未来を悲観せず、新しいことに挑戦しながら、今を楽しく生きよう

今年最後の投稿となりました。改めまして、毎度ご覧いただきましてありがとうございます。独立を機に、3月22日より毎週月曜日の配信を開始しました。途中、業務が集中した時期には投稿が苦しくなる時期がありましたが、他人様に「一度やると決めたことはやり抜け」と説いている以上は自分が降りるわけにはいかず、時には夜に投稿するなど苦し紛れの対応をすることはありましたが、無事に今年いっぱいやり遂げることができて良かったです。

毎週のようにメルマガをクリックして記事をご覧いただいている方がいらっしゃるのが、とても励みになっていました。ありがとうございます。来年からは会社の事業も本格化するので、少しペースを落として不定期投稿にしようかと考えておりますが、今後も継続していきますので、引き続きよろしくお願いいたします。

さて、今年最後の講師業務として、先週ある企業様でDX(デジタルトランスフォーメーション)のセミナーを実施してきました。対象は一般職として採用された女性の事務職の方々。DXをキーワードに、デジタル技術や社会への影響についてご説明しました。一般的には「デジタル化が進むと事務職の業務が失われる」というストーリーで語られることが多いですが、私はセミナーの締めくくりに「事務職はなくならない。むしろ、デジタル化で世の中が変わることを楽しんでください」と告げました。

テクノロジーによって世の中のいろいろなものが変化しても、決して人の仕事がなくなることはありません。タイトルに書いた通り「未来を悲観せず、新しいことに挑戦しながら、今を楽しく生きよう」。これが、私が最近各所でお伝えしている考え方です。今回はその真意についてご説明いたします。

仕事はなくならないが、ツールは変化する

このブログでもたびたび触れてきたことですが、英オックスフォード大学のマイケル・オズボーン准教授が「10~20年以内に、労働人口の47%が機械に代替されるリスクがある」という趣旨の論文を発表したのが2014年の話。その代替される仕事の、代表例の一つとしてよく挙げられるのが事務職の仕事です。定型化・標準化された事務処理は、AI(人工知能)やRPA(事務処理の自動化技術)によって代わりがきくようになるので、いまその業務についている事務職は不要になると言われています。

リスキリングやキャリアチェンジ、自己啓発の必要性を説明するために、私もこうした話をすることがしばしばあります。しかし、それは研修やセミナーの導入部分で、現状維持マインドを持ち変化に抵抗しようとする方々に危機感を煽るために話しているようなもので、私も本当に事務職が不要になるなどと考えているわけではありません。というのも、こうした「テクノロジーが人間を代替する」という話は、これまでの歴史の中でもたびたび語られており、それが覆されているのです。

例えば、蒸気機関により生産や運送が工業化されるようになった産業革命の時には「これからは機械が仕事をするようになるので、工場で働く人や、荷物を運搬する人はいらなくなる」と言われていたそうです。それから200年以上が経った現代でどうなっているでしょう。今でも工場で働いている方は大勢いますし、運送業務に携わる人はおそらく以前よりも増え、それどこか人手が足りない状態に陥っています。

あるいは、パソコンとインターネットが一般に普及したIT革命当時も「これからはコンピュータが事務処理をするようになるので、事務職はいらなくなる」と言われていました。それから20年以上が経った現在でも、事務職はなくなっていません。

テクノロジーによって人間が不要になるということはありません。テクノロジーが進化したら、その進化に合わせて人間のやる仕事が変化するだけなのです。別の言い方をすれば、テクノロジーで仕事が自動化・効率化されるようになると、その分だけ新しい仕事が生まれて、人はそこに従事するようになるわけです。いま言われているDXについても、それによって仕事がなくなるわけではなく、人に求められる仕事の性質が変わるだけだといえるでしょう。

しかし、仕事そのものはなくならなくても、仕事の中身は大きく変化します。呼び方としては同じ「事務処理」だったとしても、手書きの紙書類とそろばんでやっていた頃の事務処理と、WordやExcelでやっている事務処理は、その難易度もスピード感もまるで違います。そして、DX以降にはWordやExcelを操作する作業そのものはAIやRPAがやるようになるため、そのプログラムを設定するのが「人間の行う事務処理」という位置づけになることでしょう。

つまり、同じ目的の仕事をするにしても、テクノロジーの進化によって使用するツールが変わるため、仕事に求められるスキルも変わることになります。テクノロジーの進化によって人間の仕事が代替されるのではなく、人間に求められるスキルが変化するというのが事の本質なのです。上述の生産や運送についても同じことが言えます。産業革命以前には、マシニングセンタを操作して物を製造したり、即日配送で個人向けに宅配をするなど想像もできなかったことでしょう。

新しいツールは慣れるまでが正念場

新しいツールを使いこなせるようになったり、新しいスキルを身につけることに不安を感じる方もいるかもしれません。特に、デジタルツールになると「機械は苦手」「難しくてわからない」「自分には使える気がしない」と感じる方もいらっしゃるかもしれません。しかし、これに関しても私は恐れる必要はないと考えています。なぜなら、人間どんな人にも、どんなツールでも使いこなせるようになる最強のスキルが備わっているからです。それは「慣れ」です。

例えば、はじめてスマートフォンを使用したときのことを思い返してみてください。きっと、ガラケーを使い慣れていた方にとってはとても使いづらかったと思います。表面ツルツルのガラススクリーンに文字を入力するのは、物理的なテンキーボタンを打ち慣れていた身としてはかなり苦労したはずです。さらに言えば、初期のiPhoneにはコピー&ペーストの機能も、絵文字の機能もありませんでした。従来と同じ操作感でコミュニケーションがとれず、面倒で仕方がありませんでした。

しかし、それを毎日使い続けて、経験を積み上げていくことで「慣れる」ことができます。ひとたび慣れてしまえば、変化した後の方が自分にとっての「当たり前」の状態になるので、元の状態に戻ることの方がむしろ億劫になります。例えば、チャットに慣れた今では電子メールを書くことも面倒ですし、ましてや手書き書類やFAXなどまっぴら御免です。億劫なのは慣れるまでの間だけです。手書きの書類を電子メールに変えたり、ガラケーをスマホに変えたりする最初の一歩を踏み出し、不慣れなツールを使用するぎこちなさを「慣れるまでの間だけ」我慢する。これができれば、後は時間が解決してくれます。

基本的にはテクノロジーの進化は人間にとって利便性をもたらしてくれるので、状況が良くなることはあっても、悪くなることはほぼありません。つまり、未来は今よりも良くなっていくのです。新しいツールに挑戦しすることさえできれば、テクノロジーは自分の味方になってくれます。むしろ、これまで時間や手間がかかっていたことを、もっと正確にスピーディーに処理してくれることを喜び、ワクワクしながら楽しんでいった方が、仕事も人生もずっと楽しいはずです。

2021年を振り返って

私自身にとっては、今年は独立開業、神戸への移住、会社設立と、とても大きな変化の一年でした。生活も仕事も環境が一変する激動の年でしたが、人にも運にも恵まれて順調に過ごし、無事に一年を終えられることを大変ありがたく、嬉しく思います。

起業一年目を順調に終えることができたのは、手を差し伸べて支えてくださる方々のおかげであることは言うまでもありませんが、それに加えて仕事を選り好みせず、むしろ未体験の仕事こそ好んで積極的に取り組んでいるからだと思います。思考が後ろ向きだと、仕事も生活も後ろ向きになります。思考が前向きであれば、何事も前向きになり、良くなっていくのです。

未来を悲観せず、新しいことに挑戦しながら、今を楽しく生きよう。

今年整えた環境をもとに、来年より一層の飛躍ができるよう、明るい未来を描きながら様々なことに挑戦していこうと思います。

残り数日となりましたが、良いお年をお過ごしください。本日も最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

  

投稿者プロフィール

小松 茂樹
中小企業診断士・キャリアコンサルタント。株式会社ビジネスキャリア・コンサルティング代表取締役。人材派遣会社、健康食品会社を経て、経営コンサルタントに転身。営業力強化・業務改善・生産性向上・ビジネススキル向上など幅広い範囲で、業績向上や人材育成の支援を行っている。理論的な背景と情熱的な語り口を交えた講演スタイルに定評があり、セミナーや研修で高い支持を得ている。

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