基本的なことを徹底し、他人のことも考えよう

新型コロナウィルスの影響が、ますます長期化の様相を示しています。私自身も含め、事態を甘く見ていた方も多くいらっしゃるのではないでしょうか。

緊急事態宣言やロックダウン(都市封鎖)の動向が注目されています。法的な強制力は限定的なようですし、現実的に電気・ガス・水道・医療・通信・物流といった社会インフラを止めるわけにはいかないでしょうから、直接的な効果はさほど大きくないかもしれません。それでも、事態の深刻さを共有するには有効な一手にもなり得ます。

まだ状況を楽観視している方も少なくないように見受けられます。無意識のうちに「日本は大丈夫」という気持ちを抱えているように見えます。しかし、ニューヨークをはじめ西欧諸国の状況を聞いていると、もし自分の周囲がこの状況に陥ったらと考えるだけで背筋が凍る思いがします。

何としても被害を最小限に止めるべきですし、そのためには私たち一人ひとりの良識が問われていると切に思います。

いま私たちに求められていることは、決して難しいことではありません。

・帰宅したら、入念に手洗いをし、うがいをする
・規則正しい生活をして、免疫力を高める
・外出時にはマスクを着用する
・密集、密閉、密接を避け、できる限り家にいる

それを一人ひとりが愚直に徹底するだけで、感染拡大は抑えられると言われています。

基本行動を徹底しよう

うがい、手洗いは小学校で習うレベルのことです。大人になったからといって、やらなくて済む道理はありません。

今回の一件で、私自身も日頃の行動に反省を迫られました。これまでは、仕事から帰宅してそのまま家族に接することも決して少なくありませんでした。

もちろん、コロナウィルス騒動になってからは、帰宅して真っ先に洗面所に向かい、手洗い・うがいをするようになりましたが、本来であれば常日頃からそうしておくべきだったはずのことです。

また、外出自粛が長期化するにつれて、生活が乱れるようになったという声も聞きます。通学や通勤がなくなると、時間の規律に対する強制力を失います。朝起きるのが遅くなり、その結果寝る時間も遅くなる。ずっと家にいるので生活リズムが保てず、食事の時間も乱れがちになります。

しかし、夜更かしや食事の乱れは免疫力の低下を招きます。すなわち感染リスクを高めることにつながります。私たちは、子どもの頃から「早寝・早起きをせよ」と言われてきました。規則正しい生活を送ることが、身体面・精神面の健康を保つのです。

リーダーシップ研修などの場でたびたび、率先垂範の話をすることがあります。自分がやっていないことを人に求めても、それについてくる人はいません。「他人を動かすためには、まず自分から」が鉄則です。示しのつかないことを声高に唱えても「お前が言うな」と白けてしまうだけです。

大人がみな欠かさず手洗い・うがいをするようになれば、子どもはそれを見て学び、自分もするようになります。大人がみな規則正しい生活を送っていれば、子どももそれに従うようになります。

いま問われているのは、小学校で学ぶような「基本的なこと」です。私も然りですが、それを自律して継続することの難しさに多くの人が直面していることでしょう。

人間はどうしても楽な方に流れてしまいがちです。しかし、感情の赴くままに行動すれば、生活は乱れる一方になります。基本的なことを徹底するよう、自分自身に対して躾を行う。それが人間の尊厳を保つことであり、私たちは今まさにそれを試されているように思います。

自分のことだけではなく、他人のことを考えよう

外出自粛が求められているとはいえ、生活物資の買い物など最低限の外出は避けられません。私自身も訪問や出張がすっかりなくなってしまったので、日頃は家で仕事をしていますが、煮詰まってきた時には気分転換を兼ねて買い物に行っています。

外に出てみると、マスクをつけていない人の多いことに本当に驚きます。もちろん買いたくても買えないという方もいらっしゃると思いますが、あまりにも堂々としているので、この人はたとえ買えたとしてもつけないのではないかと思ってしまいます。

いまインターネットでもハンカチやガーゼでマスクを自作する方法が出回っています。もし危機感を感じているなら、なんとかして口元を覆うように考えるはずでしょう。つまり、その気がないのです。

外はまだいいです。近づいて話しでもしない限り、飛沫感染のリスクはまだ低いでしょう。しかし、スーパーで商品を前に、マスクをしない状態で誰かと会話をしながら買い物をしている人を見ると、さすがに目を疑います。

もっと驚くのが喫茶店での光景です。窓越しに見かけたに過ぎませんが、老婦人が4人でテーブルに身を寄せ、マスクをせずに談笑している場面に遭遇しました。もはや理解ができません。密閉空間での濃厚接触です。いま最もやってはいけないと言われていることが、普通に行われています。

日本は確かに衛生状態が良いかもしれません。しかし、医療現場はすでに限界にきていることが叫ばれています。感染者数もここ一週間で急増しています。私のようについ1ヶ月前まで状況を甘く見ていた者ですら、考えを改めてなければならない事態に急激に悪化しています。

感染しても、大半の方に自覚症状が現れないのが新型コロナウィルスの特徴です。私自身も含めて、もはや誰が感染しているかわかりません。マスクは防御のためだけにするのではなく、仮に自分が感染者だったとしても他人に飛沫感染させないためにする「マナー」だとも言えます。

 

みなが良識ある行動をしていれば、被害はまだ抑えられるでしょう。しかし、残念ながら周囲の状況を目にすると、当面は状況がまだまだ悪化するように思います。決して望ましいことではありませんが、ニューヨークのようになるのも、もしかしたら時間の問題かもしれません。

先日、新入社員研修でお会いした中国人の方が、「日本人は助け合う仲間意識、規律を守る行動が素晴らしい」と言ってくださり、非常に嬉しく誇らしい気持ちになりました。しかし、今の状況を見ると本当にそうなのかと疑わしくなります。

つい2週間前まで、この状況は長くても4月末までには収束するだろうと私は思っていました。しかし今は、6~7月頃まで長期化するだろうと見込んでいます。海外の状況を聞く限り、決して極度な悲観ではなく、現実にあり得るシナリオだと思います。

外出自粛の長期化を見込んで、いま仕事の優先順位やスケジュールを大幅に見直しています。こんな状況ではありますが、私にも家族と生活があります。命と健康を守ることを大前提とした上で、できる範囲で稼ぎ続けなければなりません。

基本行動を徹底し、他人を思いやり、その上で「いま、自分にできること」を考えて行動しましょう。そして、みなで生き延びましょう。いま私たちは、そういう局面に直面しているのだと私は思います。

 

本日も最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

  

投稿者プロフィール

小松 茂樹
中小企業診断士・キャリアコンサルタント。株式会社ビジネスキャリア・コンサルティング代表取締役。人材派遣会社、健康食品会社を経て、経営コンサルタントに転身。営業力強化・業務改善・生産性向上・ビジネススキル向上など幅広い範囲で、業績向上や人材育成の支援を行っている。理論的な背景と情熱的な語り口を交えた講演スタイルに定評があり、セミナーや研修で高い支持を得ている。

関連記事

  1. 3日坊主にならない「今年の目標」の立て方

  2. 自分の時間を守るための「先手必勝術」

  3. やりたいことを実現できるスケジュールの立て方 5つのポイント

  4. 若者のアイデアをおじさんの力で実現させよ

  5. 人間関係は「鏡の法則」〜人間関係を良好にするポイント〜

  6. 視野を広げるために必要なこと