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2021.4.26
先週から、ある企業様での時間管理研修がスタートしました。入社2年目の方々に対する研修体系の1つとして位置づけられて、5月末まで複数のクラスに分けて実施します。
このコースも今年で3年目。得意とするテーマで、将来有望な若い方々に私の考え方を聞いていただける機会を設けていただけることに、本当に感謝です。とてもやりがいのある仕事です。
仕事は時間でできています。人生も時間でできています。良い仕事ができるかどうか、幸せに生きられるかどうかには、時間の使い方が大きく影響します。
限られた時間を効果的に活用するためには、「やること」「やらないこと」「やるけども最低限で済ませること」を分類して優先順位を設定し、それぞれの活動に対して計画的に時間を分配することが必要です。
優先順位をつける際、多くの場合は緊急度に基づいて優先順位を設定します。提出物や連絡の納期、出席する会議・ミーティングの時間など、明確に日時が決まっているものほど優先されがちです。これらに共通しているのは、「他人の都合」で優先順位が高くなっているということです。期日通りに、早く対応しないと他の誰かの迷惑や損害につながるので、優先度を上げて対応することになります。必要に迫られてやるので、これらは「やるべきこと」として位置づけることができます。
一方で、学習、運動、趣味や娯楽、大切な人と過ごす時間など、自分のために行う「やりたいこと」は優先度が低くなりがちです。たとえやらなくても、誰かの迷惑や損害にならないので、誰からも催促されることはありません。したがって、「時間ができたらやろう」と後回しになりがちです。しかし、実際にはこの「時間ができる」ことはあまりありません。いくつもの「やるべきこと」に追われ続けた結果、今日も、今週も、今月も「やりたいこと」ができずに終わってしまうのです。
言うなれば、「自分の都合」は「他人の都合」よりも後回しになってしまうということです。もちろん、他人に迷惑をかけたり、損害を与えてまで自分の都合を優先するわけにはいきませんが、このスタンスで生きている限り、自分にとって望ましい生き方をすることは難しいと言えるでしょう。
「やるべきこと」に終始する生き方を続けてしまうと、自分の成長が止まってしまったり、将来に向けた準備ができなくなったりしてしまいます。
多くの「やるべきこと」は「いまの問題を解決する」ために行っていると言えます。こうした「やるべきこと」を通じて、自分が成長したり、将来の備えになったりすることは決してゼロではありませんが、限定的ではあります。「いますでに見えている問題」に対処しているだけでは、得られないものがあるからです。
将来に備えるためには「いま見えていない問題」に対応することも必要です。必ずしも、いま現在は問題になっているわけではないけども、数年先を考えたら「このままではマズイ」と考えて自ら問題を作り出す。これを「問題の創造」と呼びます。
そして、自ら創造した問題の解決にあたることに対して、他人から何か要求や催促が来ることはありません。あくまでも、自分自身のために、自分自身が管理して行う活動です。これを私は「投資活動」と呼んでいます。自分のより良い将来を作り出すために、現在の時間を投資として使うということです。
私自身は日々の投資活動として、学校教育の学び直し(リクルート社のスタディサプリ)、ビジネススキル学習(グロービスまなび放題)、ニュースサイト(News picks)、読書などを行っています。毎日1時間以上は要しますが、主に移動中の時間や、仕事の合間のスキマ時間、時には入浴を活用して時間を創り出しています。
継続するコツは、スキマ時間ができた時にやることをあらかじめ決めておくことです。「5分空いたら○○をする」「10分空いたら○○をする」など事前に決めておくことで、時間が空いた時に迷わず行動に移れます。
それ以外に、日程の都合がつく限りセミナーに参加するようにしています。昨年以降、オンラインでのライブセミナーが増えたので、外出先でも、時に移動中でも受講できるようになったのは本当にありがたいです。以前よりもだいぶセミナーに参加できる様になりました。
また、独立して以降、週1回のメルマガ発行とブログ更新、YouTubeへの投稿を続けています。1回や2回ならともかく、毎週継続するとなると決して楽な活動とは言えません。必ずしも短期的に成果につながるものでもなく、成果どころか手応えすら感じるのは難しいです。しかし、来年以降の自分の状況を考えると、少なくとも今は決して手を緩めるわけにはいかないと考えて続けています。結実するのは今ではなく、早くて来年、もしかしたら3年後になるかもしれません。
投資活動は非常に地味です。取り組んだからと言って、必ずしも目に見える結果がすぐに現れるとは限りません。むしろ、何も変化がないように感じることの方が通常であり、継続が最大の課題だと言えます。長期的な視点でコツコツと続けることが求められます。
しかし、まさに「継続は力なり」であり、少しずつ長く続けることでいつの間にか自分の能力を引き上げてくれていることがあります。種を蒔き、じっくりと育て、実を収穫するまでに数ヶ月、数年を要するように、時間をかけて行うことです。実が欲しいからと慌てて種を蒔いても、すぐに収穫できるはずもありません。
例えば、私は最近セミナーや研修で講義を行う際に、x,y座標のグラフを用いて解説することが多くなりました。これは明らかに数学の学び直しを続けている効果だと捉えています。以前であれば言語だけで説明していたことを、図解で説明できるようになりました。受講者の方々に話を理解していただく上で、言葉だけでなくビジュアルで説明できるようになった効果は大きいです。概念的な説明も、因数分解「風」、数式「風」に表現することで、理解していただきやすくなっていると思います。
また、物理や化学を学び直していることで、概念や理論を説明する際の例え話のバリエーションが明らかに広がりました。ただ例示するだけではなく、その理由やメカニズムを合わせて説明することで、より理解を促すことができます。学生時代を「ド文系」として過ごしてきた私にとって、たとえ高校レベルであったとしても数学や科学をこの歳から学び直す効果は大きいと感じています。
意図的に狙ってやっているというより、「どうやったらより伝わるのか」を考えながら仕事を続けていく中で、コツコツ増やし続けている自分の知識がうまく課題と紐づいて、新しいやり方を導いているのだと考えています。これは机に座って短時間集中して考えるというアプローチではなかなか難しいです。
やり続けていたら「いつの間にか変わっていた」というのが投資活動の効果です。一時的なアップダウンはあっても、長く続けることでリターンを獲得できるところが、文字通りの「投資」に非常に似ています。
投資活動を行うコツは、長く継続することを前提に計画することです。一度に大きくはじめようとすると、すぐに息切れして続けられなくなってしまいます。例えば、本を読む習慣をつけるなら、最初の頃は「本を開く」「1ページ読む」といった程度の目標で十分です。
大切なことは「自分がやると決めたことを、決めた通りにやる」ということです。小さなスタートであったとしても、自分が決めたことをやり続けていくうちに習慣が形成され、「やらないと気持ち悪い」「やらない方が違和感がある」という感覚になってきます。そうなれば、後は改善を図り、求める水準を徐々に上げていくだけです。
毎日5分でも、10分でも、将来の自分に対する投資として時間を使ってみてはいかがでしょうか。1日5分でも、1ヶ月で2時間半、1年間で30時間です。30時間あれば、1つのテーマを体系的に学習することも可能です。
人生が時間でできているなら、未来は時間の投資によって変えることができます。いまコツコツと続けることが、やがて将来の自分を助けてくれることになるでしょう。
本日も最後まで読んでいただき、ありがとうございました。