願望実現への道のり−何のための自己分析か

現在の自己分析の具体的な方法に入る前に、「なりたい自分になる」までの道のりと、自己分析の意味を改めて確認したいと思います。

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これまで重ねて申し上げてきた通り、人生というのはこれまでの経験によってできています。経験とは「選択」の連続です。小さな選択の積み重ねが経験となり、自分の人生となります。
「選択」は意識もしくは無意識の自分の判断によってなされるものです。したがって経験=自己、すなわち自分自身と言うことができます。

 

自分自身のことを理解するためには、「興味」「能力」「価値観」「役割」の4つの尺度から、自分を整理したり推測したりすることが必要となります。自己分析とは、この4つの尺度に従って自分のことを調べ、自分の特徴を自覚し、理解するステップなのです。

この4つの尺度に基づいて自分のことが理解できるようになると、

・自分がやりたいこと
・自分ができること
・自分がやるべきこと

が次第に目の前に見えてくるようになります。

 

これらを統合的に紡ぎ上げた先に、自分の中に潜む「真の願望」が現れます。生涯を通じて「何としてでも成し遂げたい」こと、それが本当の意味での自分の「願望」です。これは自分がどんな人生を歩んでいくかのテーマにもなります。その意味で「使命」とも言うことができるかもしれません。自己分析を重ねていくと、この宿命や使命とも言える本当の願望に辿りつくことができます。それに基づいて行動をすることによって、理想的な自分の姿に、確実に近づいていくことができるのです。

 

その「真の願望」を明文化したものが「ミッション・ステートメント」です。「自分は何のために生きているのか」という問に対する答えとも言えます。自分の人生の目的を定義した「自分憲法」のようなものです。このミッション・ステートメントを作成することで、自己分析は完遂となるのです。

 

ところが、ミッション・ステートメントは非常に長期間にわたる夢や理想であり、その内容は抽象的・理念的なものになりがちです。そこで、そのミッション・ステートメントを具体的にイメージするために「ビジョン」を描く必要があります。

ビジョンとは「いつまでに、何をして、どうなっている」というイメージです。具体化・数字化することでイメージを目標に変えることができます。どうなったらミッション・ステートメントが果たされたと言えるのか、を明確にするのです。

 

ビジョンが定まったら、それを現実にするために、取るべき具体的な行動の「計画」を立てる必要があります。計画は極めて重要です。計画が立てられなければ、効果的な行動を取ることができません。

せっかくゴール地点を定めても、それを本当に実現できるという青写真が描けなければ、行動のベクトルを実現に合わせることができなくなります。「行動に移しさえすれば、必ずや実現できる」という、具体的、緻密で、現実味のある計画づくりが非常に重要となります。

 

計画が定まれば、後は「実行」あるのみです。「これをすれば実現できる」という手順に従って、その通りの行動を重ねていくのです。

しかし、実行には困難がつきものです。予想外の出来事、環境の変化などに加え、甘えや不安、意欲減退など自分の内面が行動を妨げていきます。計画を成し遂げるために最大の障害となるのは自分自身です。いかにセルフ・コントロール(自己管理)をして、自分を行動に駆り立てて行かせられるかが、願望実現の重要なカギとなります。

 

・徹底した自己分析で「興味」「能力」「価値観」「役割」を明らかにする
・願望を明確にし、ミッション・ステートメントとビジョンを立てる
・具体的で、緻密で、現実的な計画を立てる
・セルフ・コントロールを徹底し、立てた計画を実行に移し、継続する

 

これからがすべて果たされた時、人は「自分がなりたい自分」に大きく近づくことができる、と私は考えています。

自己分析は、すべての土台となるものです。計画と実行のフェーズをしっかり行うためにも、自己分析は徹底的にやる必要があるのです。

  

投稿者プロフィール

小松 茂樹
中小企業診断士・キャリアコンサルタント。株式会社ビジネスキャリア・コンサルティング代表取締役。人材派遣会社、健康食品会社を経て、経営コンサルタントに転身。営業力強化・業務改善・生産性向上・ビジネススキル向上など幅広い範囲で、業績向上や人材育成の支援を行っている。理論的な背景と情熱的な語り口を交えた講演スタイルに定評があり、セミナーや研修で高い支持を得ている。

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