業務を効率化する3つの観点

働き方改革が喫緊の課題に

今月に入り、業務効率化や時間管理など「働き方改革」関連のテーマで登壇する機会が増えてきました。

日本をめぐる情勢が変化し、衆議院選挙の争点が安全保障や憲法改正などに向けられるようになったため、それまで重要政策の「一丁目一番地」として掲げていたはずの「働き方改革」について、まるで耳にすることがなくなってしまいましたが、少子高齢化や技術の進歩による社会の変化は依然として進み続けており、働き方改革は今後も不可避の重要課題として取り組むべき事項ではあります。

先月は首都圏の仕事が多めでしたが、先週は鹿児島、今週は福岡と、今月前半は何かと九州にご縁をいただいております。来週は仙台でも同様のテーマでお話をします。仕事の進め方、生活のあり方の改善は、地域を問わず喫緊の課題になっているのだと、改めて思います。

効率化する業務の3分類

一言で「業務を効率化する」と言っても、業務の種類によってアプローチは異なります。

今回は、業務を大きく

  1. 作業系業務
  2. 思考系業務
  3. 会議系業務

の3つに分けて、効率化の進め方についてご紹介します。

1.作業系業務の効率化

データを入力する、書類を作成する、資料の内容をチェックする、物品を製造する、運搬や保管をする・・・など、手を動かすことを主として行う業務です。業務効率化の対象として取り上げられやすいのは、このタイプの業務形態だと言えます。

作業系業務を効率化するためには、作業の工程(プロセス)に着目します。その書類やデータは、誰の手を経由するのか、そこでどのような処理が行われるのか。それらを整理し、全体的な視点から見ることで、工程の中にムリ・ムダ・ムラがないかを探ります。

作業の工程を把握する上では、工程分析(プロセスチャート)などの技法を用いて、ビジュアルにすることが有効です。全体像を図解することによって、作業の一つひとつの場面を思い浮かべるだけでは気づかない非効率な点に気づくことができます。

作業工程にムリ・ムダ・ムラを見出したら、業務改善の4原則(ECRS原則)に基づいて、改善策を検討します。

  • Eliminate(排除)なくせないか?
  • Combine(結合)一緒にできないか?
  • Rearrange(交換)順序変更できないか?
  • Simplify(簡素化)単純化できないか?

作業工程の一部(あるいは全部)を変更することによって、より少ない労力で、目的を果たす成果を得ることができないかを考える。これが、作業系業務効率化のアプローチです。

2.思考系業務の効率化

企画のアイデアを出す、概念を言葉や図にする、物事を計画する・・・など、頭の中で行う活動が主となる業務です。思考系業務を効率化するためには、より少ない時間で的確な成果を上げるための「フレーム化」が有効です。

何かを考える時に、何もないところからゼロベースで考えようとすると、とても時間がかかります。

白紙の状態から積上げで考えるのではなく、ゴールから考えて必要な要素を埋めていく逆算の思考の方が、短い時間で質の高い成果を上げることができます。考えた結果、どのような形になればいいのか。ゴールのイメージを最初に描くことが大切です。

例えば、このブログを書く時、最初の一行目から書き始めてしまうと、一回分を書くだけで数時間かかってしまいます。文章を書きながら全体像を描いてくので、構成のバランスが偏ってしまったり、全体の整合性がとれなくなってしまうこともあります。

そのため、文章を書き始める前に、まずは全体のストーリー構成を概略で描きます。

話の構成、段落ごとの主要なメッセージなどを考えて、配置し、それに肉付けをするように文章を加えていくのです。その概略設計を「フレーム(型)」として定型化(テンプレート化)することで、次回以降に同じようなことを考えようとした時の、切り口や順序を定めておくことができます。

これにより、より少ない時間で、最短距離で成果物をまとめることが可能になるのです。これが、思考系業務効率化の考え方です。

3.会議系業務の効率化

会議やミーティングにおいて重要なことは、「それによって何を得ようとしているのか」という目的を明確にすることです。

会議の目的は、

  • 判断や意思決定
  • 合意の形成
  • 計画策定(スケジュールや役割分担)
  • アイデア出し
  • 情報共有

の大きく5つです。

終了後に、この中のどれが、どれくらいの水準で果たされていれば良いのか。それが明らかにできない会議からは、時間を注いでいるのに見合う価値を受け取ることは難しいと言えるでしょう。

その上で、実際にはじめる前に、会議のシナリオを描いておくことが効果的です。

  • 所要時間はどれくらいか
  • どういう意見が出ることが想定されるのか
  • 何が決まれば、その議題は終了なのか

会議効率化の多くは、計画作りや根回しなど「事前の準備」が決め手になります。

  • 「何のためにやっているのか」
  • 「どうなれば達成(成功)なのか」
  • 「当日スムーズにいくために、あらかじめ提供しておく情報はないか」

これらの認識が参加者全員に共有されていれば、話が脱線したり、振り出しへ戻ってしまうなどの非効率を防止し、会議の進行をよりスムーズにすることができます。

ゴールを明確にすることが業務効率化の第一歩

業務効率化のアプローチは、業務の形態によって異なります。

しかし、いずれにも共通して言えるのは、業務の目的を明確にし、得たい結果のイメージを描き、そこに至るまでのプロセスの全体像を把握することが、最初の一歩です。

そして、目的を完遂するための最短経路を描き、余分な工程を省くようにすることで、より少ない労力で、着実な成果を上げることが可能になるのです。

一つひとつの業務の地道な改善・効率化を積み上げていくことで、長時間労働の是正やワークライフバランス実現などの「働き方改革」が実現に向かうのだと、私は思います。

本日も最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

神戸・大阪で人材育成・社員教育をお考えの経営者、管理職、人事担当者の方々。下記よりお気軽にお問い合わせください。(全国対応・オンライン対応も可能です)

  

投稿者プロフィール

小松 茂樹
中小企業診断士・キャリアコンサルタント。株式会社ビジネスキャリア・コンサルティング代表取締役。人材派遣会社、健康食品会社を経て、経営コンサルタントに転身。営業力強化・業務改善・生産性向上・ビジネススキル向上など幅広い範囲で、業績向上や人材育成の支援を行っている。理論的な背景と情熱的な語り口を交えた講演スタイルに定評があり、セミナーや研修で高い支持を得ている。

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