セルフマネジメント
2026.2.12

目次
現代社会において、私たちは日々さまざまなストレスに直面しています。
仕事の量が多い、業務の難易度が高い、集中できない環境があるといった物理的な要因に加え、何よりも人間関係が大きなストレス源となっています。話が通じない人や苦手な人との関わりは、私たちの心身に大きな負担をかけます。
このようなストレスが蓄積し続けると、まずは「メンタル不調」として心身の調子が悪化していきます。さらにそれが積み重なると、治療が必要な「メンタル不全」のレベルにまで達してしまいます。そうなれば生活に支障が出るだけでなく、人生の幸福感そのものが失われてしまいます。
ストレスの要因そのものを排除できれば理想的ですが、現実にはそれが難しい場合も少なくありません。その要因が上司や同僚、あるいは家族である場合、簡単に距離を置くわけにはいきません。そこで重要になるのが、要因そのものに手を出せなくても、それを「自分がストレスに感じなくなるようにする」という発想です。これが今回のテーマである「鈍感力」です。


鈍感力を高めるためには、まずストレスの仕組みを知る必要があります。ストレスを発生させる要因となるものを「ストレッサー」と呼び、ストレッサーの存在によって体の中に起こる反応を「ストレス反応」と言います。ストレス反応とは、イライラする、胸が締め付けられる、落ち着かない、恐怖を感じるといった状態のことです。
ストレッサーが即座にストレス反応になるわけではありません。ストレッサーからストレス反応が生まれるまでの間には「認知」というプロセスがあります。つまり、そのストレッサーを「どのように捉えているか」「どう解釈しているか」ということです。この解釈は本人の性格、価値観、心情などが影響を及ぼすため、個人差が生じます。
同じストレッサーに対して、それをストレスに「感じる人」と「感じない人」がいるのはこのためです。例えば、物言いのキツイ人がいたとして、「あの人の言い方はないよね」と憤る人もいれば、「そんなものだ」とケロッと受け流す人もいます。自分が物事をどうあるべきと考えているか、何を大事にしたいのかという価値観の違いによって、ストレス反応が出たり出なかったりするのです。
したがって、ストレスを感じなくするためには、この「認知」のプロセスを変えていく必要があります。ストレッサーそのものは事実や状況であり、変えることが難しい場合も少なくなりません。変えることが現実的に難しい場合は、この「認知」に焦点を当てていくことが有効なのです。

ストレスの対処法を「ストレスコーピング」と呼びます。このコーピングには大きく分けて3つの種類があります。
ストレッサーそのものに働きかける方法です。職場から離れる、仕事の量を調整する、苦手な相手と距離を置くといった対処法です。また、自分の能力を高めることもこれに含まれます。仕事ができるようになれば、仕事が思い通りに進み、早く終わるようになります。ただし、上司や同僚、家族から距離を置くことは、現実的には難しい場合が多いのも事実です。
いわゆる「ストレス発散」です。リラクゼーション、運動やエクササイズ、気晴らしや趣味などでストレスを発散・解消する方法です。ただし、これは一時的なものであり、ストレッサーそのものが変わっていないため、ストレス反応が出てはそれを解消してという堂々巡りになり、根本的な解決になりません。
ストレッサーそのものに働きかけができないのであれば、コントロールできるのは「認知」しかありません。ストレッサーの存在や状況がストレスに感じないように、自分の方を変えていくのです。具体的には、自分の感情を第三者に打ち明けて理解してもらうことや、専門家のカウンセリングを受けることなどが挙げられます。
その中でも特に注目したいのが「リフレーミング」です。リフレーミングとは、「枠組みの再設定」を意味し、物事の捉え方を変えることを指します。例えば、上司から難しい仕事を与えられた時、「意地悪をされているのではないか」と捉えることもできますが、見方を変えれば「私を成長させようとしてくれているのだ」と捉え直すことができます。
事実や状況は変わらなくても、自分がどう解釈するかによって、ストレスになるかが決まります。ストレッサーの存在そのものが自分にとって「どうでもいいこと」になれば、それに反応しないようになっていきます。この「どうでもいいこと」として捉える力が、私が考える「鈍感力」です。

以下、私自身が実践している4つの方法をご紹介します。
まず前提として、周りの人たちは自分が思っているほど自分に関心はありません。「あの人に嫌われているのではないか」と心配になることがありますが、それは自分の視点から相手を見ているからです。相手は相手の世界を生きており、自分が思っているほど相手にとって自分は重要人物ではないというのが現実です。
何か厳しいことを言われた時に「悪意があって言われたのではないか」と考えそうになったら、「この人はこういう人だから、自然にそういう言い方をしているだけなのだ」と捉えた方が楽になります。「私は私、あなたはあなた」と割り切って、他人はさほど自分のことに興味はないと思ってしまえば、自分にとっても楽なのです。
何かが起きた時、あるいは人から何かを言われた時、なるべく自分の都合の良いように解釈してしまえばよいのです。人から嫌味っぽいことを言われたとしても、それを肯定的に受け止めるのです。「ありがとうございます」と真に受けて返せば、もはや嫌味ではなくなります。
私自身がやっていることは、「おかげで」という言葉を使って無理やりポジティブに転換することです。例えば、上司から面倒な仕事を振られたとしても、「おかげで私の実績にまた一つプラスになる。評価をつけてもらう時にアピールすることができる」と都合よく解釈してしまえばよいのです。
ストレス反応を感じやすい方は、自分に自信がなかったり、自分のことをあまり好きでなかったりする傾向があります。周囲が気になるあまり、繊細になります。逆に、自分のことが好きな人は鈍感なのです。自分のことを好きな人は「我が道」を行きます。そして、自分が自分のことを好きになっていれば、人に対しても優しくできますし、何か不都合な状況があった時もそれを肯定的に解釈することがしやすくなります。
自分を好きになるための手っ取り早い方法は、自分を褒めることです。私は「自分褒め日記」をつけています。1日の中で「これは自分頑張ったな」と思うことを最低1つ書き出していくのです。これを毎日続けていくと、1年間で365個、自分を褒める部分が出てきます。「私ってすごい人なの」という風に自分を洗脳していくのです。自分が自分のことを好きになれば、他の人から何を言われても、それをものともせず、跳ね返せるようになります。
悪い記憶が繰り返し再生されにくいようにしていくためには、不都合なことを「過去の小さなこと」としていち早く片付けてしまうことが有効です。メタ視点とは「より上位の視点」を意味します。
例えるならば、「幽体離脱した自分が空中から自分の状況を客観的に見ているような状況」を想像することです。人から何か嫌なことを言われたという時に、上から見た時に「何か言われているな」という感じで、ある意味他人事のようにその状況を描くのです。
それをカラーではなくモノクロにしていきます。白黒になるだけで、いま起きていることではなく昔のことだというイメージに変わります。上から見た時に、白黒で豆人形が何かやっているなという感じで見ておけば、「取るに足らないこと」になっていくのです。
例えば、あまり良くなかった仕事の場面があったとします。帰りの電車の中などで、その日の状況を思い浮かべて、第三者的にその状況を見ます。そして、それを白黒で塗り替えてしまうのです。
そうすると、今日起きたばかりのことなのに、遠い昔の記憶のように錯覚させて脳に記憶させることができます。そして、「そのおかげで、肯定的に話を聞いてくださる方にもっと感謝できるようになった」というようにプラスの意味づけもしていくのです。
これを繰り返していくことで、自分の周囲には「良いこと」ばかりが起きるようになり、自分にとってネガティブな出来事や人に反応しづらくなっていくのです。
同じような事実や状況であったとしても、自分の捉え方次第でストレス反応が出なくなるのであれば、とにかく「都合の良い解釈」をして、自分にとって物事をすべて良いように捉えていく習慣をつけていくことが大切です。そうすることで、何もかもが素晴らしいもののように見えてくるようになり、ストレスは感じにくくなります。
よく言われる話ですが、他人は変えられません。変えられるのは自分だけです。自分を変えるにあたって、なるべく自分を大事に、自分のことを好きになれるように都合の良い解釈をしていく。これを繰り返しやっていくことで、無意識でもそういう解釈をする、そういう反応ができるようになっていきます。生きていくのが非常に楽になっていきます。今回ご紹介した4つの技術をぜひ試してみてください。
本日も最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
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