氣質診断はじめました(人が生まれながらに持つ個性を知る)

先日、一般社団法人 氣質診断士協会の「1級 気質診断士」の認定をいただきました。

氣質とは人が生まれながらに持っている思考や感覚の特徴です。前職でご縁があった岩井美詠子さんが協会の代表理事をお務めになっているご縁で氣質のご紹介をいただき、先日、マンツーマンでご指導をいただきました。めでたく診断士の認定をいただき、業務利用もして良いということなので、これから色々と事業に活用していけたらと考えています。

ひとまず、氣質について簡単な説明をホームページに記載しておきましたので、ご興味がある方はご覧ください。

氣質診断の詳細はこちらから

「過去の振り返り」型自己分析の限界

私の専門領域の一つはキャリアコンサルティングです。一人ひとりの個性や才能を活かして、自分が最も輝ける場所、活躍できる場所で、充実した職業人生を送っていただくようご支援するのが、私の仕事です。

キャリア開発を行う上で最も重要な要素が「自己概念」です。概念とは「物事の言葉による説明」という意味ですので、自己概念は「自分が、自分のことをどのように思っているかを言葉で表現したもの」を指します。「自己イメージ」「自分らしさ」という表現の方がピンと来るかもしれません。自分に適した職業や職場を見つけるためには、自分自身に対する理解が重要です。そのため、キャリアコンサルティングを行う際には、特に序盤は自己分析に時間を注ぎます。「自分は何者であるのか」。これが、望ましい将来像を描き、その道を切り開くための、最初の問いとなります。

自己分析の中心となるのが「過去の振り返り」です。生まれてから現在に至るまでに体験した出来事、影響を受けた人、本、エンタメ、成功体験や失敗体験を語っていただき、その背後にある「自分らしさ」を抽象化、概念化していく。興味、能力、価値観といった枠組みでその概念を整理し、体系化したものが「自己概念」となります。人生が長ければ長いほど、過去の体験や出会いから得るものは大きく、自分らしさの形成に大きな影響を及ぼします。とはいえ、これらはすべて「生まれた後」によって作られる後天性の人格形成です。言わば、生まれた時には真っ白の状態(ゼロの状態)で、その後の経験によって人格が形成されるという考え方です。

しかし、こうした過去の振り返りをベースとした自己分析だけでは、説明がつかないという場面に直面することもあります。同じ出来事を体験しても、その捉え方、そこから受け取る意味や影響が人によって異なります。経験=体験×意味です。同じ体験をしても、その体験に付与される意味が異なれば、経験として得るものが異なります。この意味を作り出す価値観もが後天的に作られるものだとすると、人生最初の意味づけは、何を基準としてなされるのかという疑問にたどり着きます。

私には3歳の娘と1歳の息子がいます。娘はともかく、息子はまだ言語による概念化ができる段階にありません。それでも、娘が同じくらいの歳だった頃と比べても、行動パターンに大きな違いがあります。同じ親のもとで、同じような環境で暮らしているにも関わらずです。幼い頃からでも、人には向き不向きがあります。いとも簡単にできてしまうものもあれば、何度繰り返してもいっこうに上達しないものもあります。大人になってからも、人から何度指摘され、注意されてもいっこうに改善できない、意識や行動のパターンがあります。環境や経験によって、後天的に作られるという考え方だけでは、どうしても説明がつかないのです。

先天的な性質、つまり「生まれながらに持っているもの」の存在を無視することはできないのです。この「生まれながらに持っているもの」がその人の氣質であり、それを読み解こうとするのが氣質診断です。

パーソナリティ(人格)の重層構造

心理学では、人のパーソナリティ(人格)、すなわち自分らしさは重層的に作られていると考えます。パーソナリティは大きく「先天的な特徴」と「後天的な特徴」の2つに分けられます。これらは、卵の黄身と白身のように、明確に異なるものであり、黄身が白身を内包して存在しています。

先天的な特徴

黄身に相当する先天的な特徴の中でも、より中心にあるのが「氣質」です。上述の通り、その人が生まれながらに持っている特徴であり、これはこの世に生を受けた暦のバイオリズムによって決まります。すなわち、誕生日によって定まります。誕生日を用いることで占いのようなイメージを受けるかもしれませんが、これらは古来より伝承されている易学に基づくデータのパターン分析によって導出されます。すなわち統計学です。あくまでも統計的に「この暦に属する人には、こういう傾向、特徴がある」という仮説を導き出しているものだと言えます。なお、一般的にはより平易な漢字である「気質」と表現することが多いですが、氣質診断士協会では思想的な意図をもって「氣質」と表現されています。

そして、氣質の外側にあるのが「性格」です。これは幼少期の環境(主に対人関係)によって形成される特徴です。一説によれば、性格の8割程度は15歳頃までに、95%程度は25歳までに形成されます。つまり、大人になってからは、ほとんど変わることがありません。ちなみに、自我の境界線が芽生えるのはおよそ8歳頃だと言われているので、8歳頃には性格の大部分は形成されてしまっているだろうというのが私の考えです。

後天的な特徴

黄身を覆う白身に相当するのが、後天的な特徴です。これらは性格と同様に、周囲の環境要因によって変化していきます。ただし、性格と異なり、原則として何歳になってからでも、自身の意識と努力によって変えることができます。

性格の外側にあるのが「態度」です。考え方や感じ方を表に現したものです。具体的には表情や仕草に現れます。無意識のうちには、氣質や性格に基づく思考や感情が素直に表出しますが、態度は自分の意思で変えることができます。例えば、内心は腹を立てていたとしても、その場をうまく納めるために従順な態度を示すことができます。面従腹背というやつです。

そして、最後に「言動」です。発言や行動も、態度と同様に自分の意思でコントロールすることできます。つい無意識で言ってしまう、やってしまうということもありますが、抑えきれない感情が表情や声質に表れてしまうのに比べると、発言や行動はより制御しやすいと言えます。自分の本心を包み隠して、その場にふさわしい発言や行動を取り繕うことができます。本音と建前というやつです。

多面的に「自分らしさ」を探る

上述の通り、理論上ではパーソナリティは重層構造を取りますが、実際には日々の思考や発言、行動はすべての要素が混ぜ合わさったものとして表に現れます。例えるならば、黄身と白身がブレンドされて、溶き卵のような状態になっているのです。先天的な特徴と後天的な特徴の両方が合わさって「自分らしさ」になっています。

態度や言動は自らの意思である程度は変えることができます。しかし、そもそもの物の考え方、捉え方、感じ方には、変えられるものと変えられないものがあります。例えば、物事を楽観的に見るか、悲観的に見るか。大胆に行動するか、慎重に行動するか。これらは、自分が身につけようと思って身につけたものではなく、生まれながらに持っているものです。

人には向き不向きがあります。残念ながら、向いていないこともあります。努力によって変えられるものもありますが、努力にも限界があります。子どもの頃から石橋を叩いて渡って生きてきた人に、後先考えずに突き進めと言っても、そうはできないのです。生まれながらに持っている自分らしさに反するからです。なぜ自分はこういう性格なのか。なぜこれが得意なのか、苦手なのか。なぜこの人を許せるのか、許せないのか。過去の体験を振り返るだけではどうしても辿り着けない、説明がつかない自分らしさがあります。自分が持って生まれた「氣質」を知ることで、「だから自分は○○なのか」と自己概念への理解が深まります。加えて、他の人の氣質を調べることで、その人の考え方や行動の特徴、自分との相性などへの理解を深めることができます。これは、夫婦や家庭から組織まで、幅広い人間関係形成やコミュニケーションに活用ができます。

「自分らしく働いて、結果を出す デキる人を増やす」という私のミッションを実現するためには、より多くの方々に「自分らしさ」に対する理解を深めていただける手法をご提供することが必要です。これまで行ってきたキャリアコンサルティングの手法に加えて、先天的な特徴を探る氣質診断を組み合わせることで、多面的に自己分析、自己理解を促していけるよう、手法を体系化していこうと思います。

まずは、氣質診断がどのようなものかをご覧ください。

氣質診断

本日も最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

  

投稿者プロフィール

小松 茂樹
中小企業診断士・キャリアコンサルタント。株式会社ビジネスキャリア・コンサルティング代表取締役。人材派遣会社、健康食品会社を経て、経営コンサルタントに転身。営業力強化・業務改善・生産性向上・ビジネススキル向上など幅広い範囲で、業績向上や人材育成の支援を行っている。理論的な背景と情熱的な語り口を交えた講演スタイルに定評があり、セミナーや研修で高い支持を得ている。

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