​目標は大胆に、計画は緻密に(後編)

前回、目標を設定するにあたって心がけるべきポイントとして、

1.高い目標を設定する
2.できることではなく、やりたいこと・やるべきことに焦点をあてる
3.上位のビジョン・方針につながる目標にする

の3点についてご説明いたしました。

目標と計画は2つで1セットです。

今回は後編として、設定した目標を達成させるための計画作りのポイントをお話しいたします。

▼前回の記事はこちらから▼

目標は大胆に、計画は緻密に(前編)

計画づくりのポイント

計画とは、目標に到達するための「手順」と「期限」を定めたものです。

計画が具体的で、現実的で、詳細であるほど、目標達成への道のりは確かなものになります。

計画を丁寧に作ることによって、やるべき工程が明らかになり、それが心理的な負担の緩和にもつながります。

目標は大胆に設定することが大切ですが、計画には緻密さが求められます。

 

計画をつくる際に心がけるべきポイントとしては、次の3点が挙げられます。

1.逆算思考で考える
2.分解して考える
3.数値で考える

1.逆算思考で考える

目標設定と同様、計画づくりにおいても「逆算思考」のアプローチが重要です。

現状を起点とするのではなく、到達すべき目標から逆向きに考えて、工程を描いていきます。

 

計画づくりの目的は、現状と目標までの道のりを明らかにすることです。

目標は現状よりも高い水準、すなわち未知の領域に設定されています。現状を出発点として考えていくと、どこか途中でイメージしきれない「壁」が出てきます。

そして、目標が高ければ高いほど、その壁は高く、不透明さや不確実性を伴います。

時には「やってみなければわからない」というスタンスも必要ですが、少なくとも計画づくりの時点において、見通しが立たない部分を放置しておくことは望ましくありません。

どこか1箇所でも道がつながっていないと、そこで目標達成への道のりは途切れてしまいます。

 

したがって、計画を描く時には目標から逆算して考えます。

  • 目標が達成するためには、まず何ができていなければならないのか。
  • そのためには、何ができていなければならないのか。
  • そして、そのためには、何ができていなければならないのか。

目標から逆向きに一歩ずつ近づけるアプローチで考えることによって、目標に到達するまでの最短経路を描くことができます。

2.分解して考える

計画づくりの目的は「手順」と「期限」を明確にすることです。

それらをどれだけ具体的に、細かく描けるかが目標達成への決め手になります。

そのためには、手順をできる限り分解して考えることが重要です。

 

例えば、何かの資格試験に合格することを目標として定めたとします。

その手順として「勉強する」という手順を定めたとしても、これでは示している範囲が広すぎて「いつ」「何をするべきか」がわかりません。

そこで、「勉強する」という大きな括りを、「テキストを読む」「ノートにまとめる」「問題集を解く」に分解します。実施すべき手順が、よりクリアになります。

 

しかし、これでもまだ範囲は広く、「いつ」「何をするべきか」が明かとは言いがたいです。

「テキストの第1章を読む」「テキストの第2章を読む」・・・といった範囲の分解、「キーワードのまとめ」「丸暗記部分のまとめ」「図解や計算式」、あるいは「教材の問題集」「模擬試験」「過去問集」・・・といった種類の分解など、一言でひとつの内容しかイメージできないレベルにまで、細分化を繰り返していきます。

そして、容易にイメージできるレベルにまで分解された一つひとつの手順に期限を設けることによって、「いつ」「何をするべきか」を明らかにすることができるのです。

3.数値で考える

計画の効果性をより高める上では、手順と期限を定める際に、できる限り数値で表現することが有効です。

数値を用いることによって、到達すべき水準、作業のボリューム、計画と現実のギャップを客観的に把握することができます。

 

例えば、先ほどの資格取得の例であれば、1日あたりのページ数や問題集の設問数、章ごとに割り当てる日数などを正確に認識することができます。

あるいはダイエットであれば体重や体脂肪、運動量、摂取カロリーなど、貯金や資産運用であれば金額など、評価指標を数値で定めることで、活動内容や途中経過が十分な水準に達しているかどうかを一目瞭然で判断することが可能です。

当然、仕事においても、売上や利益、顧客数、案件数、品質管理基準、満足度、活動量など、成果や業務プロセスのあらゆる部分を数値で設計することが可能です。数値で記録することによって上司やチームメンバーらに対して、正確な報告や情報共有をすることができます。

 

数値の利点は、主観的な評価や楽観的な状況把握を防ぎ、状況を正確に把握できることです。

日頃から数値で考え、数値で記録する訓練を積むことによって、計画力や実現力を大きく向上させることができます。

まとめ

欲しい結果を得るためには、自身の力量のさらなる成長や資源の獲得が求められます。そして、その実現のためには、適切な目標設定と計画策定が重要な役割を果たします。

上位のビジョン・方針につながる、やりたいこと・やるべきことに焦点をあてた、高い水準の、大胆な目標を設定すること。

逆算思考で、分解して、数値で考えて、緻密な計画をつくること。

目標と計画がうまく組み合わさって機能することによって、物事を実現する力が発揮できるようになるのです。

 

本日も最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

  

投稿者プロフィール

小松 茂樹
中小企業診断士・キャリアコンサルタント。株式会社ビジネスキャリア・コンサルティング代表取締役。人材派遣会社、健康食品会社を経て、経営コンサルタントに転身。営業力強化・業務改善・生産性向上・ビジネススキル向上など幅広い範囲で、業績向上や人材育成の支援を行っている。理論的な背景と情熱的な語り口を交えた講演スタイルに定評があり、セミナーや研修で高い支持を得ている。

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