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2015.3.2

できる→教える→さらにできる

前回の続きです。

「できない」「わかる」を経て「できる」状態になると、企業や組織の戦力として活躍しはじめるようになります。

「できる」状態に磨きをかけていけば、能力の向上とともに成果が上がっていくようになりますが、より高い次元に上がるためには、自分に磨きをかけるだけでなく、他人への影響力を発揮していくことが求められていくようになります。

 

自分志向から他人志向へ

3.できる→教える

仕事が一人前にできるようになる頃には、後輩が入ってきます。これまで、教えられる一方であった立場が教える側にも転じるようになります。

「さあ、オレももう先輩だ」と意気込み、いざ後輩に仕事のあれこれを教えようとするのですが、実際に教えてみると、なかなかうまく必要なことを伝えられないことに気づきます。

何を、どういう順番で教えたらいいのかわからないのです。

なぜなら、自分が仕事が一人前になるまでには、何年もの間試行錯誤を繰り返してきており、

無数の経験を積み重ねる中で仕事ができるようになってきたので、

どうやって自分が今の状態になったのか、順序立てて思い返すことができないのです。

 

したがって、仕事を教えるようになる段階では、

・この仕事をするためには、どんな能力が必要で、
・それを身につけるためには、どんな学習経験を積む必要があり
・それをどういうプロセスで習得するのかを

整理し、論理立てて説明できるよう努めなければならないのです。

加えて、聞く側の後輩も価値観や感情のある、別の人格を持った人間なので、素直に耳を傾けてもらえるように「素直に耳を傾けてもらうための努力や工夫」も求められることになります。

 

したがって、教える側に回った人間は、仕事を教わるに足る人物であると相手に思ってもらえるように、これまで以上に能力を伸ばし、成果をあげ、人格を磨いていく必要性を自覚するようになるのです。

 

4.教える→さらにできる

人を教えはじめると、自分ではできるのに相手はできないことについて、いろいろと考えるようになります。

あるいは逆に、自分ではなかなかできなかったり、気づけなかったりしたことが、相手にはすでに備わっていることに気づいたり、相手が課題に取り組む姿勢から、自分の方が学んだりという機会が出てきます。

まさに「人の振り見て我が振り直せ」です。

これを繰り返していく中で、

・相手にわかりやすく伝えるために仕事の内容や必要な能力を、整理し、体系化したり、言語化する

・自分が保有している能力、得意分野と不得意分野、性格面での長所や短所を改めて知る

・相手の言い分や気持ちに耳を傾ける姿勢を意識する

・後輩自身や、相手との関係、コミュニケーションの中から学ぶことがあることを知り、どんな相手からも学ぶ姿勢を備えるようになる

などして、仕事に必要な能力や人格が磨かれていき、結果的には自分自身が「さらに仕事ができる」ようになっていきます。

 

教えている内容がどんなに良かったとしても、自分自身にその説得力が欠けていたら、相手には伝わらなかったり、心の中で反目されてしまい、相手との関係がうまくいかなくなります。

また、整理・体系化した仕事に対する理解を口に出して繰り返し相手に伝えようとすることで、その内容が自分自身の中で反芻され深く根付いていき、再現可能な能力として定着化していくのです。

他人に教えることで、自分自身が磨き上げられていき、「さらにできる」ようになっていきます。

 

5.さらにできる→育つ環境を作る

こうして仕事に必要な人格と能力を磨き続けていくと、仕事の範囲が広がり、責任うや役割がより高次元になっていきます。

仕事量は膨大になり、何から何まで自分自身で行うことは、時間と体力の面で不可能になります。

仕事を人に任せる

ことが欠かせなくなってくるのです。

 

人材の育成についても、自分自身で1人1人きめ細かい対応を取ることは難しくなってきます。

しかしだからと言って、新人や若手の育成を先輩社員にすべて任せきることも良策とは言えません。指導する先輩が誰になるかによって、新人や若手の成長度が大きく左右されることもあるからです。

人材育成は属人的な要素が強く影響する側面があります。特に「見て学ぶ」アプローチに偏りすぎると、指導や育成を行う人物の能力や考え方によっては、人材育成が望ましくない方向に向かう危険性があります。

一方で、指導の場面を逐一確認することも現実的ではありません。そのため、自分の目が届かなくとも、指導と育成を「安心して任せられる」ことが望ましい状態となります。

 

それには、若手社員→新人社員、中堅社員→若手社員、管理職→中堅社員というそれぞれの段階で行われる指導と育成が、同じベクトルを向き、同じ水準を保つことが求められます。

それを実現するためには、人材育成のアプローチは個人の影響力を超えた「システム」として提供され、会社にとって望ましい人物に確実に導いていけるような「環境を整備すること」が効果的ではないか、というのが私の考えです。

そして、そのシステム・環境を構成する大きな要素の一つとして、人事制度を構築し、正しく運用することが必要になってくるのです。

今日も最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

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