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マネジメント

2026.11.3

目標設定を部下の成長につなげる|作業で終わらせない方法

目標設定の面談が作業になってしまう。期首に紙を埋めて、期末にもう一度開くだけ。そうした声をよく伺います。

原因は、書き方でも面談の時間でもありません。シートが「達成したかどうか」しか聞いていないことです。可否だけを問う設計のままでは、本人にとって目標は査定の材料であり、成長の道具にはなりません。この記事では、同じ面談を成長の場に変える4つの手順を整理します。

目標が作業になるのは、達成の可否しか聞いていないから

研修で「今年の目標を1つ書いてください」とお願いすると、こういう言葉が出てきます。「業務効率の改善」「後輩の指導」「品質の向上」。

どれも大切なことです。ただ、これらは目標ではありません。方向を示しているだけで、達成したかどうかを確かめられないからです。

確かめられないものを紙に書くと、期末に何が起きるか。上司も本人も、達成できたともできなかったとも言えません。結局、無難な評価に落ち着きます。その経験が2年、3年と続けば、期首の面談は紙を埋める時間になります。

原因は本人の意欲ではなく、様式と運用にあります。 そして、様式を決められるのは会社の側だけです。

ここから先は、1枚のシートに何を書くかという話です。制度を作り替える必要はありません。欄を足すだけで、面談の中身は変わります。

手順1 目標を「点」にする

まず、目標が目標として成立しているかを確認します。必要な要素は3つです。

  • 何を(結果の内容)
  • どれだけ(結果の水準)
  • いつまでに(結果を得る期限)

この3つがそろって、目標は「点」になります。私は研修で、中学の数学を引き合いに出して説明しています。変数が1つでは、線にしかなりません。線のままでは、どこを目指しているのかが決まらないのです。

身近な例で言えば、「できるだけ貯金します」は目標ではありません。「1年間で」「60万円」と決まって、ようやく点が定まります。点が定まると、遅れているときに帳尻を合わせようとする力が働きます。

先ほどの「業務効率の改善」であれば、「見積の作成時間を」「1件あたり30分短縮する」「今期末までに」とまで具体化します。ここまで明確になって初めて、進んでいるかどうかを本人が自分で確認できます。

手順2 成果の目標に、能力の目標を1つ足す

3要素を満たしても、それだけでは成長につながりません。達成したかどうかは分かりますが、何ができるようになったかは残らないからです。

そこで、成果の目標とは別に、能力の目標を1つ足します。この1年で、何ができるようになるか。欄を1つ増やすだけです。

  • 成果の目標:担当案件の見積提出を3日以内にする
  • 能力の目標:見積を一人で作成できるようになる

2つは関係していて構いません。むしろ、関係しているほうが現場では回ります。成果を追う過程で能力が身につき、能力がついた結果として成果が安定する。この順序が見えていると、本人にとって日々の仕事が練習の場になります。

能力の目標をゼロから考える必要はありません。等級ごとの期待役割が文書になっていれば、そこから1つ取ってくるだけで済みます。その作り方は階層別の役割定義の手順|等級ごとの期待を明確に伝えるをご覧ください。

手順3 決めてよい範囲を、同じ紙に書く

2本立てにしても、実行の段階で止まることがあります。何を目指すかは決まったのに、どこまで自分で決めてよいかが決まっていない場合です。

ひとつ確認してみてください。目標を渡した部下が、途中で何度も「これはどうしましょうか」と聞いてくるとしたら、足りていないのは意欲ではなく裁量の線引きです。

そこで、3つ目の欄を足します。

  • 決めてよい範囲:金額は上司に確認、工程は自分で決める

これを目標と同じ紙に書いておくと、期中の判断が速くなります。線を引くこと自体が目的ではありません。線がないと、本人は毎回確認するしかなく、確認するたびに「自分で決めてはいけない仕事なのだ」と学習していきます。

渡し方の手順は権限委譲の進め方|丸投げせずに部下へ仕事を任せる手順をご覧ください。

自社の目標設定がどこまで機能しているかは、中にいると判断しにくいものです。人材像・人事制度・マネジメント・人材育成の4分野について、どこが弱いかを10分で数値にする無料の環境診断をご用意しています。

目標に必要な3つの要素を示した図
図:目標は3つで1組

手順4 期末に、達成の可否ではなく変化を聞く

最後の手順は、期末の面談です。ここで何を聞くかで、1年の意味が変わります。

達成できたかどうかは、数字を見れば分かります。わざわざ本人に確認する必要はありません。聞くべきなのは、もう1つのほうです。

「この1年で、何ができるようになりましたか」

この問いに本人が答えると、やってきたことが経験に変わります。出来事をそのまま置いておくと、ただの体験で終わります。そこに意味が備わって、初めて経験になります。そして意味づけは、自分の言葉でしかできません。

実際にやってみると、最初はうまく答えられない方が多いはずです。「特にないです」と返ってくることもあります。それでも構いません。聞かれたという事実が残り、次の期はその問いを意識しながら1年を過ごすことになります。

この振り返りを年1回で終わらせず、月1回の対話に乗せていくと定着します。その場の作り方は1on1の形骸化を防ぐ|続かない会社に共通する3つの条件をご覧ください。

目標設定と評価と対話を1つのしくみとしてつなぐ段階になったら、設計の順序が重要になります。弊社がどの工程をお手伝いし、どこから社内に渡すのかは、コンサルティングの進め方に記載しています。

まとめ|去年より何ができるようになったか

私は、達成主義ではなく成長主義でよいと考えています。達成できたかどうかより、去年より力がついているかどうかのほうが、長い目で見れば会社に残ります。

高い目標を掲げて届かなかったとしても、これまでの延長線よりは前に進んでいます。そのために必要なのは、目標を3つで1組にしておくことです。何を達成するか。何ができるようになるか。どこまで自分で決めてよいか。

1つ目だけを渡すと、目標設定は作業になります。

自社の目標設定が、達成の管理だけで終わっていないかは、中にいると見えにくいものです。人材像・人事制度・マネジメント・人材育成の4分野について、どこが弱いかを10分で数値にする無料診断をご用意しています。今回の内容は、診断のマネジメントの項目に対応しています。ご関心のある方は、ぜひお試しください。


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著者

小松 茂樹(こまつ しげき)

株式会社ビジネスキャリア・コンサルティング 代表取締役社長。中小企業診断士、国家資格キャリアコンサルタント。事業会社で人事制度の再設計や業務改善に携わったのち、2021年に独立。中小企業の人材育成と組織づくりを支援しています。
著作『指示待ち人間からの解放〜自ら考えて行動する社員を増やす4つの柱と7つのステップ〜』『指示待ち人間からの卒業〜自ら考えて行動する「自律型人材」になる方法〜』

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TEL.
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