待機。その後も半年以上は仕事の見通しが立たないという状況に陥りました。

多くの同僚や同業者が「緊急事態宣言が明けるまで待つ」「6月頃には集合研修を再開できる」と楽観視していた傍で、私は早々に「当分、集合研修は難しい」と腹をくくりました。いろいろと情報を収集する中で、コロナ禍は3年程度は続くだろうことが見込まれ、別の形態で売上を立てる必要があると認識したのです。

そこで、自宅でMacやパソコン、iPhone、iPadを広げ、「一人zoom」を繰り返しながら、オンライン研修の設計と配信の練習を続けました。周囲の視線は正直冷ややかでしたが、実践で試さなければ、自分のアイデアの有効性を確かめることも、磨き上げることもできません。

見切り発車で、無料のオンラインセミナーを「企画から1週間後」に開催。ホームページにZoomのURLを直貼りして案内をするという、今ではセキュリティ的に考えられないような方法で募集をかけました。何もかもが手探りで、よくわからないままに進めていたのです。

それまでの常識では、セミナーの集客は半年前くらいから動き出して、20人程度集めるだけで一苦労。たった一週間の案内で集客ができるわけないだろうというのが、大方の見立てでした。しかし、私には勝算がありました。人事部の方々も不安な中で情報を求めているでしょうし、新入社員研修や採用活動が停止状態になって時間を持て余しているだろうと思ったからです。

いざ蓋を開けてみると、開始1分で上限の100名に到達。お客様を優先するために、聴講していた社員には体質してらうほどの盛況でした。この結果で社内の空気が一変し、オンライン講座に対する期待が高まり、手法を研究していくムードも醸成されました。私も率先して研究や練習を重ね、それを文書にまとめて社内に共有していきました。

しばらくして、先輩から「あの時の小松さんのリーダーシップはすごかったね」と言われ、私自身もそれがリーダーシップだったことに気付かされました。リーダーシップは立場や肩書きではなく、実際に「場を動かす影響力」なのだと実感した瞬間でした。

当時、私がやっていたことを改めて振り返ってみると、次の通りになります。

・前例のない状況でビジョン(オンラインで集合研修の代替価値を提供する)を掲げる
・率先して具体的な方法を模索し、いち早く試行する
・試行の過程と結果、そこから得られた知恵を組織に共有する

その時には、そんな意図はなく無我夢中にやっていただけでしたが、今から考えれば理に叶うことをしていたと思います。当時の私は、入社4年目の中途社員に過ぎず、コンサルタントの中では下から2番目の年齢でした。職位や年功はなくても他者に影響を与えられる。これがリーダーシップなのだと思います。

人を動かす3つの影響力

人を動かす影響力は、大きく3つの力で構成されます。

1.ポジションパワー(公式の力)
2.パーソナルパワー(個人の力)
3.リレーショナルパワー(関係性の力)

以下、それぞれについて解説いたします。

ポジションパワーの現実的な活かし方

ポジションパワー(公式の力)は、その名のとおり役職・職位などの「立場」から生まれる権威性です。同じ内容を伝えたとしても、それが「どの立場の人が言ったことなのか」で影響力は異なります。一般社員、課長、部長、社長の誰が言うかで、聞き手の受け取り方が変わるのが現実です。

役職の効用は「意思決定を素早く進めること」と「責任の所在を明確にすること」です。役職は権威を誇示するためにあるのではなく、責任を持った意思決定を行うためにあるのです。

一方、役職のない人は「決裁が必要な場面で、意思決定者をどのように動かすか」が鍵になります。事前共有、根回し、論点の整理、意思決定者の関心事の把握。こうした周到によって、必ずしも自分が権限を持っていなくても、「権限を持っている人を動かす」ことによって自分の意思を進めることができます。

立場が弱いときほど、「意思決定者が決めやすい形」に材料や状況を整えることに集中しましょう。データや事例、リスクと代替案、実行計画などを整えて、「Yes/No」で答えられる状態にして意思決定を促すと、上位者の負担は減り、物事が前に進みます。これはある意味では、後述する「個人の力」と「公式の力」の橋渡しでもあり、「関係性の力」の土台にもなります。

肩書きがなければ影響力を発揮できないわけではありませんが、ないよりはあった方が良いです。職位や立場が高い方が、発信力、影響力は高まります。しかし、ポジションパワーは本人の意思で高めることは困難です。したがって、リーダーシップを自発的に高めるためには、残り2つの力に磨きをかける必要があります。

個人の力を磨き抜く

個人の力は、「業務知識・スキル」「人間性」そして「カリスマ性」で構成されます。

まず業務知識やスキルです。現場実務を知らない人に言われるよりも、現場を理解した人の指示や助言のほうが響くのは当然です。論より証拠。具体的に語れる人は説得力が違います。必ずしも現場実務を自らやる必要もないし、極度の専門性が必要になるわけではありませんが、それでも業務知識やスキルはないよりはあった方が、影響力を発揮できます。

次に人間性です。たとえ正論であっても、言い方や態度ひとつで反発を招きます。逆に、普段から誠実で、感謝を忘れず、約束を守る人の言葉は同じ内容でも受け入れられやすいです。人間は好き嫌いで判断し、好き嫌いで動く。これが現実です。好かれることはもとより、まずは嫌われないようにするために、礼儀礼節、誠実さ、謙虚さなどを大事に、丁寧に人に接することが影響力を高めていきます。話の言葉尻、メールやチャットの語尾ひとつ、反応の速さひとつが、日々の信頼残高を増やす投資につながります。

そして、カリスマ性です。カリスマ性は天性の才能と思われるかもしれませんが、実は後天的に「作る」ことができます。カリスマリーダーを一言で表すと、「とてつもなく高い目標に向けて情熱を燃やして動ける人」です。通常では考えられないような高い基準や、到底無理と思えるようなビジョンに向けて、単なる夢物語ではなく「本当に実現する」という強い信念と情熱を持って挑んでいく。

非現実的なビジョンや目標を掲げるほど、最初は周囲から理解されません。嘲笑されることもあるでしょう。しかし、本心からそれを願い、孤軍奮闘でも前に進めていく姿勢を示すことで「本気でそれを実現しようとしている」ことが伝わるようになります。

その姿勢に感化され、一人またひとりと歩み寄ってくる人が現れます。その積み重ねで、チームが出来上がり、推進力が高まる。当初は到底無理と思われた目標の達成が現実味を帯びてくる。その時、人はその人を「カリスマ」と呼ぶのです。カリスマの最初の一歩は、「とても高い理想を掲げる」ことなのです。

人間にとって一番楽なのは、現状維持です。これまでのやり方をそのまま続ければ失敗のリスクも小さいし、不安もありません。だからこそ、「もっと良くしたい」「新しいことに挑戦しよう」と踏み出すには高いエネルギーが必要です。それを実際に行動に移し、周囲の惰性を突き破って理想へと引っ張る人こそ、リーダーシップを発揮している人なのです。

理想を掲げ、批判を超えて突き進む

誰もが不可能だと思う目標を掲げ、それを「必ずやる」と言い切る勇気。それがカリスマへの道です。最初は周りから冷ややかな目で見られ、「無理に決まっている」と笑われるかもしれません。けれども本気で続ける姿を見せるうちに、人は次第に態度を変えます。

最初は「何言ってるんだ」と思っていた人も、いつしか「この人なら、もしかして本当にやり遂げるのかもしれない」と感じ始め、やがて「手伝わせてください」と言い出す。これがカリスマが生まれる瞬間です。

高い理想を掲げてカリスマになった代表例は、なんと言っても大谷翔平選手でしょう。彼の「二刀流」への挑戦はまさにこのプロセスそのものです。高校卒業後、メジャーリーグに挑戦すると宣言。当時の栗山監督の説得により日本ハムファイターズに入団すると、二刀流への挑戦を宣言します。

多くの専門家が「プロ野球をなめるな」「二兎を追う者は一兎をも得ずだ」と批判していました。しかし、彼は理想を譲らず、誰に何を言われても挑戦を続けました。その結果、誰もが不可能と思った二刀流を実現し、日本で圧倒的な記録を打ち立てた後、メジャーリーグの歴史をも塗り替え続ける偉大な選手となりました。

彼が高校生の頃に書いた「マンダラチャート」は、非常に有名です。わずか16歳の時点で、具体的な理想が明確に描かれていました。そして、脅威的なことに自分の立てた人生計画を着実に歩んでいっています。

つまり、カリスマは、結果が出たから生まれるのではなく、結果を出すまで理想を諦めなかった姿勢によって生まれるのです。凡人でも理想を掲げ続ける覚悟さえあれば、同じように周囲を動かす「カリスマリーダーシップ」を発揮することができるでしょう。

関係性の力を育てる

リーダーシップの3つ目の影響力は「関係性の力」です。これはポジションパワーやパーソナルパワーとは異なり、人と人とのつながりそのものから生まれる力です。

例えば、どんなに優れた商品を扱っていたとしても、取引先との関係性がなければ契約には至りません。性能も価格も他社より優れているのに、「いま使っているのは社長の息子さんの会社なんです」と言われて、断られる。これは合理的な判断ではなく、信頼や付き合いの長さといった関係性が意思決定を左右しているからです。

組織の中でも同じことが起こります。どんなに正論を言っても、普段から関係を築いていない相手には届きません。逆に、日頃から雑談やちょっとした助け合いをしている仲間からの提案なら、耳を傾けてもらえる。理屈よりも人間関係の積み重ねが影響力を強めるのです。

大切なのは「信頼の貯金を増やす」ことです。挨拶を怠らない、相手の名前を覚える、困っている人がいたら少しだけ手を貸す。そうした小さな行動が積み重なり、「あの人の言うことなら信じられる」という信頼が生まれます。この関係性の力は、役職や個人の能力を超えた強力なリーダーシップの源になります。

3つの力をバランスよく磨くことがリーダーシップの本質

ここまで、リーダーシップを支える3つの影響力―公式の力、個人の力、関係性の力―を解説してきました。重要なのは、どれか1つに偏るのではなく、3つをバランスよく伸ばすことです。役職やスキルだけでは人は動かず、関係性だけでも成果は出ません。信頼される人格と確かな実力、そして立場に応じた責任感。この3つを組み合わせることで、真のリーダーシップが形成されます。

凡人でも今日から始められるリーダーシップの第一歩は、「理想を持ち続けること」と「人との関係を大切にすること」です。立場や年齢は関係ありません。自分の理想を語り、行動で示し、仲間に信頼される人間を目指す。その姿勢が、やがて周囲を動かす力になります。

まとめ

リーダーシップとは役職や才能に左右されるものではなく、日々の行動によって誰もが身につけられるスキルです。現状を変えたいと思い、理想を掲げて行動する。人と誠実に向き合い、信頼を積み上げる。その繰り返しが、あなたを「凡人からカリスマリーダー」に変えていくのです。

どんな小さな組織でも、家庭でも、学校でも、職場でも、あなたは周囲の人たちに良い影響を与える存在になれます。そのための一歩を、今日から踏み出してみてください。

本日も最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

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