自分の能力は何だろうか

「興味」に引き続き、「能力」の棚卸しに移ります。

実際にリストアップを行う前に、「能力」の考え方についてひとつご紹介したいことがあります。

それは、能力には

テクニカルスキル
ポータブルスキル

の2種類があるということです。

 

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テクニカルスキルとは、その名の通り「技術的な能力」です。資格・免許などが典型的な例で、特定の領域でのみ通用する「専門的な技術」を指します。例えば、

・工業機械の操作
・コンピュータの操作
・弁護士や行政書士などの法律知識
・税理士やファイナンシャルプランニングなど経済知識
・医師、看護師、薬剤師などの医療知識
・楽器の演奏
・調理技術
・語学

などです。その分野に限定した勉強や訓練を積み、得た知識や技術を指します。これらは学校での専門的な教育や、職業を通じて得ることができます。

 

それに対し、ポータブルスキルは、読んで字のごとく「持ち運び可能な能力」です。つまり「どの領域においても発揮できる、汎用的な能力」と言えます。言わば「基本的な能力」「総合的な能力」です。特定の分野や職業に限定されずに、様々な場面において発揮することができます。

ポータブルスキルの例として、『27歳からのMBA グロービス流ビジネス基礎力10』(著:グロービス経営大学院、東洋経済新報社)で取り上げられている、10の基本的なビジネス能力をご紹介すると、

・論理思考力
・コミュニケーション力
・仮説構築力
・情報収集力
・データ・情報分析力
・次の打ち手を考える力
・プレゼンテーション力
・周囲を巻き込む力
・チームを作る力
・志を育てる力

といったものが挙げられます。

また、以前ご紹介した「ストレングス・ファインダー」の34の強みもこうしたポータブルスキルに含まれます。

 

こうした能力は、職業経験はもちろんのこと、趣味の活動や私生活で培うこともできます。例として私の経験をひとつご紹介します。

高校卒業からちょうど10年以上が経過した2009年に高校の同窓会を開催しました。私の学年の同窓生の数は180名弱。大々的な同窓会はそれまで開かれていなかったため、全員に連絡を発信するのすら困難な状況にありましたが、どうせやるなら「100名は集めたい」と思い、半年以上前から入念な準備を進めました。

目標は学年全体の半分以上です。転居して首都圏にいない人、小さなお子さんがいる人、土日休みでない人なども多数いることから、卒業して10年以上経ってから半分以上の人を同じ日・同じ場所に集めるのは至難の業であると、幹事をされた経験がある方はおわかりになるかもしれません。そして、1回の企画で100名を動員するというのはなかなか大変なことです。

しかし、結果として無事100名を突破することができました。これは私の人生の中で大変嬉しかったことのひとつです。振り返ってみると成功の要因は、

[目標の設定力]
・100人を集めると決める

[計画を立て、実行する力]
・半年間の行動計画を立てる
・連絡先の収集と情報発信の仕組みを作り、ルートを確保する
・進捗を管理し、こまめに関係者にフィードバックする

[周囲を巻き込む力]
・メーリングリストを作成
・SNSでコミュニティを立ち上げ
・キーパーソンに個別連絡

を発揮したからではないかと考えております。

 

このように職業経験に限らず、人生のあらゆる場面から「自分が能力を発揮した」と思える出来事を振り返り、自分のポータブルスキルを棚卸しすることができます。

自分が「得意だ」と思えることであれば、何でも能力と捉えていいでしょう。例えば、

・整理整頓ができる
・道に迷わない
・タクシーを捕まえるのが得意
・家電量販店での値引きが得意
・人の話に何時間でも付き合える

なども、使い方次第では立派な能力になります。これによって、他人の役に立ったり、自分に利益をもたらしたりすることもできるからです。

 

次回、これまでの自己分析の結果を振り返り、こうした能力の棚卸しをしていきます。

  

投稿者プロフィール

小松 茂樹
中小企業診断士・キャリアコンサルタント。株式会社ビジネスキャリア・コンサルティング代表取締役。人材派遣会社、健康食品会社を経て、経営コンサルタントに転身。営業力強化・業務改善・生産性向上・ビジネススキル向上など幅広い範囲で、業績向上や人材育成の支援を行っている。理論的な背景と情熱的な語り口を交えた講演スタイルに定評があり、セミナーや研修で高い支持を得ている。

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