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2016.8.22
先日、人事職向けのセミナーを開催しました。テーマは「新人・若手のOJT」。
人材不足を課題としている組織はとても多いです。「優秀な人材をいかに確保して採用活動を行うか」というテーマと並んで、「採用した人をいかに短期間で戦力化するか」というのも、多くの企業・団体における重要なテーマの一つではないでしょうか。
セミナーにご参加いただいた方々から、実に多くの意見が寄せられ、私自身もいろいろな気づきや刺激を得ました。
そして、最終的に思ったのは、やはり「ビジョンの明確さ」が何よりも大切だということでした。
OJTの運用の仕組みも重要です。誰を指導担当にあてるかも重要です。人事部門と事業部門の連携を密にすることも重要です。
しかし最も重要なのは、「どういう人物像になりたいのか」というイメージを共有することに尽きるのではないかと思います。
本人と指導担当はもちろん、所属する職場のすべての人、さらには経営層までも含めた組織全体が、
というイメージを共有し、本人と周囲の双方がそこに向かっていくことこそが、人材育成の根幹であり、本質ではないかと考えます。
それをどのように実現するかという手法の問題は、組織によって千差万別です。事情も、環境も、資源、文化もそれぞれ異なる様々な組織に、画一的に通用する万能薬のような方法は、残念ながらありません。
ただし、あらゆる組織に共通して言えるのは、
が、欠かせないということです。
OJTの具体的な方法論としては、育成の到達目標、期限、行動計画などをあらかじめ計画として描き、業務遂行と1対1の面談を組み合わせながら、描いた軌道に載せていくことがセオリーとして挙げられることが多いです。
とは言え、それは「あるべき人物像」への到達ルートを、基本的な問題解決の手法を用いて実践しようとする試みの、単なる言い換えに過ぎません。やっていること自体が、特別だというわけではないのです。
物事の本質はとてもシンプルです。最も大切であり、かつ容易ではないのが、この「あるべき人物像を描く」ということなのです。
一見、簡単なことのように見えますが、自分たちの組織として望ましい人物像を、思考・人格・スキルの面から、誰が読んでもイメージを統一できるように明確にするのは、必ずしも容易なことではありません。
しかし、これができないことには、どれだけ制度や手法を凝らしたとしても、なかなか思うような育成が進まないのだと思います。
明確さは、それ自体が「力」です。
人材育成に限らずあらゆる物事において、それが実現できるかできないかは、実現後の姿をどれだけ精緻に、明確に思い描くことができるかどうかによって成否が決まります。
不明確なゴールに対し、あいまいな計画で取り組んだ物事は、実現可能性が低くなります。
明確なゴールに、具体的な計画で取り組んだ物事は、実現可能性が高くなるのです。
何事においても、ことの本質は変わりません。「明確に描く」ということ。そこに尽きるのだと思います。
本日も最後まで読んでいただき、ありがとうございました。