東京を離れます 〜環境を変えることが、自分の変化と成長を促す〜


明日、約7年間住んだ東京の住居を離れ、神戸へ移住します。

それ以前は大阪に住んでいたので関西へは「戻る」ということになりますが、神戸に特に縁があるわけではありません。家族のライフプランを実現すること、いまの仕事を継続することの両方を検討した結果たどり着いた場所ですが、私にとっても、妻にとっても(当然、子どもたちにとっても)まったくの新天地となります。

環境に適応するまでに、時間も労力も要するでしょうが、これからじっくりと身辺を整えていこうと思います。

あと20年以上働くということ

人生100年時代と呼ばれ、現役として活動する期間が長くなることが見込まれています。もはや定年は70歳までが既定路線ですし、私のように雇用されていない身であったとしても、70歳までは働き続けるのが一般的になると思います。私は現在42歳ですので、70歳まであと28年。きっとその頃には、75歳や80歳、あるいは生涯現役で働くのが一般的になっている可能性もあります。

28年は長いです。今から28年前と考えると1993年です。私は中学3年生。バブル経済が終焉を迎えていた時期で、ビーイング系や小室ファミリーの音楽が一世を風靡していた頃です。映画ジュラシック・パークが公開されたのもこの頃です。なんとも懐かしいです。

この頃には、スマートフォンはおろか、携帯電話も一般には普及しておりません。当時はポケベルを使うことが先進的でした。ドラマ「ポケベルが鳴らなくて」がまさにこの年で、大きな反響を呼んでいました。インターネットはもちろん、パソコンすら一般の家庭にはありません。何せWindows95よりも前なのです。

職場にはパソコンはあったかもしれませんが、経理処理をするオフコンがあれば当時としては先進的と言うようなもので、少なくとも現場業務でコンピュータを使うことなどほぼない時代だったと言えるでしょう。したがって、当時の仕事内容と現在の仕事内容は、まるで違うものであると言っても過言ではないと思います。

スマートフォン以降、時代の変化のスピードはますます加速していると言われています。きっと28年後に従事する仕事は、28年前といまを比較するのと同じように、現在の仕事とはまったく異なる姿になっているだろうと思います。現在まだ存在していない仕事に就くことも容易に考えられます。定年が延びるということ、職業人生が長くなると言うことは、決して「いま現在やっている仕事を長く続ける」ことではありません。それだけの長い期間、時代に適応し続けていくことが求められるということです。

そして、時代に適応していくためには、当然ながら常に変化・成長を重ねて、自分自身をアップデートしていくことが必要です。しかし、その最大の障害になるのが、自分自身にある現状維持バイアスです。別の表現をするならば、「いまの環境に慣れ親しんでしまうこと」だと言えます。

コンフォートゾーンの外に出る

先週のyoutubeで、現状維持バイアスを克服する方法についてお話ししました。

現状維持バイアスとは、自分が保有しているものや慣れ親しんだものの価値が、実際よりも大きく見える偏向(ものの見方の偏り)のことです。これはコンフォート・ゾーン(心理的な安心領域)によって引き起こされます。(詳しい解説は動画をご覧ください)

同じ環境に身を置き続け、同じ生活パターンを続けていると、コンフォートゾーンが硬直して変化や成長に対する耐性がどんどん弱くなります。今までと同じ場所で、同じことをやり続ける方がはるかに楽なので、変化を嫌い、抵抗し、避けるようになってしまいます。一方で、社会は日々刻々と変わり続けているので、世の中の流れと自分の世界観にどんどん乖離ができていきます。

例えば、生まれ育った場所で長い期間を過ごせば過ごすほど、そこから別の場所に移り住むハードルは高くなります。住居はもちろん、人間関係や利用施設、病院など、すべてがリセットになるので、生活環境を整え直す時間的・精神的なコストが大きくなります。

仕事についても同じことが言えます。同じ組織に属し、同じ仕事に従事し続けると、慣れ親しんだ仕事のパターンがコンフォートゾーンを硬直化させ、新しいことや難しいことに挑戦しづらくなっていきます。新卒採用であれ、中途採用であれ、誰しも最初は未知の場所で、緊張した状態でキャリアをスタートさせます。この頃には、柔軟性や創造性はとても高い状態だと言えるでしょう。しかし、3年も経てばすっかり環境に慣れ、5年も経てば思考パターンや価値観が所属組織にすっかり染まります。10年も経つと、もはや他の考え方や価値観が受け入れられなくなってしまいます。

もちろん、個人差はありますが、よほど志を高くして、自分を律せる人でなければ、自分の「前提」を崩すのは難しくなります。長く慣れ親しんだパターンを否定することは、自分のそれまでの仕事のあり方・やり方を否定することにつながるからです。自分の歴史を肯定するためにも、従来からの仕事のやり方を肯定し、そこに固執し、新しいものや異質なものを受け入れにくくなります。

特定の仕事のパターンを長く続けることにより、経験を蓄積することはできます。もちろん、経験が自分の資産になることはありますが、時代の変化やテクノロジーの進化によって、過去の経験が陳腐化していく側面を見逃すことはできません。少なくとも、これからの時代は、昭和・平成時代に比べると「古くからの経験」の価値は相対的に低下するだろうと思います。コロナ以降に加速しているデジタル化・オンライン化の流れを考えれば、アナログ・オフラインの経験が何十年あるよりも、ここ数年の間に仕事をデジタル・オンラインにシフトさせた経験がある方が、少なくとも現場では重宝します。

ましてや、パソコンのない時代に、手書き・ハンコ・FAXでやっていた仕事の経験が、現在のスマートフォン社会でどれだけ役に立つのかを考えてみれば、いまやっている経験ですら、10年後、20年後には大して使えるものになるとは限りません。

これからの時代に必要なのは「それまでの自分にない新しい経験や難しい経験を、常に積み続けていくこと」です。すなわち、自分に変化・成長を課し続けていくことが、人生100年・定年70年時代に活躍し続けるための条件であり、これはコンフォートゾーンを絶えず広げ続けていくことを意味します。そして、コンフォートゾーンを手っ取り早く広げるために有効なのは、強制的に変化・成長しなければならない状況に自分を追い込むことです。すなわち、環境を変えることです。

新しい環境に身を置くのは、当然ストレスがかかります。しかし、適度なストレスがかからないと、人は変化・成長することができません。軽いダンベルでどれだけトレーニングしても筋肉が鍛えられないように、強くなるため、変化するためには負荷が必要なのです。

環境変化が激しいからこそ、新しいことをはじめる

来月から、仕事の拠点が神戸に移ります。現地に関する情報収集を進めてはいますが、まだ未知のことが多すぎて、思うようにプランが具体化しきれていないのが実情です。以前からお知り合いだった方や、ご紹介をいただいた方など、まずは人を訪ねて回り、情報を集めながら、移住後の事業構想を固めていく予定です。

とはいえ、コロナ以降に急激にオンライン化・デジタル化が加速したこともあり、現在手がけている仕事もほぼ問題なく転居先で継続できます。これは事業主としては非常に追い風です。しばしば「こんな時期に起業するなんて、よく決断したね」と言われることもありますが、むしろ「こんな時期だからこそ、起業するのに最適だ」と私は考えています。

起業にリスクは付き物です。リスクがないということはリターンもないということであり、自分のステージを上げていくためには、リスクをとっていく必要があります。しかし、それで家族を路頭に迷わせるわけにもいかず、リスクをできるかぎり小さくしながら起業することが、私にとっても重要な課題でした。こうして退職後も問題なく過ごせているのは、もちろんお客様や案件を引き続き担当させていただいている前職のおかげではありますが、コロナ後のデジタル化・オンライン化によって、時間や場所を問わず仕事がやりやすくなった影響も大きいです。今ほど、起業のリスクを低減・分散させながら起業できるタイミングはないのではないかと思うほどです。

環境変化が激しい時だからこそ、新しいチャレンジに向かって、足を一歩踏み出すことができます。世の中が混乱しているということは、みながコンフォートゾーンを乱されているということです。環境を変えなくても変化しなければならない状況に直面しているのであれば、このタイミングでいっそ環境を変えてしまうことで、自分の変化・成長の幅をさらに広げることができます。こういう時だからこそ、過去の経験や固定概念に縛られず、世の中を観察して人の話に耳を傾け、純粋に「いま求められていること」に焦点をあてていくことが必要です。そうすれば、仕事はいくらでも作る出すことができますし、その結果として報酬を得ることも可能です。

今後、それまでの「貯金」でやれることは、これからますます減っていきます。一方で、常に新しいこと、難しいことに挑み続けていれば、仕事はいくらでも作り出せますし、自分自身も日々パワーアップしていくことができます。これけらの時代は、自分を変化・成長できる人、その環境を構築できる人が生き残るのではないかと思います。その点では、仕事であれ、生活であれ、住居であれ、自分の環境を安定させている何かを変えてみることが、とても有効ではないかと私は考えます。

本日も最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

   

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