人間関係は「鏡の法則」〜人間関係を良好にするポイント〜

最近、外食したり、喫茶店を利用していて気になることですが…

店員さんに対してタメ口を聞いたり、横柄な態度、偉そうな態度を取る人をたびたび見かけます。比較的、年配の方に多いです。若い人にもいますが。以前からそういう人々はいましたが、この仕事をするようになってから余計に目につくようになった気がします。というのも、そういう方々を見かけると「結果的に自分が損をするのになぁ」とつい思ってしまうのです。本人からしたら、余計なお世話でしょうが(笑)

自分がしたことは、自分に返ってくる

学生時代、私は居酒屋でアルバイトをしていました。大学生のアルバイトである私に対して、丁寧に接してくれたお客様もいれば、横柄に接してきたお客様もいます。丁寧に接してくれた方には、すすんで良いサービスをしたいと思うものです。一人の人間として、ちゃんと認めてもらっている感じがするからです。いち早く飲み物や食べ物をお届けしたいと思うのはもちろん、マメに気にかけて、呼ばれる前に注文を取りに行ったり、グラスを下げたり、灰皿を交換したりしたいと思うものです。

逆に、横柄な人、偉そうな人に対しては、「なるべく関わりたくない」と思ってしまいます。必然的にサービスは悪くなります。あまり近寄らないようにしたいと思っているからです。すると、お客様は追加注文をしたくても店員が見当たらず、大声を張り上げなければならならくなります。店員側からすれば、大声で呼ばれると余計にイヤな気分になります。完全に悪循環です。とにかく関わらないようにしようと思っているので、グラスやお皿も席に溜まりっぱなしになってしまいます。

もちろん、お仕事ですので、どんなお客様であっても公平に良いサービスを提供しなければならないのは前提ではありますが、そうは言っても、そこは血の通った一人の人間。しかも、まだ大学生です。心情に左右されるのは否めません。お客様側からすれば「サービスが悪い」と思うかもしれませんが、見方を変えれば、悪いのはむしろ自分の態度です。店員に敬意を示すお客様には敬意あるサービスが提供され、店員に残念な態度を示すお客様には残念なサービスが返ってきます。自分が良い扱いをされたければ、相手に同じように接すること。非常にシンプルな法則です。それが人間関係における自然の摂理ではないかと思います。

真の成功者には、謙虚な方、姿勢の低い方が多いと言われています。そういう人格であるからこそ周囲に人が寄ってきて、結果的に自分も潤うのかもしれません。

人間関係は「鏡の法則」である

一時期話題になった本ですが、『鏡の法則』(著:野口嘉則・総合法令出版)というものがあります。相手の態度や反応は、自分の態度や気持ちを映し出したものである、というシンプルな法則です。別の言葉で言うと「因果応報の法則」というのもこれにあたります。自分の心のあり方が、相手という鏡を通じて、自分に返ってくるのです。

相手が何か気に入らない態度をとってきたとしたら、それは自分の態度に問題がある証拠。相手が気持ちの良い態度をとってくれたら、自分が気持ちの良い態度で相手に接しているという証拠だということです。これは心理学やコミュニケーションの理論でも用いられる考え方です。ミラーリングや傾聴といったコミュニケーションのテクニックも、その背景となっているのは「自分の示す態度が相手に影響を与え、その結果が相手から自分に返ってくる」とする「自分→相手→自分」の考え方です。

  • 自分に丁寧に接して欲しいと思うならば、まず相手に丁寧に接すること
  • 自分を大事に思って欲しいならば、まず相手を大事にすること
  • 自分に誠実にあって欲しいと思うならば、まず相手に対して誠実であること

すべては「まず自分」からはじまります。非常にシンプルな考え方です。もちろん、私自身もコミュニケーションの問題を抱えることはあります。しかし、鏡の法則に基づいて、まずは自分の態度を改めていけば、やがて状況は改善されていきます。むしろ、自分の態度を変える以外に人間関係を良好にする術はないとも思います。

問題を自分の外側に求めないことです。自分以外のものはすべてコントロール不能領域です。コントロールできるものは自分自身しかないという鉄則に照らし合わせれば、自分が取るべき態度や行動は自ずと決まります。相手は変えられませんから。

鏡の法則により、感謝も自分に返ってくる

私は、飲食店を出る際には「ごちそうさまでした」ではなく「ありがとうございました」と言うように心がけています。店員さんたちにとっても「ありがとう」は意外なようでして、ほぼ必ずこちらを向いてくれます。それも、ほぼ100%と言っていいほど笑顔です。こちらが「ありがとう」と言うことで、相手を通して、結果的にまた自分に「ありがとう」が返ってくる。これが鏡の法則です。

「ごちそうさま」が悪いわけではありません。しかし、「ありがとう」はそれを上回る最強のプラス言葉です。提供された商品やサービスそのものに対する感謝はもちろん、その時間を過ごせたことに対する感謝、相手がその仕事をしてくれていることに対する感謝…など、いろいろな意味がそこに込められています。

冒頭で、横柄な態度のお客様の話をしましたが、こういう方々で店員に感謝を告げている人を見たことがありません。帰り際に「お勘定!」とか「お釣り!」とか叫んでいます。何も言わずにお金だけ払って立ち去る人もよく見かけます。こういう人が、職場や家庭で良い人生を送っているとはとても思えません。

感謝は連鎖します。感謝に限らず、正負関係なくあらゆる感情は連鎖します。どうせなら、良い感情に満たされた世界で生きていたいものです。まず自分から。このシンプルな法則に根ざして相手と接することが、人間関係の原則であり、そして極意なのではないかと思います。

「鏡の法則」を活かして、人間関係を良好にする

周囲の人々との良好な人間関係を築くためには、自発的に他人に働きかけることが必要です。自分から何かをすることなく、周囲の人が勝手に自分に対して好意的になってくれることなどありえません。とはいえ、何か大層なことをしなければならないというわけではありません。不自然な行動は長続きせず、かえって周囲との関係を悪化させかねません。

日々の日常的なコミュニケーションの中で、ちょっとした心がけをするだけで、鏡の法則は有効に作用し始めます。具体的には、下記のような行動からはじめてみるのが良いでしょう。

(1)感謝を伝える

上述の通り、日々の生活の中で周囲の人々への感謝を伝えるのは、最もシンプルで簡単に始められる自発的な行動です。単に「ありがとう」と言うだけでなく、相手の具体的な行為や発言に触れた上で謝意を伝えるのが効果的です。

漠然と感謝を伝えても、相手は何に感謝されているのかわからないし、場合によっては「ありがとうって言えばいいと思っているのでは」とかえって印象を下げてしまうこともありえます。例えば、同僚が手を貸してくれた時には「〇〇をしてくれてありがとう。本当に助かったよ。」と具体的に謝意を伝えましょう。

(2)褒める

相手のことを褒めるのも、鏡の法則に基づいて自分から始められる自発的な行動です。相手を褒め、承認することによって相手の自己肯定感を高めることができ、相手もまた自分を褒めてくれることで、自己肯定感の高い人同士の良好な人間関係を築くことができます。

とはいえ、褒めるのは感謝を伝える以上にハードルが高いと感じる方も少なくないかもしれません。日頃からあまり人を褒めていないと、何を褒めたら良いのかわからず迷いも出てきますし、相手にわざとらしい印象を与えてしまこともありえます。

また、何でも褒めれば良いというものでもありません。褒められても素直に喜べないこともあります。結果ではなくプロセスを褒めること、持って生まれたものではなく努力によって後天的に身につけたものを褒めることが有効です。

結果には偶然もありますが、プロセスは本人の努力によるものです。容姿は先天的なものですが、知識や技術は基本的に後天的に身につけたものと考えられます。人は「自分の力」によって成し遂げたことを認められたいものです。

(3)相手の話を聴く

自分から何かを「言う」だけが自発的な行動ではありません。相手の話に耳を傾けて、しっかりと「聴く」という行為もまた、相手に示す行動です。単に音として耳から「聞く」のではなく、意識と身体を相手に集中させ、相手の言うことを理解したいという姿勢で話を「聴く」ことで、相手の存在を尊重し、認めることにつながります。

これが鏡の法則となって、相手にも自分を丁寧に扱ってもらえるようになり、自分の話も相手に「聴いてもらえる」ようになるのです。自分の話をロクに聴いてくれない人の話を聴こうとは思いません。相手の存在を大切にし、それを態度で示しながら話を聴くことが有効です。

うなづき、あいずちなどのリアクションを返し、時に質問を投げかけるなどすることで、相手はますます自分を開示するようになり、より良好な人間関係を築けるようになるでしょう。

本日も最後まで読んでいただいてありがとうございました。

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投稿者プロフィール

小松 茂樹
中小企業診断士・キャリアコンサルタント。株式会社ビジネスキャリア・コンサルティング代表取締役。人材派遣会社、健康食品会社を経て、経営コンサルタントに転身。営業力強化・業務改善・生産性向上・ビジネススキル向上など幅広い範囲で、業績向上や人材育成の支援を行っている。理論的な背景と情熱的な語り口を交えた講演スタイルに定評があり、セミナーや研修で高い支持を得ている。

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