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マネジメント

2026.4.20

管理職が回答に困るZ世代新入社員の発言への対応法

Z世代の「とんでも発言」は実はチャンス

管理職の方々と話をすると、話題として必ずと言っていいほどよく挙がるのが、新入社員・若手社員への対応についてです。「それ、やる意味ありますか?」「定時過ぎたので帰ります」「それ、AIで自動化できませんか?」こうした発言をされると対応に困ってしまいますし、イラっとすることもあるでしょう。

「とにかくまずやってみてほしい」これが本音ではないでしょうか。昔なら「つべこべ言わずにやれ!」の一言で済んでいた話ですが、今の時代ではそのような対応はもちろん通用しません。

しかし、こうした発言は一見すると問題のように見えて、実はチャンスでもあります。彼らは決して仕事をしたくないわけでも、意地悪で反抗しているわけでもありません。彼らはとにかく合理的に仕事をしたいのです。

タイムパフォーマンスを重視する世代として、無駄を省きたい、失敗したくない、遠回りせずに最適解を追い求めたい、という意識が根底にあります。さらに、自分の市場価値や「どこに行っても通用する力」を真剣に考えているため、将来のキャリアにつながらないような雑用は避けたいという本音もあります。こうした背景があってこそ、そのような発言が生まれてくるのです。

逆に言えば、指示した仕事の意図・目的・合理性をきちんと伝えれば、彼らはちゃんと動いてくれるということでもあります。「困ったな」と頭ごなしに否定するのではなく、「どう伝えれば動いてくれるか」を考えることこそ、管理職の腕の見せどころと言えるでしょう。

以下、こうした発言への具体的な対応原則と、実際の場面ごとのセリフ例を解説していきます。

対応の3つの原則

具体的な対応を考える前に、まず基本原則を押さえておきましょう。

原則1:まず肯定する

最初から否定しないことが重要です。否定した時点で相手の信頼が下がり、反発や拒絶を招いてしまいます。まずは相手の言ったことを一旦受け止めることです。

「それやる意味ありますか?」と言われたら、「さすが本質をわかっているね」と認めた上で、「この仕事の目的はこういうことだよ」ときちんと説明します。

そして「今回は期限が優先だから、まずはこの方法で進めてほしい」と明確に指示します。相手の考えは認めつつ、行動は指示するというスタンスです。

原則2:状況と優先順位を明確にする

なぜ今それをやるのかを説明することが必要です。「定時なので帰ります」と言われた場合、頭ごなしに否定するのはよくありません。「基本的にはそれでいい。ただ、この仕事は今日が期限だからあと30分だけやってくれないか」と理由をきちんと説明すれば、動いてもらえます。

理由もなく残業を求められれば誰でも嫌がります。しかし「今やらなければならない理由」が明確であれば、それに応えてくれる方がほとんどです。人は理由があれば動くものですから、その理由を丁寧に説明することが大切です。

原則3:改善案は別途活かす

「AIで自動化できませんか?」と言われた場合、その提案自体はいったん肯定します。「そうだね、自動化できたらいいね」と同意した上で、「ただ今は納期が迫っているから、まずは従来のやり方で進めよう。AI自動化に向けた改善案は、別途まとめて提案してくれると助かる」と切り分けます。

目の前の仕事は目の前の仕事として片付けてもらいつつ、改善提案そのものは否定せず、具体的な形で考えてもらうよう委ねるのです。

場面別・具体的な対応セリフ

上記の3原則を踏まえて、実際によくある発言への具体的な対応を見ていきましょう。

「それやる意味ありますか?目的から再設計した方が良くないですか?」

まず発言を受け止めた上で、状況と優先順位を示します。「目的に立ち返るのは素晴らしい視点だね。目的はこういうことだよ。ただ今は期限が優先される段階だから、まずは今のやり方で仕上げよう。その後どう改善するかは、ぜひ一緒に考えよう」と伝えます。指摘自体は認めつつ、今は最適化よりも形にすることを優先すると明確に伝えることがポイントです。

「定時過ぎたので帰ります」

「基本的には定時で帰っていい。自分もそうしたいと思っている。ただ、この仕事は今日が期限だから、あと30分だけやって一気に仕上げてしまおう。片付いたら気持ちよく帰れるし、明日の負担も減るから」と伝えます。定時退社の原則は認めつつ、今回は例外として納期優先であることを理由とともに示すことが大切です。

「まずWHYを教えてください」

目的を持って仕事をすることは大切なことですから、「目的はこういうことだよ」とわかりやすく説明した上で、「だから、そのためにもまずこれをやってください」と具体的な行動を指示します。目的を簡潔に示してから仕事を依頼するだけで十分です。

「それAIで自動化できませんか?」

「いいね、自動化できる可能性はあるね。ただ今は急ぎだから、まずは従来のやり方でひとまず形にしてしまおう。その上で、ゆくゆくAI化するためにプロセスをどう見直せばいいか、改善案をまとめて提案してほしい」と返します。否定せず、目の前の仕事とAI自動化の提案を切り分けることがポイントです。

「その指示、前回と矛盾しています」

相手が一貫性を求めているのであれば、まず素直に非を認めます。「ごめん、指摘ありがとう。その通りだね。ただ今回は優先度が変わったから、まずこちらを優先で進めてほしい。混乱させて申し訳なかった。次からもう少し整理してから伝えるようにするね」と伝えます。管理職も完璧ではありませんから、間違いがあれば素直に認めることで、かえって信頼が高まります。その上で今どこを優先すべきかを明確に指示しましょう。

「頑張るって、具体的にどういうアウトプットですか?」

「頑張る」という表現は確かに抽象的です。「そうだね、具体的には(期限)までに(成果水準)の状態になっていることがゴールかな。まずはそこを目指して進めてくれ」と、期限と完成の状態を明示することで納得してもらえます。

「感覚ではなくデータで議論したいです」

ビジネスにおいて意見より事実、主観より客観を重視するという姿勢はある意味優秀な証です。ただし、データが揃っていない場面はビジネスでは日常的にあります。

「データで議論するのがベストだよね。ただ今はまだデータが揃っていないから、まずは仮説ベースで進めよう。仮説に基づいて動きながら、データを取って検証していこう」と伝えます。データ起点で考えたいという姿勢は肯定しつつ、スピードを優先して仮説で動くことを示せばよいのです。

Z世代の発言を「自律型人材育成」のチャンスに変える

今回ご紹介した対応の原則は、「まず肯定する」「状況と優先順位を明確にする」「改善案は別途活かす」の3つです。

Z世代の若手社員は、やる気がないわけでも反抗したいわけでもありません。合理的に仕事をしたいと思っているだけです。その意味では、組織・会社側の方にも不完全な点があることも当然あり得ます。その点を指摘してもらい、改善につなげるプロセスの一環として捉えれば、頭ごなしに否定したり、苛立ったりする必要はないはずです。

もちろん、正論だけでは物事が動かない場面もあります。すべての状況が整うまで待っていてはビジネスチャンスを逃してしまいます。時には行動スピードを優先したり、やりながら検証したりすることも必要です。

問題は、その点を曖昧にごまかしたまま進めることで相手に不信感を持たれてしまうことです。理由を明確に説明し、もし管理職側に非や不完全な点があればそれを認めた上で、「では一緒に完成度を上げていこう」と巻き込んでいくことが重要です。

彼らが自ら発言しているということは、自ら考えている証拠でもあります。言われたことをこなすだけではなく、自ら考えて行動できる自律型人材に育てるための後押しとして、こうした発言を活用していただければ幸いです。

本日も最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

この記事を書いた人

小松 茂樹(こまつ しげき)

中小企業診断士・キャリアコンサルタント。株式会社ビジネスキャリア・コンサルティング代表取締役社長。「デキる人を増やして社会をもっと快適にする」を理念に、人事・組織コンサルタントや研修講師として活動。理論的な背景と情熱的な語り口を交えた講演スタイルに定評があり、セミナーや研修で高い支持を得ている。登壇実績 862件、1,015日間(のべ受講者数17,334名)*2025年12月末現在

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