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2022.6.20
先週は出張週間でした。まず札幌へ飛び、その足で福岡へ。その前の週が神戸市内から一歩も出なかったので、スケジュールの差が極端です。コロナ以前にはこれに近いような状況もたびたびありましたが、これだけ出っ放しなのは久々。仕事がいただけるのは嬉しいし、旅も好きなのですが、自分にも家庭にも負担が大きいので、もう少し分散したスケジューリングができたら理想的です。繁忙期に案件が集中しがちなので、なかなか難しいですね。
さて、福岡では企業のリーダーや次期リーダーの方々に対して、経営戦略や事業戦略の2日間研修を実施してきました。環境分析、経営資源の分配、業界構造分析など、経営戦略の王道理論やフレームワークなどを演習を交えて体感していただく講座で、非常に頭を使う内容なので、受講者の方々はみな最後はぐったりされていましたが「自分の会社について考え、理解を深める良い機会となった」という声を多く寄せていただきました。
自分の会社や事業への理解が深まると、自分の仕事の意義や価値を捉え直すことができます。自分でもあまり想定していなかったことですが、経営について学ぶことは個人のキャリア形成にもつながるのではないかという気づきを得ました。
挑戦心や成長意欲、仕事への貪欲さを高めるためには、個人の動機と組織の方向性の両方をうまく紐づけることが大切です。私はキャリアコンサルタントであり、また自ら考えて行動する「自律型人材」の育成を主領域の一つに位置づけています。主体的、意欲的に仕事に取り組むためには、自分の興味・能力・価値観といった「自分らしさ」が発揮できる仕事であることが必要で、そのためにも自分自身を洞察し、自分の動機や欲求を見つめ直す機会をご提供しています。
「なぜ働くのか」という問いに対する答えは人それぞれです。もちろん、共通してお金のために働く面もありますが、目的がお金だけであれば、仕事の内容は二の次で給料が高い仕事に人が集中するはずです。実態として、稼げる仕事だけでなく、あまり稼げないような仕事にも数多くの人が従事しているということが、人が働く目的はお金だけではないことを表しています。自分が「おもしろい」「楽しい」「やりがいがある」「うまくできる」仕事であれば、当然、仕事の意欲は高くなります。自ら考えて行動し、成果を上げていくためには、自分らしさが発揮できる仕事である方が好ましいのは当然だと言えます。
しかし、だからといって、自分がやりたいことを、やりたいようにできるとは限りません。むしろそうはならないことの方が多いでしょう。仕事をするためには社会との接点が必要です。働く人の9割以上は企業や団体などの組織に雇用されていますし、仮にフリーランスであったとしても顧客や依頼主の存在なくして仕事は成立しません。組織で働くということは、事業の様々な機能を分担して仕事をするということです。そのため、必ずしも自分がやりたいことだけを仕事にできるわけではなく、「やるべきこと」「やらなければならない」ことにも向き合わなくてはなりません。
「やるべきこと」「やらなければならない」に対しても、意欲をもって取り組むためには、自分の動機や欲求に着目するだけでは不十分です。仕事の背景、目的などを理解して、意義を感じて取り組むことが必要で、それが自分の価値観に合致していることが望ましいと言えます。
ところが、自分に課せられた仕事だけを見ていても、その仕事の背景や目的、意義などを理解できるとは限りません。一人に与えられた仕事は全体の一部に過ぎず、断片的であり、一見するとそれ自体に意味がないようにすら思えることもあるからです。
自分の仕事の意味を知るためには、より上位の視点から仕事の位置づけを俯瞰して、全体像の中でその仕事が持つ意味や機能を理解していくことが必要です。事業の目的や目標、さらには組織そのものの目的や目標を理解することによって、はじめて個々の仕事が持つ本来の意味を認識することができます。
個人の仕事は、職場全体の仕事を果たすための手段に過ぎません。そして、職場の仕事もまた、組織全体の仕事を果たすための手段に過ぎません。組織の仕事を果たすということは、組織の目的や目標を達成するということであり、このように連鎖的に考えていけば、最終的には組織の理念やビジョン、価値観などに行き着きます。
つまり、会社は何を目的としてどこを目指し、何を大事にして事業を行っているのか。これを理解することが「仕事の意味」を理解することにつながります。明文化された経営理念やビジョンは多くの会社にありますが、単に表面的な言葉としてそれを知っているというだけでは、理解したことにはならないでしょう。
本当の意味で組織の理念や目的を理解するためには、実際の事業展開のフィールドとなる外部環境、すなわち世間の動向や市場・業界の動向を踏まえて、理念が示すものを具体的なイメージとして解釈することが必要です。その臨場感が上がったときにはじめて、自分がやっている仕事の意味や意義を理解することができるのです。
企業経営理論や戦略論を学ぶことは、組織や事業を俯瞰して見る目を養うことにつながります。必ずしも経営層や上級管理職でなくても、こうした目を備えることで、より高い視座から仕事に取り組むことができ、自分の仕事の意義を理解して誇りを持って働くことができます。当然、仕事への意欲が高まり、主体性や当事者意識をもって業務にあたることができるため、仕事の成果が上がるようになるでしょうし、やがては報酬にもつながることでしょう。
決して容易とは言えない内容ですが、できる限りわかりやすく、親しみやすいようなプログラムになるよう改善を重ねて、より多くの人にビジネス感覚を磨く機会を提供できたらと思います。
本日も最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
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