社会人として真っ先に身につけたい「言語化力」

先月末から、企業研修で国内各地を回る日々が続いています。

4~5月は新入社員研修の案件を多くいただけるため、年内でも講師業のお仕事が最も集中する時期です。

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複数の会社で新入社員研修を担当させていただいておりますが、将来ある若者が社会人としてのスタートをきる重要な場面に立ち会えるのは、何とも光栄で、ありがたい仕事だなと思います。

新入社員研修では、仕事の進め方、マナー、コミュニケーションなど、社会人としての基本的な知識やスキルをお伝えしているのですが、講座を進める中でひとつ気づいたことがあります。

PDCAサイクルやホウレンソウ(報告・連絡・相談)、敬語の使い方など、ビジネスの基本的なことをするためには、さらにそのベースとなる能力が欠かせないということです。

 

それは、

自分の考えていることを言葉にする能力

すなわち、

言語化力

です。

 

「言葉にできる」こと自体が能力である

研修では、受講生の方々にいろいろな場面で発言を求めます。

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講義を進めながら質問を投げかけたり、ケース事例に基づく課題をグループワークで取り組んでいただいたり、さらにはその結果を全体に向けて発表していただいたりします。

 

そうした中で、皆さん口を揃えておっしゃるのが、

自分が思っていることを、うまく伝えられない

ということです。

 

真面目に課題に取り組んでいます。自分なりの意見や考えがないわけではありません。

しかし、それをうまく言葉にして表現することができない。

その苦しさと向かい合っている様を、何度も目にします。

 

この時に思ったのが、

言葉にできるということ自体が、基本的で、重要な能力である

ということです。

 

どれだけ、ホウレンソウやコミュニケーションの重要性を頭で理解したとしても、自分の考えを言葉で表現できなければ、それらを実際に行うことができません。

社会人として、何よりも優先して身につけなければならないのは、自分の頭にあるものを「言語化」する力なのです。

 

「言語化力」を高める

言語化力を身につけるには、インプットとアウトプットが必要です。

インプットの例は、本を読む、話の上手な方の話を聴くなど、「どのように言葉で表現されるのか」を知ることです。

アウトプットの例は、日記や日誌など自分の行ったこと、思ったことを言葉にして書き出すことです。

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意図的にインプットをしなければ、自分の語彙が増えません。

アウトプットを訓練しなければ、たとえ言葉を知っていたとしても、それを自分のものとして使えるようにはなりません。

両方が必要です。

 

新入社員の方々と接する中で、それを強く痛感した私は、今年の新入社員や若手向けの研修の最後には必ず、

本を読もう

日記・日誌をつけよう

と伝えるようになりました。

 

これが、社会人としての基礎中の基礎力を高めることになると、私は強く思います。

 

ベテランにはより高い「言語化力」が求められる

異なる複数の人間との関わりが欠かせない現代ビジネスを行う上で、「言語化力」はすべての仕事を行うベースとなる能力です。

この能力が高ければ高いほど、多くの人の力を結集させたり、引き出せたりすることができて、よりスケールの大きな仕事ができるようになります。

 

そして、これは新入社員に限った話ではありません。

キャリアを積めば積むほど、より多様な方々との協働が求められ、より複雑な人間関係の中で仕事を円滑に進めることが求められます。

ステージがあがるほど、より高い「言語化力」が求められます。

これは必ずしも難しい言葉を使えるようになるということではなく、その場面や状況に対して、より適切な言葉を選び抜く能力が必要になるということです。

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そのためには、

  • 自分の言わんとしていることをより適切に描写する言葉のバリエーションをどれだけ知っているか
  • どれだけ豊富なパターンの表現を、実際に使えるようになっているか

が問われます。

 

やはり、インプットとアウトプットの積み重ねで、自らの「言語化力」を磨き続けていく必要があるのです。

 

言葉を磨き、自分の思考・感情・意思をより適切に伝えられるようになる。

それが、あらゆる仕事を円滑に進める上での、重要な「基礎力」になるのだと思います。

 

本日も最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

  

投稿者プロフィール

小松 茂樹
中小企業診断士・キャリアコンサルタント。株式会社ビジネスキャリア・コンサルティング代表取締役。人材派遣会社、健康食品会社を経て、経営コンサルタントに転身。営業力強化・業務改善・生産性向上・ビジネススキル向上など幅広い範囲で、業績向上や人材育成の支援を行っている。理論的な背景と情熱的な語り口を交えた講演スタイルに定評があり、セミナーや研修で高い支持を得ている。

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