久しぶりに冷や汗を書きました

先週、知人からのご紹介で、まったく未経験の分野の仕事を体験させていただきました。その案件に対応できる力が私にあるかどうかのテストみたいなものでした。守秘義務があるので具体的な業務内容は書けませんが、私がこの業界に入ってからまったく触れてこなかった領域でした。最終的に仕事を発注していただけるかどうかはわかりませんが、少なくとも未知の分野を勉強するきっかけになりましたし、何より自分の目を覚ます良い機会となりました。

成長している「つもり」になっていないか

このメルマガでも常々、成長するためには、新しいことや難しいことに挑戦することが大事だと申し上げてきました。言っている私自身も、さらに変化、成長し続けられるよう、自分にとって未知の領域へ積極的に挑戦するよう心がけているつもりです。

例えば、会社を設立したこともそうですし、お誘いいただいた会合に参加して、はじめての方とお話しすることも然りです。コンサルティングや研修のお仕事も、自分がやったことがないテーマの話があれば、むしろ勉強するチャンスだと思い、どんどん引き受けています。今の時点でできないことでも、本番までに勉強して準備して、間に合わせるようにしています。

もちろん、他人様へ説明したり教えたりするレベルまで理解しなければならないので、準備にはかなり時間がかかります。ずっとこの調子なので、経験を積んでいってもなかなか一向に楽にならない。決して楽な生き方ではありませんが、このスタンスで仕事をしていれば、自分は日々確実に成長していけるはず。なので、自分が日頃から言っていることも、自分でもちゃんとできている、、、つもりでした。

しかし、それは本当に「つもり」の域を出なかったのだなということを、先週如実に感じました。

もちろん、少なからず新しいことや難しいことはやっているのですが、あくまでもそれは過去の延長線上で新しいことをやっているだけ。たとえ内容ははじめての領域であったとしても、出力する形態がコンサルティングや研修、セミナーなどの慣れ親しんだスタイルであれば、結局は「いつもの感じでやれてしまう」のです。なので、はじめてのテーマや内容のものであったとしても、手応えとして「うまくいかなかった」と感じることは少なく、「なんとかやれたな」という印象で終わることが多いです(もちろん、改善すべき点は毎回ありますが)。

考えてみれば、それがプロであるということだし、お客様に品質の悪いものを提供するわけにはいかないので、品質を担保するために自分の能力や経験を活かしていくことは当然のことです。仕事としてはそれで正解だと言えるでしょう。しかし、「自分の成長」という点から言うとインパクトは小さいです。大きな失敗をしてしまいそうなイメージはなく、確実にできると思えることをやっているに過ぎません。難なくできるか、ちょっと難があるかくらいの違いでしかなく、自分の中ではやはり「できて当たり前」なのです。

やはり私もまだコンフォートゾーン(心理的安心領域)の中から、抜け出せていないのだなと反省です。独立したり、会社を立ち上げたりと、体験として新しいことを積み上げていっていますが、それも過去の延長線上にある予定調和に過ぎなかったわけです。なぜなら、うまくいかったなかた時のイメージがわかないレベルの挑戦だったからです。

新しいこと、難しいこと以上に「慣れないこと」をする

詳しい内容は申し上げられないのですが、今回体験させていただいたお仕事は、お客様からの問い合わせに対して電話で相談に乗るというものでした。当然ながら電話の経験はありますし、はじめての方の相談に乗るということもしばしばあります。とはいえ、日頃の仕事では複数の方々に対して「1対多」の形態で話をすることが圧倒的に多いです。外部の方と1対1で話をする状況はそれほど多くなく、もしあったとしても周囲から他の人が見ているという状況がほとんどです。

例えば、コンサル先や研修で、いただいたご質問に対して回答することはほぼ毎日のようにやっていますが、当然ながら自分の専門領域に関する質問がほとんどなので、回答に困ることはほとんどありません。また、「講師」「専門家」という立ち位置でお伺いしますので、基本的に話をする時は「自分のペース」になります。また、振り返ってみれば、電話で話をすることも最近はめっきり減っていることに気づきました。かつては電話を使うことが多かったですが、ここ1年以上はすっかりzoomなどのオンライン会議が中心です。オンライン会議をセッティングするほどの内容でなければ、むしろチャットなどのテキストメッセージのやりとりで済ませていました。

今回は「異分野の内容」「慣れない電話」「普段の自分とは異なる立ち位置」といった状況で、たかだか電話のやりとりに大苦戦し、久々に冷や汗を書きました。こんな感覚、感情は本当に久しぶりでした。そこで気づいたのは、成長するために必要なのは、新しいことや難しいことに挑むということだけでなく、「慣れないこと」に挑戦してみることではないのかということです。

慣れないことをやろうとすることで、とても集中力が高まり、脳や血流が活性化するような感覚を覚えます。この刺激が、日頃すっかり停滞してしまっている自分の中から、力を引き出してくれるような気がします。ついつい、これまでの自分がやってきたことを活かせるような方向に寄せてしまいたくなりますが、これまでの自分からは離れたものに触れれば触れるほど、自分の可能性がさらに広がっていく気がします。数年後を見据えて、事業を展開していくために、当面は未知の分野やコミュニティにどんどん挑んでいこうと思っています。あなたも、もし自分が「行き詰まっている」「停滞している」と感じるようなことがあれば、これまで自分がまったく触れてこなかたような何かにチャレンジしてみてはいかがでしょうか。

本日も最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

  

投稿者プロフィール

小松 茂樹
中小企業診断士・キャリアコンサルタント。株式会社ビジネスキャリア・コンサルティング代表取締役。人材派遣会社、健康食品会社を経て、経営コンサルタントに転身。営業力強化・業務改善・生産性向上・ビジネススキル向上など幅広い範囲で、業績向上や人材育成の支援を行っている。理論的な背景と情熱的な語り口を交えた講演スタイルに定評があり、セミナーや研修で高い支持を得ている。

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