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マネジメント

2026.2.21

管理職なら知っておきたい 個人・集団・組織の仕事の違い

組織で働くことの意義

組織で仕事をすることは、必ずしも容易ではありません。

手続きやルールが定められており、仕事の進め方が煩雑になることもあります。また、自分でできることの権限や裁量が限定されており、不自由さを感じることも少なくありません。何よりも人間関係への配慮が求められ、様々な調整業務に追われることは、非常に面倒に感じられるものです。

そうした状況に直面すると、「一人で仕事をした方が楽なのではないか」「その方が成果も出るのではないか」と考えてしまうこともあるでしょう。しかし、それでも仕事をする上では組織を組んだ方が良いのです。たとえ不自由さや煩雑さがあったとしても、やはり組織を組むべき理由があります。

当社のような小規模な企業であっても、チームを編成しています。マーケティングにもチームがあり、営業にもチームがあり、もちろんコンサルティングの仕事を遂行するにあたってもチームを組みます。一人ではできないことがあるからこそ、チームを組むことが重要であり、必要なのです。

今回は、個人、集団、組織の仕事の違いについて解説いたします。特に、チームを率いるリーダーやマネージャーの方には、「何のために組織を組む必要があるのか」「単なる集団ではなく、機能的な組織にするためには具体的に何が必要なのか」を、自分でも納得し、自身の言葉で他者に説明できる状態、になっていただければと思います。

個人の仕事と組織の仕事 | それぞれのメリットとデメリット

個人の仕事にもメリットは存在します。

まず、何と言っても自由度が高いことです。自分の好きなペースで仕事ができますし、好きな場所で働くこともできます。スケジュールや環境の自由度が高いことは大きなメリットと言えるでしょう。ワークライフバランスも保ちやすく、私自身も独立してからは、平日の日中に美容院や歯医者に行くなどしています。その自由さは大きな利点です。

また、意思決定が迅速であることも個人で働く強みです。フリーランスや事業主の方は自分自身が最高意思決定者ですから、自分の判断で次々と物事を決めて仕事を前に進めることができます。圧倒的なスピード感があるのです。そして、成果が報酬に直結しますので、自分が頑張った分だけ報酬が大きくなります。これらが個人で仕事をする主なメリットです。

一方、デメリットも存在します。まず、収入が不安定になるリスクがあります。雇用されていれば、売上が好調な時も不調な時も一定の給与が支払われますが、フリーランスや個人事業主として働いていると、当月の売上がなければ自分の収入はゼロになってしまいます。継続的に受注していかなければならないというのは、決して容易なことではありません。加えて、自分が病気や怪我で倒れてしまえば仕事ができなくなり、収入が途絶えてしまうため、非常にリスクが大きいのです。

さらに、相談相手に乏しく、サポートが手薄になり、孤立しがちになります。もちろん、フリーランスや個人事業主同士でコミュニティを作ったり、仲間を作ったりしていますが、やはり会社の上司・部下・同僚のような関係とは異なります。みんなそれぞれが異なる仕事をしているため、同じ悩みを共有することも難しいのです。

そして最大のデメリットは、何と言っても「大きな成果が得られない」ということです。原始時代に例えてみましょう。一人で食料を調達しようとすれば、木の実やキノコを採ったり、釣りをしたりすることができるかもしれません。一人でも得られる成果はあります。

しかし、一人でマンモスに挑んで倒し、その肉にありつくことはまず不可能です。マンモスでなくとも、動物と戦って一人で勝てる人間はそう多くありません。やはり大きな成果を得ようと思ったら、一人では無理なのです。だから、マンモスを狩る時には組織を組むわけです。複数の人間で組織を編成し、このマンモス狩りという一大プロジェクトをみんなの手で成し遂げる。そのために、人と人は手を取り、組織を組んできたのです。

それゆえ、組織で仕事をする最大のメリットは、何と言っても「大きな成果が得られる」ことだと言えます。一人では成し遂げられないことも、チームワークで実現することができます。

加えて、現代の会社組織で言うならば、給与が安定していることも大きなメリットです。業績の変動に関わらず一定額の給与を毎月確実に受け取ることができます。それに加えて、個人事業主では得られない福利厚生のサービスを受けられるのも利点です。例えば、家賃補助や社会保険、レジャー施設の利用など、会社によって提供されるものは異なりますが、そうした恩恵が組織に加入するメリットとして与えられます。

さらに、専門分野ごとに分業ができ、役割分担ができることも利点です。一人で仕事をすると、すべてのことを自分でしなければなりません。極端に言えば、一人でマーケティング活動をして営業活動をし、仕事を受注したら自分で生産して納品し、その請求処理などの事務作業もすべて一人で行う必要があります。

決算や確定申告といった事務手続きもすべて一人でこなさなければなりません。これはなかなか大変な上、向き不向きもあります。一人ですべてのことをやらなければならないということは、苦手なこともやらなければならないということです。

組織で役割分担をすると、自分が得意なことに集中できます。得意な人が、得意なことを、お互いにやっているという強みを掛け合わせたものが、組織としての実力になります。個人レベルで考えれば、やりたくないことをなるべくやらずに済むようになりますし、しかも生産性も向上していくのです。

ただし、組織で働くことにもデメリットは当然あります。まず、意思決定に手間と時間がかかることが挙げられます。独断専行で一人で突き進んでいくことはできません。様々な人々と調整を図りながら、みんなが納得いくような合意形成をしていく必要があります。やはり、これには時間がかかるのです。

また、役割分担で分業をするということは、自分の持ち場が限られているということになりますので、当然自由度が低くなります。個人の裁量が小さくなります。個人の仕事と逆のことが起きるわけです。何でもかんでも、自分の都合の良いように決めていくことはできませんし、自分の責任範囲から飛び出した仕事もできません。

そして、人間関係とコミュニケーションの負担が大きいことも無視できません。気が合う人、やりやすい人とだけチームを組めれば最高なのですが、そうとも限りません。そもそも、やりやすい相手だけを集めていったら、似たような人たちが集まることになるため、組織としての強さも不十分になってしまうことがあります。

強いチームを作るには、様々な感性、様々な能力の人が集まった方が、組織としての出力の総和は上がります。しかし、物の考え方や感じ方が異なるため、トラブルが起きやすく、人間関係を構築するのが大変なのです。

しかし、それでも組織を組むのです。その唯一の理由は、「大きな成果が得られる」からです。一人では成し得ない大きな仕事をする。そのために組織を編成していくわけです。

集団と組織の違い | 相乗効果を生み出す3つの条件

ただし、目指したいのは「組織」であって、単なる集団ではありません。

単なる人の集まりのことを「集団」と呼びます。仮に会社などに所属していても、一人親方のように個々人がそれぞれ単独で仕事をして、情報共有もせず、困ったことがあっても手伝ったりしないような関係でバラバラに動いているのであれば、それは「組織」ではありません。役割分担と連携によって、相乗効果が発揮されるチームのことを「組織」と呼ぶのです。

つまり、一人一人が単独に動くのではなく、皆で手を取り合いながら協力して仕事をすることによって、それぞれが単独で動く以上の成果を得ていくのが「組織」です。人と人とが繋がっていること自体が力を持つため、仮に同じ能力の人が同じ人数集まったとしても、チームプレイをすることでより強い状態を作っていく。それが「組織」なのです。

その「組織」を編成していくためには、役割分担が必要です。これもマンモスの例えで考えると分かりやすいでしょう。一人ではマンモスに勝てないからと、10人ぐらいで戦いを挑もうとしても、その10人が全員マンモスの正面に立って全員が一斉に突撃していったら、全員一斉に踏みつぶされて終わりです。集団の仕事とはそういうことなのです。

しかし、実際にはもっと緻密に戦うはずです。例えば、その中に足が速い人がいたら、その人が囮になってマンモスの注意を引きます。力が強い人がいたら、その人が回り込んでマンモスの背後に回り、後ろから攻撃します。あるいは、手先が器用な人が罠を仕掛けたりします。自分の能力を活かした戦い方を組み合わせて、一人ではできない戦法を取っていく。これが組織の強さなのです。

したがって、組織には様々な能力の人がいた方が良いわけです。全員が腕力が強くても、全員で一斉に突撃したら、やはりやられてしまいます。足が速い人が囮になる。頭が回る人が司令塔になっても良いかもしれません。手先が器用な人は、罠や道具を作ったりするかもしれません。みんなそれぞれの貢献の仕方があるのです。そうやって一人ひとりが異なることをやり、全体として役割分担ができている状態が、組織として相乗効果が発揮される強い状態になるわけです。

実際、私も様々な会社を訪問して「職場の問題は何ですか」と尋ねると、「情報共有ができていません」「横の連携が取れていません」「仕事が縦割りになっています」という話が非常に多いのです。仕事が縦割りになっているというのは、単なる集団になってしまっていて、相乗効果が発揮できていない状態だと言えるでしょう。

相乗効果を発揮するためには、役割分担をするだけでは不十分です。役割分担がきちんと機能するようにするためには、以下の3つの条件が必要だとされています。

共通目的

1つ目は、共通の目的を持っていることです。仮に役割分担をしたとしても、全員がそれぞれ異なる目的のために動いていったら、その成果は分散してしまいます。会社の理念があり、ビジョンがあり、目標があって、皆が同じところを目指して仕事をしているからこそ、役割分担として機能することになるのです。そのためにも、考え方の足並みが全員揃っている必要があります。

具体的に言うと、会社の理念や価値観を共有することです。社是や社訓、行動指針。横文字で言えばミッション、ビジョン、バリューなどです。これらがすべての部署、すべての職種、すべての階層に共通する、組織としての最も重要な考え方です。それらを起点にして、意思決定の判断基準や求める人物像を作っていき、組織のメンバー全員が共有している状態になるからこそ、チームワークとして機能するのです。

協働意識

2つ目は、協働意識です。仲間意識を持って、同僚をお互いに認め合い、信頼できる関係として協力体制を築いていかなければ、やはり役割分担として機能しません。ただし、実際にはこれが非常に難しいのです。

自分の上司や同僚が全員、お互いに尊敬し合えて、信頼し合える関係であれば、協働意識は作りやすいことでしょう。しかし、組織の中には仕事に後ろ向きな人や、人のせいにする人など、様々な方がいます。そうすると、その人に相談したり、仕事を分担したりすることができません。

「手いっぱいだから、協力して欲しいな」と思っても、自分の同僚が頼りない人ばかりだったり、ミスをした時に全部こちらのせいにしてくるような人だったりすると、やはり安心して任せられません。「それであれば一人でやった方が早い。大変だけれど、後になってから痛い目に遭うよりはよほど良い」と、どんどん自分の仕事を抱え込むようになってしまうのです。別に抱え込みたくて抱え込んでいるのではなく、周りに任せられないのです。

組織として相乗効果を発揮するためには、同僚が全員、プロフェッショナルなビジネスパーソンとして信頼し合える状態であるのが理想です。具体的に言えば、指示待ち人間ではなく、自ら考えて行動する「自律型人材」であることが、協働意識を持つ前提条件となるのです。何事にも当事者意識を持ち、主体的に、自分の頭で考えていち早く行動する。そういう人でなければ、自分の大事な仕事、大事なお客様を「一緒にやってください」とは言えないわけです。

たとえ能力面で役割分担をしていたとしても、根底のマインドである主体性や当事者意識などが共有できる人でないと、本当の意味で協働意識は持てません。逆に言えば、能力や手段がいま備わっていなくても、一人ひとりが全員、自ら考えて行動する、当事者意識の高い「自律型人材」であれば、手段は後からついてくるのです。

だからこそ、まず組織の全員が「自ら考えて行動する自律型人材」になることが、組織として活動していく上での前提条件になるのです。当社が自律型人材の育成に力を入れて、コンサルティングや研修を提供している背景には、この考え方があります。

コミュニケーション

3つ目は、コミュニケーションです。これはイメージが湧きやすいと思いますが、組織の中で「しっかりと情報共有をする」ことです。それぞれの役割を持った人が、共通の目的に向かっていけるかどうかは、

  • いま自分がやっていることをきちんと周りの人に理解してもらい
  • 周りで起きていることや周りの人がやっていることを、きちんと自分でも理解して
  • ズレていないことをお互いに確認し合える状態

である必要があります。さらに言えば、様々な問題や課題に直面した時に、それを一人で成し遂げられなかったら、相談したり、一緒に知恵を絞ったりと、意思の疎通を図っていくことが非常に大切なのです。

しかし、いま職場で起きている問題の多くが、このコミュニケーションの問題です。情報共有ができていない。一人親方になってしまっている。それは忙しくて時間がないという問題もありますが、その必要性を感じていなかったり、優先度が下がったりしていることから起因しています。あるいは、必要性を感じていても話しかけにくい、何を話したら良いのか分からない、変に気を使いすぎてしまって、なかなか必要な情報が共有できないということもあるでしょう。

情報共有のネックになっているのが、相談しやすさ、話しかけやすさです。タイムパフォーマンス、つまり時間効率だけを考えていくと、周りのことに構っていられないので自分の仕事に集中することになります。「自分の仕事をいち早く終わらせて、無駄なことはしない」という雰囲気が強くなりすぎると、同僚に話しかけにくくなるのです。

情報共有が正常に行われるためには、やはり話しかけやすい雰囲気が必要です。そして、その基盤となっているのは、何と言っても挨拶と雑談なのです。当たり障りのない話すらできないような人に、真剣な仕事の話や相談ができるでしょうか。挨拶や雑談をベースにした、「大したことのない話ができる」という人間関係があるからこそ、そこにしっかりと報告・連絡・相談を載せていって、自分の言いたいことが意図通りに伝わるという状態になっていきます。そして、報告・連絡・相談がしっかりと機能している状態だからこそ、もっと踏み込んだ悩みの共有や建設的な対話ができるようになっていくのです。

こうしたコミュニケーションを図っていくためには段階があります。そして、共通の目的、協働意識、コミュニケーション、これらがしっかりと備わった中で、役割分担をして仕事を進めていくと、それが相乗効果を発揮するようになります。全員がバラバラに動くよりも、全員でチームを組んで仕事をしていった方が、より大きな成果が上がるようになっていく。この状態を「組織」と呼ぶのです。

まとめ | 強い組織を作るために

今回は、管理職なら知っておきたい個人・集団・組織の仕事の違いについてお話しいたしました。

やはり組織で仕事をしていると、様々な制約があり、不自由さがあり、人間関係も煩わしいものです。それでも大きな成果を得るためには、組織を編成していく必要があります。相乗効果を発揮して、みんなで同じ目的に向かっていくからこそ、一人ひとりの能力以上の成果を得ることができるのです。

そして、単なる集団が組織になるためには、共通目的、協働意識、コミュニケーションの3つが欠かせません。そのためにも、理念や価値観を共有して、みんなが同じ考え方をしているというマインド形成を図っていくこと。お互いが信頼できる人間になるために、一人ひとりが主体性と当事者意識を持った「自律型人材」として活躍できるような人材育成を行っていくこと。そして、当たり障りのない話から日常の業務連絡、悩みや課題を共有するといった深いレベルのコミュニケーションが取れる関係性を作っていくことです。

いずれも一朝一夕ではできません。日々コツコツと地道にチームを作っていくのです。それぞれ強みや能力が異なる方々が、強い信頼関係をベースに作っていったチームだからこそ、より大きな成果が得られます。そうしたチームになり、そういうチームであり続けられるように、今回ご説明したポイントから、ぜひ組織として万全な状態を目指していきましょう。

本日も最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

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