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人材育成

2025.4.27

部下を5月病にさせないために、4月中にやっておくべきこと

5月病とは「連休明けに突然訪れる“心の落とし穴”

4月から張り切って業務に取り組んでいた部下が、ゴールデンウィーク明けに突然休みがちになったり、退職を申し出たりする―そんな経験はありませんか。 これは、決して珍しい話ではありません。新年度という環境の変化のなかで、張りつめた緊張が続いた反動として起こるケースは少なくないのです。

いわゆる「5月病」とは、環境の変化によるストレスや緊張がピークを迎え、心身の不調が表面化する状態を指します。正式な病名ではありませんが、やる気の低下や睡眠障害、食欲不振、気分の落ち込みなど、さまざまな症状が見られます。

大切なのは、この不調がゴールデンウィーク中に何かあったから起きるのではない、ということです。実際には、4月中からの無理や緊張の積み重ねが原因となって、連休で糸が切れてしまうケースがほとんどです。

つまり、5月病の“種”はすでに4月中にまかれているということ。連休明けに「どうしたの?」と慌てる前に、4月中に手を打っておくことが、部下を守るために欠かせない対策になります。

話しかけやすい関係性をつくる

部下が「話しかけやすい」と感じられる関係性は、5月病を予防する上で何よりも重要な土台となります。特別なことをしなくても、日々のちょっとした言葉がけで信頼関係は築かれていくものです。


たとえば、「おはようございます」に「昨日の発表、よかったね」や「今日は少し肌寒いね」など、一言添えるだけでも印象は大きく変わります。こうした何気ない会話が、雑談へと自然に発展し、部下が緊張せずに本音を話しやすい空気をつくります。

面談のように構える必要はありません。「仕事には慣れてきた?」「通勤、大変じゃない?」といった軽い声かけでも、部下にとっては「自分のことを気にかけてもらえている」という安心感につながります。このような雑談の積み重ねがあってこそ、部下は困ったときに「相談してみよう」と思えるようになります。


反対に、普段から無言や業務連絡だけの関係では、いざという時に「話しかけづらい」と感じてしまい、問題の発見が遅れてしまう可能性もあります。

“ちゃんと見ているよ”を示す承認とフィードバック

部下との信頼関係を深めるには、「あなたの行動をちゃんと見ているよ」というメッセージを、日頃から明確に伝えることが欠かせません。そのために有効なのが、承認とフィードバックです。

承認とは、部下の行動や成果を、事実ベースで言葉にして返すことです。「この資料、よくまとまっていたね」「進行、スムーズだったよ」など、特別に褒めちぎる必要はありません。
むしろ大げさな言葉より、自然で誠実な声かけの方が、相手には響きます。

「見られている」「評価されている」という実感は、部下の安心感とやる気を引き出します。逆に、頑張っても何も言われなければ、「意味がない」「期待されていない」と感じ、意欲は削がれてしまいます。

さらに、承認に加えて「改善のヒント」を与えるのがフィードバックです。たとえば、「この部分はとても良かったけど、もう少しこうするとさらに良くなるね」と伝えることで、部下は自信を持ちつつも次の成長を目指せます。

フィードバックの目的は、単なる指摘ではなく“未来への提案”。「成長を期待されている」と感じられることで、部下は前向きな気持ちを保ちやすくなります。

業務の目的を伝え、自分の仕事に意味を持たせる 

どんなに真面目な部下でも、「自分のやっていることが何の役に立っているのか」がわからないままでは、やる気を持続させることは難しくなります。仕事の“意味”が見えないと、次第に「なんのために頑張っているんだろう…」という気持ちが強まり、心のエネルギーは少しずつ削られていくのです。

特に新入社員や中途社員は、会社やチームの全体像がまだ見えていない状態です。そんなときこそ、4月中に「なぜこの仕事をするのか」「この業務がどう会社や社会に貢献しているのか」といった背景を丁寧に伝えてあげることが大切です。

たとえば、「この作業が滞ると、営業チームが動けなくなってしまうんだよ」「このレポートは、お客様との信頼関係を築く大事な材料なんだ」など、業務の意義やつながりを具体的に示すことで、部下は自分の役割に誇りと納得感を持つことができます。

「ただ作業をこなす」ではなく、「意味ある仕事に取り組んでいる」と感じられれば、多少の負荷があっても乗り越える力が湧いてくるものです。その感覚があるかないかで、5月以降のコンディションに大きな差が出てきます。

 “あなたに期待している”を言語化する

人は「期待されている」と感じることで、驚くほど力を発揮するものです。一方で、「自分は何を求められているんだろう」と迷ったままでは、努力の方向性がわからず、空回りしてしまうこともあります。

だからこそ、4月のうちに、部下一人ひとりに対して「あなたに期待していること」を具体的に伝えておくことが重要です。

「プレゼンのまとめ方がうまいから、来月の報告会も任せたいと思っているよ」
「最近の報連相が的確で助かっている。チームの潤滑油になってくれているね」


といった言葉がけは、部下にとって大きなモチベーションになります。

また、入社後の数週間を見てきた中で、「ここはすでに力になっている」「ここにはさらに伸びしろがある」という観点からフィードバックを伝えるのも効果的です。それによって、部下は自分の成長に向けた明確な方向性を描けるようになります。

目の前の仕事だけでなく、「少し先の未来を見せてあげる」ことも大切です。5月以降に挑戦してほしいことや、期待している役割を共有することで、部下は目標に向かって前向きな気持ちで日々の業務に取り組むことができます。

【保存版】5月病を防ぐチェックリスト

ここまでご紹介した内容を踏まえて、4月中に意識しておきたい具体的なポイントをチェックリスト 形式でまとめました。ぜひ職場で活用してみてください。

コミュニケーション編

  • 「おはよう」に一言プラスして声をかけている
  • 雑談や日常会話が自然と生まれる雰囲気がある
  • 定期的に1on1の時間を設けている(形式ばらなくてもOK)
  • 相談しやすい“空気感”が職場にあるかどうか意識している

観察・気づき編

  • 最近、部下の様子に変化はないか、よく観察している
  • 出勤時間や会話の量、昼休みの過ごし方などの“違和感”をチェックしている
  • 疲れが見える部下に「大丈夫?」と一言かけている
  • 自分では気づきにくい部下の変化を、他のメンバーにも共有してもらっている

役割・期待編

  • 業務の目的や背景を具体的に説明できている
  • 部下の仕事が、誰のどんな役に立っているのかを伝えている
  • 「すでに助かっている点」と「今後期待する点」を言語化している
  • 5月以降のビジョンを一緒に描けるような対話を行っている

その他の行動

  • 「承認」と「フィードバック」を意識してバランスよく伝えている
  • 自分の声かけや関わり方が、部下の安心材料になっているかを定期的に見直している
  • 「完璧じゃなくてもいいから、相談してね」と伝えている

小さな気づきと行動の積み重ねが、5月病を遠ざける最善の方法です。
できることから一つずつ、無理のない形で実践していきましょう。

職場を守るリーダーの余裕〜部下をケアするには、まず自分自身も整える〜

5月病は、部下だけの話ではありません。実は、相談される立場である上司や先輩自身も、春の環境変化によって知らず知らずのうちに疲れを溜め込んでいることがあります。

人の話を聞く、励ます、導くというのは、想像以上にエネルギーの要る行為です。そのためには、リーダー自身が心の余裕を持っていなければなりません。余裕がないと、せっかく部下が相談してきても、つい感情的になったり、適切な対応ができなくなったりしてしまうこともあります。

日々のスケジュールの中に、意識的に“自分を整える時間”を組み込むこと。忙しさに流されるのではなく、深呼吸をしたり、誰かに話を聞いてもらったり、体を動かす時間を持つなど、リーダー自身のメンテナンスも大切な仕事の一つです。

また、同じ立場の仲間同士での情報交換や「最近どう?」という声の掛け合いも有効です。自分自身が安心して働ける環境であってこそ、部下に対しても温かく、柔軟な姿勢で接することができます。


実際、職場全体の空気感は、上司のコンディションに大きく左右されるものです。まずは自分自身の心と体を整えることが、チーム全体の健やかさを保つ第一歩になります。

まとめ:5月病は4月に予防できる

5月病は突然やってくるものではありません。その“予兆”は、実は4月中の過ごし方にあらわれています。張りつめていた緊張が連休で一気にゆるむことで、心と体が動かなくなってしまう――そんな部下の変化を、ゴールデンウィーク明けに初めて知る…というのは、できれば避けたい状況です。

だからこそ、4月は“予防月間”として捉えるべきタイミングです。心理的安全性のある職場づくり、業務の意義や期待の明示、日頃の観察と声かけ――これらはすべて、特別な仕組みではなく、日常の延長線上にある行動ばかりです。上司や先輩の「ちょっと気にかける」「少し声をかける」そんな一言が、部下の安心感を育て、モチベーションを支える強力な土台になります。

5月以降の活躍を引き出すのは、派手な仕組みではなく、地道なコミュニケーションの積み重ねなのです。部下が「ここで働いていて良かった」と思える環境は、日々の小さな配慮から生まれます。


ぜひ、今回の内容を参考にしながら、今できる行動を少しずつ取り入れてみてください。5月を乗り越える力は、すでに4月のあなたの言動の中にあります。

本日も最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

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