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ブログ

2020.7.27

ホンモノの仕事や人だけが生き残る

久しぶりの投稿です。新型コロナウィルスで景況感は決して良くない状況ですが、お客様や周囲の方々のおかげで幸い仕事には恵まれています。

とはいえ、実地での研修やセミナーが主体だった昨年までと同じやり方をするわけにもいかず、オンライン配信、動画の撮影や編集など、3月以降ずっと日々新しいことの連続です。

それでも、昨年までに比べるとやや時間もできたので、ずっと棚上げにしていた資格試験への挑戦もはじめました。自分の時間の過ごし方だけ見ても、今年は昨年までとはまったくの別世界です。

4月頃からこのブログでも、セミナーでも繰り返し申し上げていることですが、今年は時代の転換点です。失われた30年と言われ、まさに時が止まったかのように変化が停滞していた仕事の進め方や組織のあり方がようやく変わろうとしています。

今年が新時代の元年になる

先日、新入社員向けの研修を担当した際、冒頭このように切り出しました。

「みなさんは非常にラッキーです。今年が新しい時代の元年になります。これからは本物しか生き残れない。キャリアを形成する最初の段階からこの土俵にいるみなさんは、きっとこれから大きなアドバンテージを得ることでしょう。」

急遽のテレワーク普及で露見された「働かないおじさん」の例をはじめ、これまで“なんちゃって”仕事をしていた人たちにとっては厳しい時代がやってきます。

これだけ経済が悪化し、それが長期に続く見込みになると、どんな会社も生き残りをかけて事業や人員の見直しをせざるを得なくなります。よほど内部留保を蓄えているいる会社でない限り、売上が数十%下がって何ヶ月も持ちこたえることはできません。

雇用調整助成金でふんばっているとはいえ、あと半年、一年といまの状況を持ちこたえるのは厳しい戦いになることでしょう。多くの会社が、仕事の進め方はもちろん、評価や賃金などの人事システムや、組織編成に手をいれずにはいられない状況になっているはずです。

そして、コロナショックは「デジタル×オンライン」を急速に加速させる起爆剤になっています。もはや知的労働といえども、単純作業や定形作業はデジタルツールに置き換えられはじめています。もともとその潮流ではありましたが、コロナ自粛はその強力な追い風となりました。物事の本質を見れる力、価値を創る力がない人には、コロナ後の世界で活躍するフィールドがなくなります。

第2波もしばらくの間続く見通しとなってきました。働く個人にとっては、この時期をどのように過ごすかが、来年以降の職業生活を大きく変えることになります。まさに今が、長期視点でキャリア形成を練り直し、新時代に必要な能力を磨く時だと言えるでしょう。

コロナ後には「ホンモノ」の仕事しか残れない

先日、動画の撮影で久々に事務所に行きました。その帰り道、新宿駅で乗り換えをしようとしていたところ、スーツを着た一人の若い男性に声をかけられました。

「すいません。私、新入社員なんですけど、お名刺を一枚いただけませんか」

いまだにこんなことをやっている会社があるのかと、すっかり呆れてしまいました。

申し訳ないが、彼に名刺はあげられないし、あげるわけにもいかない。丁重にお断りをした上で、ただ一言、

「もっと、ちゃんとしたことをやらせてくれる会社に入ったほうがいいよ」

と言って、その場を立ち去りました。

 

ビジネスは価値交換です。自分が提供する価値と、相手が提供する価値を交換するのが仕事の本質です。たかが名刺交換でも、その原則は変わりません。

彼に名刺を渡すことは、私にとっては何のメリットもありません。何よりも、自分が提供できるものを何も告げずに、自分がもらうことだけを主張しています。こんなビジネスはありえません。

名刺交換をするにしても、自分の方からモノなり情報なりの価値を提供するのが先です。与えるのが先、受け取るのが後。宅急便を生み出した偉人、故・小倉昌男氏のお言葉を借りるならば「サービスが先、利益が後」なのです。

綺麗事のように見えますが、いま成功しているビジネスの多くがこれを再現しています。インターネットの普及により、情報やサービスの提供が容易にできるようになりました。そして、良質で価値ある情報が無料で手に入るのが当たり前の世の中になっています。

もはや知識や情報の提供だけではビジネスとして成立しなくなり、無料で有益な価値を提供してファンをつくり、そのファンに対してより希少性や付加価値の高い商品やサービスを提供することが基本構造とも呼べる時代となりました。(コロナ以降のYouTubeの賑わいがその様相を顕著に表しています)

単純に「名刺をください」というアプローチは、自分から提供できる価値が何もないことを自ら露呈しているようなものです。仮に通行人に片っ端から声をかけるにしても、もっとまともな声のかけ方があるはずで、少なくともそれは「相手にとってのメリット」を訴求するものでなくてはなりません。

当の本人がそれに気づくのが一番ですが、社会経験がない彼自身が自発的に気づくのは難しいかもしれない。それを指導するのが上司や先輩の役割であるはずなのに、それができていないということは、その組織は時が止まったままなのだということです。

新入社員にやみくもに名刺交換をさせる手法は、昭和時代には有効だったかもしれません。収集した名刺が顧客リストとなり、本格的な営業活動をはじめる資源になります。

しかし、相手のニーズも聞かずに闇雲に集めた名刺が顧客リストとして機能するはずがありません。それ以外に方法がなかった昭和時代ならいざ知らず、誰でもインターネットで簡単に情報発信ができるようになった現代に、こんな非効率な方法でマーケティングをしても営業成果につながるべくもありません。同じ予算や労力を投入するならリスティング広告やSNS広告を投下する方が、はるかに効果的だし、合理的にプロセス改善が図れます。

度胸試しとして行うという意図もあるかもしれませんが、それだったらなおのこと「名刺をください」というtakeの言い分ではなく、「あなたの役に立ちたいので、○○を受け取って欲しい」というgiveの語り口の方がよっぽど効果的です。

グローバルに市場が飽和した現代では、もはや商品やサービスの機能や品質、価格では差別化ができなくなってきています。お客様を惹き付けるのは、その会社や商材が発するストーリーやメッセージです。

そして、そのストーリーやメッセージがお客様の胸を打つかどうかは、「それが本心から出ている言葉か」という信憑性、すなわち発信者の一貫性によって決まります。つまり、お客様がファンになってくれるかどうかは、ミッションやビジョン、価値観などが明確で、ブレていないかによって決定づけられるのだと言えます。

「何を言うか」も、もちろん大事ですが、それ以上に「誰が言うか」が大切な時代となりました。耳を傾けてもらうに値する存在であり続ける。日々の努力は、そのために向けられるものである必要があります。

コロナ以降の世界では、こうした会社や商品・サービスだけが生き残る世界になります。新入社員にまず身につけてもらわねばならないことは、闇雲に名刺を集めてくる技術ではなく、お客様の胸を打つ自社のストーリーを語る技術なのです。

そして、これは企業や商材の話に限らず、個人の働き方、生き方にも求められる本質です。自分は「何のために」「誰のために」この仕事をしているのか。その答えを持っている人が「ホンモノ」として生き残ります。

医療現場やエッセンシャルワーカーの方々への負荷や、経済へのダメージの観点から考えれば決して望ましいとは言えない状況ですが、コロナショックはそれに改めて気付かされた契機だとも言えます。一人ひとりが、これからの働き方、生き方をじっくりと、そして真剣に考える時を迎えていると言えるでしょう。

私もまた明日から「デキる人を増やす」「世の中から長時間労働とムダな仕事をなくす」という自分の理念を忘れずに、目の前の仕事を一つひとつ大事に取り組んでいきます。

本日も最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

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