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2015.10.1
ブログをご覧のみなさま、こんばんは。小松茂樹です。
今回は、セルフマネジメント実践サイクルの3つ目のフェーズである「行動の習慣化と定型化」について、お話をしていきます。
時間管理の術を習得し、理想的なスケジュールを描くことができたならば、必ずと言っていいほど次の問題が現れます。それは、
「モチベーションが上がらず、計画を実行に移せない」
ということです。
この「モチベーション」という言葉は、大変に危険な言葉です。やるべきことができないという事態を正当化する免罪符のように用いられてしまっているからです。
「モチベーションがあがらないから、できないのは仕方がない」と言われると、なぜか納得してしまうような気にもさせられます。
よくよく考えれば、まったく論理的ではないにもかかわらず。
「モチベーション」は感情です。自分自身の中で、感情ほどコントロールの困難なものはありません。
もし感情がコントロールできるならば、人は怒りに身を任せて他人を傷つけてしまったり、興奮して軽率な行動を取ったりしなくても済むはずです。それができないのは、感情は理性を上回るパワーを持っているからです。
したがって、行動をするのにモチベーションが必要だと思うことは、自分の行動はコントロールできないと言っているのと同じことになってしまいます。
目標を達成すべく計画を実行に移すためには、確実に行動を積み重ねられるように「モチベーションに頼らない行動パターン」を身につけなければなりません。
それを可能にしてくれるのが「習慣化」です。
突然ですが、ここで質問です。
「あなたは、食事の後に歯を磨きますか?」
「あたりまえじゃないか!」と思われたあなたに、続けて質問です。
「食事の後に歯を磨くのに、モチベーションが必要になっていますか?」
もしくは、
「歯を磨くにあたり、“なぜ歯を磨かなければならないのか”という目的意識が必要ですか?」
あるいは、
「上司など目上の人から“歯を磨きなさい”という命令が必要ですか?」
おそらく、あなたはこのいずれにも該当しないと思います。
にもかかわらず、食事の後の歯磨きがちゃんとできているのはなぜでしょう?
それは、歯磨きという行動が「習慣化」されているからです。
人間は行動の90%を無意識で行っているそうです。
習慣化とは、「特定の行動を、意図的に、無意識でできるようにする」ことです。この状態に達することができれば、モチベーションがなくても確実に行動できるようになるのです。
個人や組織のミッションやビジョンを実現するための行動を習慣化することができたら、その達成のための強力な武器になると思いませんか。
習慣化によって高いパフォーマンスを発揮した例としてよく用いられるのが、マイアミ・マーリンズのイチロー選手です。
彼は、毎朝同じ量・同じ味のカレーを食べ、ネクストバッターズサークルで常に同じ体操を行い、バッターボックスに入る前、ピッチャーが投球するまでに、常に同じ動作を行うことによって、精神の状態を常に安定に保っているのです。
常に一定の精神状態で物事に取り組むことができれば、モチベーションや感情に左右されることなく、パフォーマンスを発揮し続けることができます。
必要な行動が習慣化できれば、自分の意思にかかわらず、それを実行することができるのです。
人間の脳は、特定の行動を21日間連続して継続すると、その行動を習慣として認識すると言われています。
習慣化とは、同じ行動を何度も繰り返すことによって、行動を無意識化するアプローチなのです。
しかし、どんな行動も習慣化できるというわけではありません。
習慣とは特定の意図的な行動を「無意識の行動」に変えることですから、当然その行動は無意識で行えるものでなければならないのです。
あいにく、複雑な行動や規則性のない行動は無意識で行うことはできません。したがって、習慣化するにあたっては、行動を単純明快にする必要があるのです。
その鍵となるのが、行動の「定型化」です。
行動そのものが複雑であると、無意識で行えるレベルを超えてしまいます。習慣化したい行動は一つひとつの動作に細分化して、単純なものにしなければなりません。
加えて、単純な動作であっても、それを実行する順番が不規則であると、動作の順番を組み立てるという作業が必要になってしまいます。これは無意識の担当外です。
したがって、無意識の行動とするためには、一つひとつの動作を「常に、同じ順番で」行い、一連のプロセスとして認識する必要があります。
この細分化と順序立てによって、行動を「定型化」していくのです。
いつも同じ動作を、同じ順番に行うことによって、無意識レベルの行動にすることができるのです。
次回は最後のフェーズとなる「行動の記録と分析」についてお話いたします。
本日も最後まで読んでいただき、ありがとうございました。